《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》取捨選択。
「アルス」
「んー……」
俺は、ここ一週間、頑張って魔王城から戦利品を持ち出したこともあり、かなり疲れていた。
どうやら父親が帰ってくるまでと頑張りすぎたようだ。
「アルス、そろそろ起きなさい」
おかげで、母親が俺の名前を呼んでくるけど、疲れていて眠くて起きられない。
もう、ゴールしてもいいよね……夢の中に……。
母親の言葉を無視しながら、冬も近いということもあり寒かったので掛け布団の中に頭までスッポリとる。
一週間、父親は出かけていて母親と二人きりだったので母親の匂いが布団に染み付いていて、とても安心できた。
きっと、俺と知識と経験が統合されたアルスの影響なのだろう。
「……アールースっ!」
母親が、掛け布団を捲ると布団の中にってきて橫になり俺に抱き著いてきたというか抱きしめてきて「そんなに眠いなら食べちゃうわよ?」と、ハァハァと息を荒くして俺の耳を舐めてきた。
何故か知らないが食獣に狙われたような、そんな覚が背筋を這い上がってくる。
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――これは、いけない!!
俺はすぐに布団から出て「起きました! もう起きました!」と言って服に著替えると、すぐに臺所の水瓶に向かい、蓋を外して顔を洗う。
もちろん水瓶の中には、々なが浮かんでいる。
この一週間、新鮮な水を生贄に、魔王城からの戦利品をドロップした結果だ。
所謂、等価換と言う奴である。
それにしても、水ってあまり綺麗じゃなくても、に影響はないんだなと俺は思った。
日本人的覚からすれば絶対に腹に壊すと思っていたのだが、案外にも人間のというのは丈夫らしい。
「いま、戻ったぞ!」
外に通じる扉が開けられたと同時に野太い男の聲――まぁ、俺の父親であるアドリアンの聲が聞こえてきた。
「――ん? アルス。お前……」
しまった!?
父親には、アルスの振りをして対応する予定だったのに、臺所で會うとは予想外だ!
これでは、また俺のすごい才能が分かってしまう!
――ど、どうすれば……!
俺が、どう対応していいか考えていると父親が「お前は、また……こんな時間まで寢ていたのか? 將來はシューバッハ騎士爵を継ぐのだぞ? まったく――」と、頭の上にゲンコツを落としてきた。
地味に痛い……。
それよりも……。
何故か知らないが小言とゲンコツだけ落とされた。
まるで、自分の息子の中が全然変わってないような対応に見える。
それって、つまり……。
――中は47歳中年元サラリーマンなのに、まるで長してないと思われた? 正を不審に思われなかったのは良かったが、まるで長してないように見られるのも、また來るものがあるな……。
まぁ、俺が勇者と知ったら、驚くだろうし、今だけは普通の子供の振りをしておこう。
父親と母親、そして俺の3人で朝食を摂ったあと、俺は川原に來ていた。
何のためかと言うと、魔法の練習のため。
いざという時に、魔法が使えなかったら困るからだ。
魔法に必要な要素は、魔法が発生する際の事象をきちんと創造すること。
そして俺の場合は、誰かを守りたいという気持ちだ。
誰かを守りたい……。
今は、まだ両親が窮地に陥っていないから、すぐに心の中には浮かんでこない。
そして、アリサにも危険が迫っているかすら分からないし、それに……、結局アリサは辺境伯の命令で母親に魔法を掛けていた。
それは、俺の脳裏に深く刻まれている。
「ダメだ……、純粋に誰かを助けたいという気持ちが沸いてこない」
俺は、川辺に存在する巖場の上に、登ったあと腰を下ろす。
死ぬ前は、あんなに簡単に誰かを守りたいと思って魔法が使えていたのに、今は、そんな気持ちが全然、沸きあがってこない。
「はぁー……」
俺は小さく溜息をつきながらアイスアローの発前、発後の事象を想像しながら「アイスアロー!」とぶが魔法は発しない。
「誰かを守りたいと思う気持ちか……」
そんなの……。
すぐに湧き上がってくるわけがない。
だいたい、中は47歳の中年だぞ?
若い奴ならいいが、俺みたいな中年とか詰んだら即、諦める思考になるからな。
前回の魔法王との戦いのときも、よく分からず両親を守ろうとして魔法を使ったし……。
改めて考えると、この世界を救う価値があるかすら怪しいし――。
そう考えると、領地も相続せずに魔王城から拝借した寶を売って町で靜かに一人で暮らした方がずっといいようにも思えてくる。
だいたい、転生者を殺すような人間がいるような世界を――。
勇者を召還して戦わせるような人間ばかりがいる勝手な世界を、どうして俺が守らないといけないのか。
そもそも世界ってのは、その世界の住民が守るべきものだろうに。
それを勇者に任せるとか、酷すぎて同すら出來ない。
「そうだ……」
よくよく考えたら、どうして俺が人のために何かをしないといけない?
アルセス辺境伯だって俺に攻撃を仕掛けてきたし、アリサだって俺のことを裏切った。
それに父親だって、俺のことを信じてくれなかったし、兵士の連中だって俺に矢を打ってきた。
――なら……。
こんな貧乏領地にいるよりも、王都とかに移住して母親と二人で暮らした方がずっといいに決まっている。
幸い、魔王城から手にいれた金銀財寶に防の數々もあるし、それを換金すれば、今よりも裕福な暮らしができるはずだ!
「何とか、母さんを説得して魔王が復活する3週間前までにシューバッハ騎士爵領から王都へ移しよう」
アルセス辺境伯を、ぶっ殺したいのは山々だが、魔法王はかなり強い。
それに魔王がいるのだから、任せておけばいいだろう。
「まずは村で、報を得るとしよう」
駄馬でいいから馬もほしい。
それに馬が引けるような荷車があればベストだろう。
魔王城から手にれたも運べるからな。
豆腐メンタル! 無敵さん
【ジャンル】ライトノベル:日常系 「第三回エリュシオンライトノベルコンテスト(なろうコン)」一次通過作品(通過率6%) --------------------------------------------------- 高校に入學して最初のイベント「自己紹介」―― 「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ。生まれてきてごめんなさいーっ! もう、誰かあたしを殺してくださいーっ!」 そこで教室を凍りつかせたのは、そう叫んだ彼女――無敵睦美(むてきむつみ)だった。 自己紹介で自分自身を完全否定するという奇行に走った無敵さん。 ここから、豆腐のように崩れやすいメンタルの所持者、無敵さんと、俺、八月一日於菟(ほずみおと)との強制対話生活が始まるのだった―― 出口ナシ! 無敵さんの心迷宮に囚われた八月一日於菟くんは、今日も苦脳のトークバトルを繰り広げる! --------------------------------------------------- イラスト作成:瑞音様 備考:本作品に登場する名字は、全て実在のものです。
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