《職業通りの世界》第40話 ばっかり
 2人と出會ってから2日が経って街を出てから3日目。ついに街で買っておいた食料が底をついた。まあ、普通に考えれば倍の速度で無くなるのは當たり前だ。
 因みにメサとメイカは昨日で漸くスキルを獲得した。俺の馬縦適正とは違い、者適正というスキルらしいが。
「で、どうします?」
「すみません!私たちが居るからこんな事に……!」
「メサちゃんたちが悪い訳じゃないから、どうするか決めよう?」
「そんなの、を捕まえて食べたら良いじゃない?」
 みんなが當然思い付いていた事をメイカが言う。だが……
「誰もを解出來ないんじゃーー」
「紅葉さんに教わったのはそこそこ前なんで自信は無いんですが、一応出來ますよ」
 お嬢様が言おうとする前に俺が間に挾む。それを聞いてお嬢様は『早く言ってよ』と言いたげな顔になる。
「ですが、お嬢様はあんまり生きを殺す事に抵抗があると思ったので…」
 そう、お嬢様は昔から蟲すら殺せないほど生きの命を大切にしている。だから、冗談だとしてもメサにあんな事を言ったのは衝撃だった。
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「でも、そうしないと生きられないじゃん」
 お嬢様は當たり前のように言った。確かにその通りだが、悩んでいた俺が馬鹿らしく思えてしまう。俺の知らないうちに、お嬢様はもうこの世界に順応しているかもしれない。
「分かりました、では獲を探して來ますので々お待ちください」
「え~、私も一緒に行きたい~」
「晝食の時には同行して構いませんから、今回はお待ちください」
 「……分かった」とし不貞腐れたじだったが、一応分かってくれたみたいだ。
「メサとメイカ、お嬢様の事頼んだぞ」
「はい、いってらっしゃいませ」「私は子供じゃな~い!!」
 メサとお嬢様の聲を聞いて、俺は近くの森へと足を踏みれた………。
「しっかし、居るのは蟲かさっきから來る魔くらいだな」
 俺は先程來た《ホーンラビット》という、普通のウサギの頭に鋭い角が生えた魔を蹴り飛ばしながらボヤく。
 予想はしていたが、やっぱり普通に魔は出るみたいだな。それに、魔は死ぬと魔石という石を殘して後のは蒸発してしまった。
 あの博館で見た魔の剝製はの皮を魔風にしたのか、もしくは何か特別な方法でが蒸発するのを防いだのか。
 まあ、魔石は換金出來るらしいから拾っておくけど、お嬢様がやった《ブリキアント》、あれを普通に倒していたら魔石が大量ゲット出來たんだろうな。お嬢様が魔石ごと消し炭にしたのはしやり過ぎたのかもしれないと金銭面的に不安になって來た今だから思う。
「お、漸く見つけた。あれは…鹿か。抜きとかをしっかりすれば味しいんだよな……!」
 右手に肘から肩くらいまでの長さがある針を作り出し、構える。狙うは頭、一瞬で仕留める。
 俺は靜かだが、充分な速度を持った針を投げ、針は鹿の耳の辺りに見事貫通した。
「あ、お帰り~。捕まえれた?」
「ええ、鹿を捕まえました」
 お嬢様に見せるため、無限収納から鹿を取り出す。お嬢様は軽く黙禱をした後、鹿を見渡している。
 メサとメイカも鹿……というより、無限収納を使った左手をジッと見ている。無限収納をスキルで取りたいのだろうが、多分無理だぞ。
「では、調理して來ますので適當に時間を潰しておいてください」
「じゃあ、お皿とか置いといて。並べておくから」
 お嬢様は當然のように皿並べをしそうなので、機と椅子を作り出し、皿も無限収納から取り出した後にメサたちを見る。お前ら、お嬢様より先に並べろよ?
