《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》魔法の練習。
「さて、魔法の練習を始めましょうか?」
「アリサ先生……、これだときが取れないです」
昨日の一件――。
本當の意味で俺の婚約者となったアリサ。
彼は、昨日からずっと笑顔で、俺に抱きついてきたり布団の中では抱き枕にしてきたりと暴の限りを盡くしている。
まぁ、俺も……そういうのは大好だからいい!
ただ、一つ気になることがある。
人というのは、幸せの量が相対的に決まっていると前世で読んだ本に書かれていたのを見たことがある。
つまり、今の俺の狀態というのはモテ期が來た語の主人公な気がしてならないのだ。
もしかしたら、そのうち領を魔王とか魔族が侵略してきたり、魔の大行進が始まったりして……、俺、一人! 命がけで戦うようなことには……。
……なるわけがないよな!
そんなフラグが発生するとか、俺も自惚れすぎだろ!
何が語の主人公だよ。
どう考えても、俺とか、ここはチバという村です! と、言うNPCの役目くらいの配役だ。
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そんな一般人相手に々とイベントが起きるわけがない。
アリサとの一件は、おそらく俺の最初で最後の大型イベントみたいなものだ。
「ふう……」
し、バカな事を考えすぎてしまったようだ。
「アルス、何か考え事なの?」
アリサが、後ろから俺を抱きしめてくる。
長差で、俺の後頭部がアリサのかなの中に埋もれていく。
これは……、男の夢の一つ! おっぱい枕!
「いえ、アリサ先生は素晴らしいと思いまして……」
そのまま言うと、軽蔑な眼で見られそうな気もする。
見られたら見られたでゾクゾクしそうだから、それはそれでありだ!
だが、今は無駄に問題を起こす必要もない。
そういうこともあり、オブラートに包んでアリサ先生を褒めることにした。
「そ、そう?」
「はい。これは、とてもいいものです!」
俺は、アリサの満なを後頭部で楽しみながら言葉を掛け続ける。
まさか、転生してこんな特典がついてくるなんて思わなかった。
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ああっ、転生してよかった。
もう、思い殘すことはないよ……いや、死にたくないけど。
「アリサ先生は、とてもいい匂いがします」
俺は、振り返るとアリサのに顔を埋める。
ああ、すばらしい。
これが20年以上、社畜人生を送ってきた俺への送りなのだろう。
気がつけば、日は沈みかけていた。
瞼を開けた先には、アリサが心配そうな表で俺を見下ろしていた。
「大丈夫? アルスったら、いきなり意識を失ったから……」
「そ、そうなのですか……」
どうして、自分が意識を失ったのか分からない。
もしかしたら、俺が思い殘すことはない! とか思ったからかも知れない。
自分が転生してきた理由が、いまだに判明していないのだ。
下手な真似はしないほうがいいかもしれない。
「でも……どうして、僕は意識を失って――」
「それは分からないわ。アルスがね? 私のに顔を埋めてきて、何度も呼吸したと思ったらね、いきなり中の力が抜けて倒れたからびっくりしたのよ?」
「……」
なるほど……。
つまり、俺は々な意味で自重できずアリサのの中で窒息したか過呼吸で意識を失ったと……。
「アリサ先生!」
「きゃっ! ど、どうしたの?」
突然、立ち上がった俺にアリサは驚く。
さすがにに後頭部を埋めて、顔を埋めて一日を無為に浪費したなんて知られたら両親に合わせる顔がない。
これでは、ただのダメ人間じゃないか!
「アリサ先生、とりあえず魔法のりだけでも教えてもらえますか?」
「ええ!? べ、別にいいけど……本當に? もう、日が沈みかけているわよ?」
「はい! 僕は強くなってアリサ先生や領民を守れるくらい強い男になるんです!」
「アルス……」
俺の言葉に激したのかアリサ先生が、意を決した表で、木で作られた杖を手に持つ。そして杖を山の方へと向けていた。
「森の中だと危険だから。ほら、あそこの山の中腹に古いお城が見えるわよね? あそこなら周りに木が無いから、たぶん大丈夫――」
アリサの言葉に俺は首を傾げながら思う。
あんなところに城なんてあったか? と……。
まぁ、アルスの記憶や知識なんて、當てにならないからな。
きっと気のせいだろう。
「いまから、炎の魔法を見せてあげるわ」
アリサは、それだけいうと杖を両手で構える。
そして――。
「炎の霊よ! 全てを焼き盡くす紅蓮の業火を! 生み出せ! 炎熱弾ブラスト・ボール!」
アリサの魔法詠唱が終わると同時に、10メートルはあろうかと言う巨大な火の玉が形されていき城へと放たれた。
放たれた巨大な火の玉は、古い城の外壁を破壊。
巨大な発を引き起こした。
「アリサ先生すごいです!」
「ふふん! 魔法というのは、イメージで行うのよ!」
「詠唱もアリサ先生が考えたのですか?」
「そうよ! こう見えても私って詩人の才能があったりするから!」
詩人と魔法師に、どんな関連があるのか俺には分からない。
つい、突っ込みをれるところだったが、何とか自分を抑えることが出來た。
「アリサ先生、魔法ってイメージがシッカリしていれば、使うことができるのですか?」
「出來るけど……、そんなに簡単ににつかないわよ? 一つの魔法を極めるのに最低でもイメージを頭の中で思い浮かべて発する魔法言語を開発するまで最低でも一ヶ月はかかるもの!」
「一ヶ月……」
「大丈夫よ! アルスには私が考えた最強を教えてあげるから!」
「……あ、はい。それよりも、僕も魔法の練習を一回だけしてみてもいいですか?」
「――え? べ、別に構わないけど、最初からは、絶対に! 上手く出來ないわよ? 自信を無くしても知らないからね?」
「はい、大丈夫です。ちょっと閃いただけなので――」
そう、俺が閃いた魔法の運用方法。
イメージが大事なら、日本のサブカルチャーの漫畫や小説、そしてアニメの場面を脳裏に思い描いたならどうなるのか?
