《職業通りの世界》第35話 宿屋《グットネス》
「意外と楽しかったね~」
「この街に寄っておいて良かったです。道中で魔が出てもある程度対応出來ます」
 もう日が暮れて來て、お嬢様と並んで《グットネス》へと向かって歩いている。
 あれから何も問題なく、強いて言えばお嬢様が靜かで頰を赤らめていたくらいか。デートのようなじの雰囲気になっているのに気付いて、展示が終わったくらいに手を離すとお嬢様はし肩を落としていたくらいか。
「もうそろそろ著きますね」
「良い宿だと良いね。もう今日はなんか疲れたから」
 お嬢様は本當に疲れているようで、欠も時々している。宿では良い宿にしようか。俺の分を削ったらいけるだろう。最悪ボロっちい宿にでも泊まれればいい。
「あ、著きました」
「うわ~、綺麗……」
 著いた建には《グットネス》の看板があり、緑を基調としたレンガ造りの洋風の建で見たじの第一印象は良い。
 そして、眠たがっているお嬢様が気になるので、し強引に緑に塗られた木の扉を引いた。
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「いらっしゃい!」
 開けてってすぐに聲をかけられた。
 緑のエプロンを著け、黃緑の髪を後ろに結って両手にお盆いっぱいになった料理とお酒を持っている。
「し待っててくれ!すぐに行くからよ!」
 それだけ言い殘して俺から見て右側の方に行った。その方へ見ると、酒場になっていて、冒険者から観客が楽しく騒いでいる。
 左側を見ると、トイレと大浴場の男を分けるのれんが見える。水回りはここで集めているらしいな。
 そして、目の前には付とその隣に階段が見える。2階に部屋があると見ていいだろう。
「待たせたねぇ!いらっしゃい!お客さん!何泊だい!?」
「一泊で、部屋は2つ取れますか?」
 「ちょいと待ってなぁ!」と付に行った。活発なじのだとは思ったが、まさかの男らしい口調だとは思ってなかった。まあ、魔がいる世界なら居ても普通か。
「すまねぇが1部屋しかねぇな!1部屋で我慢してくれ!!」
「え?ちょっ!」
 何も言ってないのに勝手に話を進めて番號の札が付いた鍵を投げつけてきた。慌ててけ取るが、俺はそもそも一緒の部屋には泊まらないんだが!?
「部屋代は金貨1枚、食事代は……ああ、めんどくせぇ!全部合わせて2枚だ!!」
「だから、泊まるとはーー」
「はーい、金貨2枚♪」
 どこかに忍ばせていたのか、金貨2枚をに手渡し、鍵を俺から取り上げた。そして、さっさと階段に上って、早く來てなんて言う。……この世界に來てからなんかお茶目というか、おてんばになったな。
「うわ~、部屋綺麗!」
 お嬢様はベット1つの化粧臺がある程度の部屋に駆け込み、ベットに飛び込んだ。それと同時に視線を地面に向ける。一瞬スカート部分がめくれたのが見えたからな。下著は見えていない、見えていないからな!
 化粧臺を除いて、敷布団を敷けるくらいの広さはあるからそこで寢る事にしよう。それを実行する為に、手を化粧臺にかかげると、お嬢様に橫から手を摑まれる。
「何するの?」
「これを退かして敷布団を敷こうかと」
 説明したのに手を離してくれない。向こうに居た時からお嬢様が並外れて強かったのは筋力。俺よりは強い事は無い……と思うが、かなり強くて、摑まれているところは鍛えているのにし痛みをじる。
「ねえ、退かさなくても良いんじゃない?」
「……お嬢様、やっぱりこの世界に來て積極的になりましたね」
 「へっ!?」と変な聲を出して急に手を離して顔を赤らめた。だが、さっきまで言っていた事の方が恥ずかしい事言ってたと思うんだが。
「それに、お嬢様は魅力的ななんですから、俺なんかと一緒に寢てはいけませんよ」
 ついに黙り込んだお嬢様をおいといて、化粧臺をなおす代わりに寢袋を取り出して置く。
「お嬢様、早く夕ご飯を食べに行きましょう」
「う、うん。待って」
 お嬢様の恥の基準が全く分からないが、もっとお嬢様は俺が男だという事を意識するべきだと思う。一緒に寢てた時なんて、俺が初めて屋敷に來てから1カ月間ぐらいだというのにな。
 昔を思い出したかったんだろうが、紅葉さんの指導にお嬢様と寢る場合なんて想定されてないから、理を保たせる方法が分からないし。
「食事を終えたらそのままお風呂に行きましょう」
「そ、そうだねっ」
 し聲が裏返っているお嬢様は完全にいつも通りじゃないが、お嬢様のいつもはこんなじと言われるとそんな気もするのがお嬢様らしい。
「おっ!今から飯かい!?メニューは壁にってるから決まってから呼びな!!」
 階段を降りていると、正面からは見難かったが、階段の隣に調理室があり、そこから料理を運んでいたという事みたいだ。
 今出てきたところの係員に言われ、返事をする時間も無く行ってしまったので、階段を降りて左に進む。
「まだまだ人が多いね」
「靜かにしていたら絡まれる事は無いでしょう」
 初めてった時から全く人が減ってない事にし嫌気が指したが、気にしない事にして、今歩いてきた通路から折れ曲がった壁の所にある2人用の機に座る。向かいにお嬢様も座った。
 メニューは言われた通り、壁にられていてどこから見ても全部見れるように全メニューをってまた全メニューをってを繰り返している。
「お嬢様はどうします?」
「うーんと、オススメ定食にしようかな?陸人は?」
「自分はスタミナ丼にしようかと思います」
 頼むものが決まったところで、「すみません!」と呼びかけるとすぐさま來た。
「何にしますか!?」
「オススメ定食とスタミナ丼を。ドリンクはチャーで」
「かしこまり!!」
 素早く去った係員を見屆けて、お嬢様の方へと見ると、お嬢様はある一點を見ていた。それは馬鹿騒ぎをしている冒険者らしき人たちがお酒をがぶ飲みしているところだった。
「お嬢様、明日には出るんですからお酒は控えましょう。強いとはいえ、支障がしでも出たら馬車移は辛いと思いますよ」
「う、うん。そうだよねー。久しぶりに飲んだからまた飲みたくなっちゃって」
 お嬢様は意外とお酒好きだからな。旦那様か奧様の許可なしでは飲めなかったから、久しぶりのお酒に反応しているのだろう。
「はいよ!お待ちぃ!!」
「早っ!」
「早さ命なんでね!!」
 お嬢様がつい聲をあげちゃったのも無理はない。僅か數分で來るとは俺も思わなかった。
 目の前に並べられたお嬢様の定食は、見た目はサンマを太らせたじの魚の定食で、俺のスタミナ丼は鶏?豚?かよく分からないがとにかくタレでこんがりと焼かれたものがご飯にたくさん乗せられている。
「それでは」
「「いただきます!」」
 味しそうな料理を、箸は無いらしいのでスプーンで食べた。スプーンでも意外に食えたが、お嬢様は流石に食いづらそうだったので箸を作り出して渡した。
 チャーは完全にお茶。昔に來たという勇者がんなものを広めたという事は城でも騎士の人たちの會話を盜み聞いて知っていたので、チャーがお茶という予想が當たった。
 食後は言っていた通り、風呂にした。俺が無限収納でなおしていたお嬢様の私を取り出すのは流石に部屋に戻ってからやった。よくよく考えたら無限収納を見られる訳にはいかなかったな。
 そして、いよいよ就寢の時が來た………。
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