《職業通りの世界》第37話 もっと寢かせてほしい

「道が開けましたが、もう一度使いましょう」

 お嬢様の勢をゆっくりと戻して、お嬢様には馬車に戻ってもらい、また槍を作り出して遠くに投げ、また転移した。

「陸人のスキルって本當に便利なの多いね」

「お褒めいただき、栄です」

 振り返る事なく馬を走らせる。背後からは歓聲や拍手が聞こえるが、そんなのに構っていたら時間が足りない。

「次の街までどのくらい?」

「5日かかります」

 《トレナス》に著くまで4日かかったのに、今度は5日で1日しか変わらないがし気が滅ったのか、お嬢様は馬車に引っ込んでしまった。

「また撃をやりますか?」

「うーん、出來れば他の事やりた~い!」

 この様子からして撃は完全に飽きたようだな。となると、他の遊びを考えないとな。……全く思いつかないな。

「お嬢様は何かしたい事はありますか?」

「え?うーん、何だろ~?」

 お嬢様も特にやりたい事は無いらしいな。今日はまだ大丈夫だろうが、明日からは「ひまひま」とうるさくなりそうだし、早めに考えてないと。

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「今のは一何だったんだ?」

「あれって、勇者様じゃなかったか?」

「ああ!黒髪も見えたし、あの馬車も勇者様が乗ってたやつだった!」

 何やら騒がしい門の周辺。俺はギルド長という事もあって、到著が遅れてしまったのだが、今日一日中は対処しないといけないであろう《ブリキアント》の群れがいつの間にか消えている。

 そんな事は俺以外出來るはずも無い。いや、俺だと効率は悪くなるからもっと時間がかかってしまうか。

 だが、それをした奴は周りの奴の會話から聞いている限り、あの2人らしい。あいつらから滲み出ていた魔力の質や量からただ者では無いと思っていたが、まさかここまでとは。やはり、勇者というものは並外れた力を持っているのが普通らしい。

「なに喋っている。早く門を平常通りに使えるようにしておけ」

「「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」」

 冒険者たちに指示してから懐からギルドカードを取り出す。そこにはSという文字が大きく記されている。

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 俺はSランク冒険者の末席だから分かるのだが、他のSランク冒険者たちは普通じゃない連中だ。あいつらのこれからの旅……いや任務に立ち塞がらないといいんだがな………。

「もう寢ましょうか」

 特に何も起きず、夜が來た。夕飯も終えてお嬢様は馬車の中に向かう。

 お嬢様は馬車の中、俺は近くにテントを張って寢ている。最初はお嬢様に何度も馬車の中にるように言われたが、見張りも兼ねていると言って無理やり話を切り上げたので今は何も言って來ない。

 今まで通り、何も起こる事なく寢れると思っていた。だが、生きが寢靜まり、夜行の奴が靜かに行する音しか聞こえない夜中に、微かに金屬同士がれ合う音が聞こえた。つまり、何者かが近づいて來ているという事だ。

 全く、こちとらあんまり寢てないのに馬車をっていたんだぞ。もっと寢かしてほしいものだ。

 ゆっくりと寢袋から出て、隠のスキルを使う。その次に空間把握を使って敵の位置を探ると、俺たちの馬車の近くにある多くの茂みの中の俺たちに近い方に2人忍んでいる事が分かった。

 幸いな事にお嬢様のところに來る前に俺がいるテントを通らないといけない位置関係なので、迎え撃つ事が出來そうだ。

 無限収納から刀を取り出して右手に持ち、気配も限界まで抑える。

 ゆっくりと音を立てないように歩いているが、俺には草とれる音や僅かな足音まで聞こえる。

 そして、遂に俺のテントの出り口の近くまで來たので、俺はテントから飛び出し、近くに居た方の頭を地面に叩きつける。

「うっ!?」「えっ!?何でバレたの!?」

 もう1人の方へと走り込み、足を刈って浮いたところにさっきの奴と同じように地面に叩きつける。

 ……この一連から妙に軽い重、そしてき聲や驚いた聲から嫌な予はしたが、こいつらか?