 だが、俺の視線での訴えも虛しく、お嬢様は素早く皿を並べていく。もう仕方ない、さっさと調理しよ。
 一応スキルとして持っておいた方がうまく出來るよな。
 執事たる者、の解程度、素早くこなせるべき!
 スキル
 ・解 (執事たる者、解程度の雑事はこなせるべき)
 を獲得しました。
 よし、さっさとやるか。あんまり生きを解するのは好きじゃないが、これが自然の摂理。栄養にさせていただきます。
 朝から鹿を焼いて食べるという、なかなか重い朝食を終えて、今度は晝。晝ならどんな獲でも大丈夫だろ。
「よ~し!初めての狩り!!」
 馬車から降りた途端、凄く森にりたそうにしているお嬢様を見ながら、馬を近くの木に停める。
「狩りなのかもしれませんが、魔が出るので気をつけましょう」
「分かってるって~」
「私たちも行くんですか?」「あんまり魔は倒せないわよ」
 行く気満々なお嬢様と行く気が全くない2人を連れて森にる。
 歩いて1分も経っていない。予想はしていたが、俺たちに魔が襲いかかって來た。
 相手は鋭い口を持った針の無い赤ちゃん程度の大きさの蜂の姿をした魔《ギロチンビー》だ。博館で見た報だと、クワガタのような口で人間を三等分にして巣に持ち帰るという、殺人蜂。
 それを見たお嬢様は、
「キモい」
 と言って、全に炎を浴びせて倒した。魔石が落ち、俺がそれを回収して先に進む。
「あの《ギロチンビー》を一瞬で…」「普通じゃない…」
 メサとメイカはお嬢様の魔法を初めて見た事もあって、かなり驚いていた。だが、お嬢様は狩りをするので頭がいっぱいのようで、聞こえていないようすで歩いている。
 《ギロチンビー》はBランク冒険者以下なら複數で居る事が義務付けられている、危険な魔だ。そんな魔もすぐに燃えカスになったが。
「陸人、見つけても手出さないでね。私が捕まえたい」
「構いませんが、威力を調整してくださいね」
 お嬢様の様子からして消し炭にしそうだったんだが、お嬢様は心外とも言いたげに頬を膨らませて俺を見てくる。そんな事に気を取られていたからか、お嬢様は2人に近づく《ギロチンビー》に気付いていなかった。
 《ギロチンビー》は諸説あるらしいが、2匹1組で行する場合が半々程度にあるらしい。それは多くの獲を見つけた時に多く見られるらしい。
「危ない!」
 右手にリボルバー型の片手銃を作り出し、《ギロチンビー》のこめかみらしきところと口に2発、撃ち込む。《ギロチンビー》は鳴き聲も出す暇も無く、倒れた。
 メサとメイカは《ギロチンビー》の羽音が良く聞こえる距離まで気付いていなかったらしく、振り返って腰を抜かしている。
「魔はいつ襲ってくるか分からないんだから気をつけろよ?」
「「は、はい……」」
 2人にそれだけ言って、後はお嬢様に任せる。背後から聞こえてくる聲から察すると、お嬢様は2人に謝っているみたいだ。気付けなかった事にお嬢様が責任をじるのは違うと思うけどな。
「お、イノシシ発見!」
「足止めしてて!」
 話が終わったのかもよく知らないが、全力で走って來たお嬢様による雷をけたイノシシはし歩いて倒れた。
 イノシシのは豚と似ているから料理しやすいが……そろそろ野菜と米がしい……!
 その場で調達する日々が2日続き、やっと2つ目の街《センコーン》が見えた。
 《センコーン》は防壁が街を囲っているのは前と同じだが、門は4方向、東西南北のような位置にしか無い。
 そして、一番驚いたのは……
「何あの塔!?」
 防壁からはみ出るほど高い円柱の建があった………。
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 ここでも追記しておきますが、前の街を《センコーン》と書いてしまったのは間違いです。本當は《トレナス》です。混してしまった方には申し訳ありません!
【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
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