《職業通りの世界》第86話 絡み始める
「…28……29…30……31……32!リクトさん!金貨が32枚もあります!」
 金貨を數えていたメサが嬉しそうに俺に報告してくる。機に並べていた金貨を全て袋へれて持ってくる。その袋にはもともと何もっていなかったが、金貨をれた後だと特有の重量を生地越しからじられる。
「そんなにあったのか」
 金貨のった袋をけ取り、スキル無限収納に納めて金貨の枚數を確認する。メサの數えた枚數に違いはなかったようだ。
「こんなに簡単に儲かるなんて、やっぱりリクトさんは凄すぎます!」
「……そ、そうだな…」
 いつになく顔を寄せて喜ぶメサに驚きを隠せず、何も考えず相槌を打つ。暗殺者時代はそんなに稼げなかったのか?まあ、あれぐらいなら分からなくも無いが…
「それでどうするんだよ?これから」
 巧はし不機嫌そうに聞いてくる。そういえば巧はたまに職業とは違った事をすると我を忘れてしまう時があったな。ついつい忘れてしまいそうになってしまった。今一度しっかりとこいつの向にも気をつけないといけないな。
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「これから俺はこの街の代表に會いに行こうと思う」
「どうやって?」
「表向きは更なる事業の拡張と言うさ。初日で想像以上の果が出た。これを代表は見逃すとは思えないしな」
 スキル無限収納になおした、金貨のった袋を巧に見せると肩をすくめた。どうやら納得はしたらしい。
「それで、代表と會う手筈は出來てるの?」
 お嬢様が俺を真っ直ぐな瞳で見つめている。期待している訳でも無く、問い詰めている訳でも無い、ただ純粋に結果だけを求めているような目だ。
「もちろんでございます。では、參りましょう。お嬢様」
 俺は腰を折り、恭しく頭を下げた。いつものお嬢様なら早く頭を上げてと言うが、お嬢様は何も言わず微笑んだ……。
「先程のショーは見て頂けましたか?」
「ええ!もちろんですよ!あれほどのショーだとは思っても見ませんでした!!」
 俺が現在、街の中でも特に大きい屋敷の中で話をしている男はこの街でのNo.2、大商人の社長だ。
 え太った腹は服に耐え難い苦痛を與え、いつボタンが弾け飛んでも不思議では無い。脂がギットリとへばり付いた顔は見る者を不快にさせるだろう。
 だが、この男は間違いなくこの街では代表の次に権力を持っている。
 この街は他の街とは違い、冒険者ギルド・・・・・・が無い。これは街の治安や魔からの脅威に対して対抗手段が無いと言える。だが、この街は治安が良く、住人たちは魔達に怯えている素振りも見せない。
 それは獨自の治安維持システムがあるからだ。あの強制的に訓練をさせられていた連中が外に迫る魔を退治しているのだろう。男が言っていた言葉を信じるならそうなる。
 なら、そいつらの武は誰が用意する?それはもちろん、商人。それも戦爭事業・・・・にも參しているほどの。
 この男はこの街で一番の大商人だ。それに権力が相當あるのも街の人たちが向ける視線で分かる。俺に話しかけて來たのは投げ込まれた金貨を回収していた時、それも直接脳へ。
『この後話を出來ないか?なぁに、同じ商売人として親睦を深めたいだけさ』
 隣に人の書らしきにこめかみをれられながらもこちらをニタリと笑う表は今思い出しても寒気がする。だが、俺らもやらなくてはならない事があるんでな。
「それで、話とは何ですか?」
「おぉ、そうだった。実は君にこれをプレゼントしたくてね」
 キザに指を鳴らすと、あの書らしきが金の布に包まれたを持ってくる。……形狀からして刃。何故そのようなを?
「布を取る前から気づかれるとは。やはりただの曲蕓師では無いんでは?…その髪と目も本では?」
 ただのクソおやじかと思ったらそんな事は無かった。こいつは紛れなく実力でこの地位に就いたんだ。俺を見る目が商人のそれだ、あらゆる報を知ろうとし、ビジネスチャンスを狙っている。侮る訳にはいかないな。
「そんな事ありませんよ。知人が武の心得えがあり、それをし聞いていたら自然とに付いただけです。髪のも染めてます」
「そうですか…、話すつもりが無いならそれはそれで構いません。ただ、……こちらを見てもらえませんか?」
 俺から報を取る事を諦めたようで、話を切り替えてビジネスの話をする為なのか布を取った。俺の見立て通り、布が巻かれていたのは刃。だが、普通の刃とは違い、不気味な裝飾がされた一振りのナイフだった。
「これは『魔のナイフ』と言います。出元は言えませんが、呪われた武です。それもかなり強いやつでして…」
「それで?そのナイフを見せて何をんでいるのですか?私は解呪なんて出來ませんよ?」
 解呪が目的では無いようで、特に揺もしない。いったいこのおっさんは何を求めてーー
『契約通りだな。ご苦労であった、ドルゥフェン』
「はっ、勿無きお言葉…!」
 突如聞こえた聲。不気味で本能的に人間では無いと認識する。ドルゥフェンと呼ばれたおっさんはナイフに向かって嬉しそうに頭を垂れていた。
「チッ!ナイフからかっ!」
 俺はすぐさまスキル無限収納から黒い刀を取り出し、ナイフへと振り下ろした。
ーバゴォッ!
 ナイフが置かれていた木の機が砕ける。だが、そこにナイフは無く、嬉しそうに歓喜するおっさんのみ。いったいナイフはどこにーー
ードスッ!
 部屋を見渡した俺の背中に何かが刺さった。それは完全に急所を狙ったもので、口からが出る。背中の痛みと重くなり始めた意識の中、どうにか背後へと視線を向けると、そこには口を不気味に歪めた書らしきが居た。
『ははっ、やはりのは良い。りやすい上、こうして……隙を突くのも容易いと來た』
 の口からは不気味な聲とらしい聲が混ざったような聲が出ている。……チッ、確かに認識から外していたが、まさかナイフから人に乗り移るとは…な。
『さあ、勇者様よぉ。俺たちの仲間を散々殺しやがって…!今度はお前らの番だと言うことを分からせてやーー』
「……うっせぇ!」
 俺はの腹へ容赦なく後ろ蹴りをれ、部屋の壁に打ち付ける。は口から反吐を吐き、吐瀉を撒き散らし、俺を睨む。手にはナイフが握られている。蹴り飛ばした時でも離さないでいたようだ。
「どうして魔の関係者らしき奴がこの街に居るかは置いといて、お嬢様にも危害を加えようとしたその思考!一片殘らず消し去ってやる」
『はっ!大きく出たな!人間がぁ!魔族の力、未だしていない勇者如きが葉わぬとしれ!』
 が汚い言葉遣いでナイフで切りつけて來る。それを全て躱し、刀でまずナイフを持っている方の腕を斬り落とす。
『ぎぃやぁぁ!?俺の腕がぁぁ!!』
「てめぇの腕でも無いだろ!乗っ取られた憐れなと共に消え失せろぉ!」
 腕を斬り落とされた経験が無いのか、無くなった腕の先を抑えながら地面にのたうち回るごと、真っ二つに斬った。が噴水のように飛び散り、俺のに付著する。
 その一部始終を見ていたおっさんに聞いてみた。
「全てを話すつもりは無いか?」
「もちろん、全て話します」
 命の方が大事なのか、あれほどあの魔族とか言う奴が現れた事に喜んでいたおっさんは簡単に観念した………。
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