《職業通りの世界》第38話 面倒が増えた

 早く!早くしないと!こいつの頭に手を付け、スキル神治癒を発すると、をビクつかせた後に徐々に目のハイライトを取り戻していく。

るよ~」

 ヤバイ!ヤバイ!早く戻って來いよ!いくら拷問とはいえ、やり過ぎた事は謝るから!だから、早く戻って來いぃ!!

「……あ、ぁあ。アレは夢……だったの?」

「そうだ!あんたに自白させる為の夢だ。だから、今から來るお嬢様には酷い夢を見せた事は黙っててくれないか!?」

 目覚めたばかりのこいつの耳元で、小さな聲で頼み込む。もちろん、酷い事をした奴の事を聞くとは思えない。何かしら脅す必要があるか?

「もし、黙っていたらあんたの仲間もあんたも無事に帰してやる。だが、黙っててくれないなら俺は腹いせに何をするか分からーー」

「黙ります!黙りますからっ!!」

 涙目で今度はが頼みこんで來た。頼みこんで來た奴に頼み込むというよく分からない狀態だが、これで大丈夫だろう。

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「お嬢様!って來て構いませんよ?」

「な~んだ、居るなら早く答えてよっ」

 し俺の事を疑っているじでって來たお嬢様に、苦笑いを浮かべながらチラッとを見ると、は小さく頷いた。

「いくら襲って來たとはいえ………これは無いと思うけど…」

「お嬢様が嫌になるのは理解できますがお嬢様のの安全を確たるものにするためです」

 お嬢様はを解放するように目で訴えてくるが、正も目的も知れていない狀態で解放する訳にはいかない。

 無理だと諦めたお嬢様は、今度は近づいて話しかけている。

「ねぇ、何で私たちを襲ったの?」

「……………」

 當然黙。お嬢様はなんと目を瞑って知らん顔をしているの首を摑んだ。突然の事には驚きを隠せないでいる。

「私は勇者って言うらしいんだけど、勇者って悪者は殺さないといけないのかな?」

 平生の口調と全く同じなのに、言っている事はお嬢様から出たとは思えない事。そのギャップには涙目になっている。

「…冗談だけど、もし私を殺しに來たら殺し返す気はあるよ」

 お嬢様はそれだけ言って手を離し、テントから出て行った。

 お嬢様らしからぬ発言だったが、この世界ではそれくらいの気持ちが必要とお嬢様は考えたんだろう。現にお嬢様の気づかないところでこいつらが來た訳だしな。

「……で、教えてくれるのか?お前たちの正と目的を?」

「…正は下っ端としか言えません。けど、目的は言えます」

 もうこれ以上怖い思いをしたくないとでも言っているかのような、弱々しい顔では言う。

「目的は勇者全員の暗殺及び、りすまして騎士団長の殺害です」

 俺たち全員の暗殺とカレナさんを殺害するのがこいつら……、いや、こいつらとまだ他の暗殺者たちの目的か。

 俺たちの暗殺は國の戦力を削る事とりすまして近づく事で、こいつらの組織の真の目的はカレナさんの殺害。あのメイドにりすました奴もこいつらと同じ連中か。

「約束通り、お前たちを解放するが、暗殺の道から手を引け」

「え?それは……」

「組織が許さないって訳なら國王に匿ってもらえ。自分たちの正ややってきた事を自白してな。もちろん、その場で死刑を執行されるかもしれないが……、組織から完全に隠れて生活するよりは生きるみはあるんじゃないか?」

 俺の提案に答えずにいるという事は認めているって見て良いだろう。理解しているんだろう、どの道死ぬ可能の方が高いと。……今更ここで放ったらお嬢様に嫌われるかもしれないからという事で。

「ほらっ」

 を解放してから、1発の銃の弾を渡す。それをけ取って何かも分からない様子だという事はこの世界では知られていないって事か。なら、余計に効果があるな。

「それを素を言った後に國王か王に見せて『執事さんに更生する意思はあると認めてもらいました』と言え。それなら、余程大罪人じゃない限り、殺されはしないはずだ」

 自分でも何でこんな事をしているのか分からないが、俺にも他の奴に優しくするという気持ちが芽生えたと思えば、長している気がして悪くは無いと思える。

「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうござーー」

「いいから、さっさと付いて來い。お前の仲間にはお前から説得しろよ」

 ありがとうありがとうとうるさいを連れて、テントを出て別のテントにる。

 テントを見渡すを無視して壁を蹴り壊す。すると、腑抜けた聲が聞こえた。夜目を使うのも面倒くさいので辺りをさっきのテントと同じように、ランタン型の魔道で照らす。もちろん、俺が作ったものだ。

「ふっ、ふん。全然大した事はーーメサ!?」

「元気そうなら良かった…」

 メサはメサのツインテール版のに抱き著く。…2人並ぶと雙子みたいだな。まあ、の差はあるが。

「………お禮は言わない「メイカ?」ありがとうございます。私どもはあなた方のお命を狙ったというのに」

 メイカとメサは2人並んで頭を下げた。メイカは生意気な事を言いかけていたが、メサの一言で黙った。どうやら力関係はメサの方が上らしい。

「で、どうするんだ?」

「はい、え~と執事さんの…「陸人だ」…リクトさんの言う通り、王都《グレイア》に向おうと思うのですが……」

「ここからはまだ近いんですけど、安全に著くとは思えないので…」

 あ~、言おうとしている事が分かってしまった。聞きたくない、聞いてしまった時點で葉えるという可能が生まれてしまうーー

「私たちを《グレイア》まで送ってしいんです!」

「そんなの無理に決まってーー」

「いいよ」

 斷ろうとしていたのに、橫にお嬢様が來て返事をした。しかも、許可するという、ダメな方の答えを。

「お嬢様!王都というのは自分たちが居た城があるところですよ!?今更引き返すなんてーー」

「だったら、任務が終わって一緒に帰ればいいじゃない」

 お嬢様は至極當然のように言う。そんな主に食料的に余裕の無い狀態であっさりと認められる訳がーー

「陸人なら分かるでしょ?行き場も帰る場所も無い人の気持ちは」

 俺は反論出來なかった。ここで反論してしまえば、俺は過去にお嬢様に助けられた行為自を否定する事になるからだ。

 それに、斷ったら、困った人を見返りなく助けるお嬢様のお嬢様らしさを殺す事になる。それだけは……、お嬢様に助けられた俺がしてはいけない事だ。たとえ、死ぬ事になったとしても。

「…分かりました。任務自に參加させないという條件付きなら」

「別に參加しないよね?」

「「もちろんです!!」」

 2人とも首を激しく振った。まあ、それなら大丈夫だろう。向こうの森に著いたら馬車の番でもさせておけば関わる事は無いだろう。

「あと、スキルを教えろ。一応こっちはリスクを背負う訳だからしでも対応しやすくするためにな」

「あ、はい!」

 メサの方が答えて、紙を渡すと2人とも書き出した。數十秒で書き終え、スキルの一覧が書かれた紙をけ取る。

 お嬢様が俺の事をジト目で見ているが、無視して目を通した………。

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 中途半端なところで終わってしまい、申し訳ありません。

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