「痛いっ!離してよ!!」

「寢込みを襲おうとした奴を離すかよ」

 最後に叩きつけたの肩を右足で押さえて立てないようにし、最初の方は麻痺毒を塗ってある針を叩きつけた時に刺しておいたので問題無い。

「さぁて、何で俺たちを襲ったか。聞かせてもらおうか?」

「……ふん!もう1人居るのは分かってるんだからっ!暴したら怒られるあなたに何が出來るの!?」

 どうやらお嬢様の事も知っているらしい。いよいよこいつらが何者なのか聞き出す必要があるな。

「お前何にも分かってねぇな。何もに苦痛を與えるだけが拷問じゃねぇ。紅葉さんに教わった神の壊し方を試すか、新しいスキルを創って試すか、悩むなー」

「ヒッ!う、噓……よね?」

「どうだかな?取り敢えず、痺れとけ」

 暗闇で顔は見えないが、怯えていそうなに毒針を刺して立ち上がって空間把握を使う。……お嬢様は寢返りをうった程度で起きてないな。

「あ、そうだ。2つともすれば良いんだ」

 執事たる者、夜に目を利かせるべきで、執事たる者、幻覚を使って相手を制すべき。

 スキル

・夜目 (執事たる者、夜でも問題無く行出來ておく)

・幻覚魔法適正 (執事たる者、幻覚魔法ぐらい扱えるべき)

 を獲得しました。

 夜目はスキルだったが、幻覚は幻覚魔法があるらしいな。まあ、このスキルのおでその魔法も分かったから別に良いか。

「さぁて、長……思ったよりは長くない夜が始まるな」

 俺は正方形のテントと長方形のテントを作り出して組み立てる。毒のおかげで聲も出せない襲撃者たちは、何やら音が聞こえている中でどんな顔をしているんだろうな………。

「ふぁ~あ、よく寢た……」

「おはようございます。もうお食事は出來ていますので、用意を終えたら召し上がってください」

「うん……。あれ?こんなテントあった?」

 お嬢様が眠そうに目をりながら、指差したのは真っ黒な正方形と長方形のテント。昨日か今日の夜に立てた俺のテントだ。

「あれには昨日襲って來た奴が居ます。今はちょっと報を聞き出そうとしているところです」

 朝で頭が上手く働いていないからか、「ふーん」とだけ言ってお嬢様は行った。今のうちに済ませよう。

 まず、最初に叩きつけたがいる正方形のテントにる。そこにはイスにを締め付けられ、口からヨダレを垂らしている気品も無いが居る。

 茶の髪は短く、ハイライトの消えた灰の目には赤い魔法陣のようなものが浮かび上がっている。黒裝束にを包み、中々大きながある、一般的に人に位置するは完全に見る影も無い。

 このには目の前でひたすら家族を殺される夢を見させている。一応、自分たちの正と目的を答えたら解けるようにはしたが、無駄に強だったので答える前に神が崩壊してしまったらしい。後で神を治す魔法なりスキルなり使わないとな。

 次にもう1人のがいる長方形のテントにる。ここはテントの中にもう一つ部屋があって、ってすぐ扉と中を覗けるマジックミラーがあり、そこから中を覗くとこまらせているが居る。

 このテントでは、真っ暗な空間に一定時間で水滴の音が鳴るようにしている。紅葉さんから教わったのだが、これは時間がかかるタイプのやり方だったらしいな。

 すぐに切り上げ、正方形のテントにり、スキルを創る。

 執事たる者、メンタルケアもしっかり出來るべき。

 スキル

神治癒 (執事たる者、仕える者の神を癒せるようにすべき)

 を獲得しました。

「ねぇ?って良い?」

 スキルを獲得した途端に、お嬢様の聲が聞こえた。マズイ!お嬢様にこんなのを見られたら怒られるどころじゃない!早くこいつの神を治さないと!!

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 訂正しましたが、《トレナス》の事を次の街である《センコーン》と書いてしまいました!混させてしまった方には申し訳ありません!!

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