まずは、自分の置かれている現狀の確認が必要だな……。

俺は家の中を確認していく。

寢室に居間に父親の書斎。

どれも俺が、最初にアルスの知識と経験が融合されたときと同じ狀態だ。

「そうすると完全に同じ時間に巻き戻ったのか？　いや。だが……、そんなことが可能なのか？」

俺は顎に手を當てながら考える。

そもそも時間連続というのは、同じ時間軸を一方通行に積み重ねていくものであって、その時間軸を遡ることは不可能だと科學的認識から地球で大半の學者から否定されていたはずだが……。

問題は……、この世界には魔法が存在するということ。

その魔法が、どこまでのことが出來るか分からない以上、考えるのは無駄なんだよな……。

もう溜息しかでない。

それでも、死に戻りがあるなら、ある程度は無茶が出來る。

とりあえず……。

「川原にいくか……」

俺は母親に不審に思われないように……、まてよ？　俺が水を汲むようになったからニートのアルスがよく思われたのも魔王認定の引き金の可能が……。

「お母さん、ちょっと散歩に行ってきます」

「ええー！？」

寢室で片付けをしている母親に言うと驚いた聲をあげると俺に近づいてきて抱きしめてきた。

「とうとう、引きこもりのアルスが、外に……」

おいおい、一、アルスはどれだけ親に迷かけて……。

とりあえず、俺の母親であるライラは、結構な人でも大きい。

おかげで真正面から抱きつかれている俺は母親のに顔を突っ込んでいて。

「お母さん、苦しいです……」

俺がジタバダしている間にも母親は、俺の頭を嗅いで、やっぱり私の息子は最高だわ！　といっていた。

ようやく開放された……。

俺は、疲れたを引き摺って川原に到著した、

「やっぱり巖も元通りだな……」

俺は砂にしたと言われた巖も、元通りの大巖に戻っている。

そして山の方を見ても中腹には森しか見つけることができない。

「ふむ……」

総合的に考えると、山の中腹に存在していた城は魔王の城とか封印されたものだったんだろうな。

それを俺が破壊したと……。

「死ぬ間際に、理解したことは二つ」

俺は、川に手を向けながら頭の中で炎が作られる現象を思い浮かべる。

大きさは１メートルほどの炎の玉。

「ファイアーボール！」

俺の言葉が、その場に鳴り響くが魔法が発する様子は無い。

次に思い浮かべるのは、誰かを守りたいというイメージ。

それは――。

「ダメだ……。さすがに、転生者を殺すような世界で、誰かを守りたくなるようなイメージが簡単に沸くわけがない」

これは、俺の想像だがアルスは元から勇者だったのでは？　という疑問だ。

俺が勇者なわけがないし、そもそも魔法の発に必要な明確な空想や想像力というのは、現代日本人でサブカルチャーに親しんでいた俺だからこそ――いや、日本人なら誰でも出來ることだと思う。

「はぁー……」

俺よりも、もっと若い奴を連れてこいよな……。

４７歳の中年を連れてきても意味ないだろうに、若い奴なら正義とか自分に酔って、俺が助けないと！　とか言いながら勢いで助けたかもしれないのに……。

「とりあえず、このまま考えていても仕方ないな……」

山の中腹までの距離は、かなりありそうだが現地を確認したほうがいいだろう。

川を越えて山の中にっていく。

中腹に向けて歩いているとしずつ木々の數が減っていき、気がつけば川に出ていた。

「ふむ……」

城が見えていたのが２週間後だったから、おそらく城が見えないときは人が近寄れないように結界か何かが張れている可能もあるな。

俺は近くの川原で小石を拾い木々を傷つけながら山の中腹に向かって歩いていく。

しばらくして、木々を傷つけようとしたら自分が何時の間にか下ろうとしていたことに気がついた。

「なるほど……空間の捩れとかではなくて認識作か何かなのか？」

俺は、地球のサブカルチャーを持ち出して頭の中で考察する。

たしかに、認識作なら結界が解けた瞬間、山の中腹に城が見えたのも納得がいく。

周りの木々の傷を見ながら、一歩ずつ先に進む。

そして進んだ分だけ木々を傷つけていくと、一気に視界が開けた。

そこには、炎で炙られ黒く変した外壁を持つ城が存在している。

その様相は一目で異様だと分かる。

そして城の城門たる場所には巨大な鉄の扉があり、く閉ざされていた。

本來なら、ここで帰るんだが……。

俺に死に戻りの力があるのなら……ある程度、無茶をしても大丈夫だろう。

問題は、どの地點まで死に戻りするかだが……。

実験のしようが無いから、気にしないことにする。

最悪は、死ぬ直前に死に戻りすることだが、それだけはやめてほしいけどな……。

「どこにもれる場所がないな……。

一辺１００メートルほどある城壁を外から確認していくがれそうな場所が見當たらない。

唯一あるとすれば……。

「城の外壁に沿っている蔦を伝っていくくらいか……」

一度だけ唾を飲み込んでから、俺は蔓を摑んで登り始める。

思ったよりも蔓はシッカリとしていて問題なく城壁の上まで上がることができた。

「これは……」

外壁と違って城壁の上から見下ろす部は綺麗なものであった。

まるで、中だけは時間が止まっているようにすらじられる。

「向こうに塔が見えるな」

俺は城壁の上を走り塔の部に足を踏みれる。

塔の部は、石作りの螺旋階段になっていて下へと続いていた。