俺は40年以上、それらにれてきた。
――なら、イメージが大事なら魔法が使えるのでは?
「アルス。杖使う?」
「いいえ、大丈夫です!」
俺は、右手を城の方へ向ける。
何故か知らないが、城全が黒い霧のようなに包まれている……そんな気がする。
もしかしたら城の中に何か火薬のようながあったのかもしれない。
それなら、大問題だ!
何かあったら、俺のアリサのせいにされてしまう!
「いきます!」
俺は頭の中でイメージする。
上空から隕石が降るイメージだ。
ここから山の中腹までは、かなりの距離がある。
層圏から直徑5メートルほどの隕石を落とせば城を破壊して、事実を隠蔽できるかもしれない。
「メテオ・ストライク!」
俺の確信ある聲が周囲に響き渡る。
俺もアリサも無言だ。
もちろん、アリサは俺の魔法がどんなのか知らない。
俺は知っていたが、発するまでは自慢ぽくなってしまうので言えなかった。
そして……數分待っていたが――。
「…………ダメみたいね」
「はい……」
アリサの言葉に俺は溜息をついた。
やはり、魔法は難しいらしい。
「明日から、がんばりましょう!」
「はい。今日は魔法を失敗しましたけど! 明日からは頑張ります!」
「その意気よ! さあ、帰りましょう!」
俺とアリサ先生は、手を繋いでそのまま岐路についた。
家に帰ったあと、シューバッハ騎士爵邸を含めて村全が大きく揺れ、アリサも母親もすごく揺し父親は、騎士爵邸から出て村へとむかった。
そして夕飯時に父親は、「村では、幸い誰も怪我人は居なかった」と安心した表で俺達に教えてくれたが、地震をしたのは、俺以外は始めてだったらしく、中には恐怖から「おのれ! 勇者めえええ」という幻聴が聞こえた人もいたとかいないとか……。
やはりパニックは危険だな。
普段からの防災訓練は必要かもしれない。
俺が領主になったら、そのへんも考えないといけないな。
その頃――。
アルセス辺境伯領。
都市アルセイドの辺境伯低にフレベルト王國の王宮から早馬が到著していた。
「ア、アルセス辺境伯様、フレベルト王國王宮からの早馬が――」
アルセス辺境伯邸は、部屋數200を超える巨大な城である。
その執務室に、アルセス辺境伯領の兵士が數度のノック後、室してくる。
アルセス辺境伯の年齢はすでに50歳に達している。
髪には白髪が混じっていて、確かな齢を刻んできた皺が、その顔にはあった。
「王宮からの早馬だと?」
「ハッ! こちらが――」
兵士は主であるアルセス辺境伯の前で跪く。
そして、謝罪しながら王宮から早馬で屆けられた封書をアルセス辺境伯へと差し出した。
「これは!?」
手紙を見たアルセス辺境伯は、眼を見開く。
そこに書かれていた容が、あまりにも現実離れしたであったからだ。
「至急! 兵士を招集させろ!」
「一、どうしたのですか?」
「フレベルト王國の王宮からシューバッハ騎士爵領に封印された魔王が居ると報告があったのだ。周期的に魔王が復活するまで2日も時間がない!」
「そんな……それでは……ですが……、シューバッハ騎士爵領までは馬でも最低一週間は――」
兵士の悲痛なびにアルセス辺境伯は苦蟲を潰した表で窓の外を見上げる。
「せっかく魔法が使える子息に恵まれたというのにな……」
アルセス辺境伯の悲嘆に暮れた聲が室に響き割っていた。
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