《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》和解。

「祖母の面影があるということですか?」

振りかえったままアルセス辺境伯に問いかける。

すると、俺を両脇から抱き上げると膝の上に載せてきたあと、頭をでてくると「そうだな」と答えてきた。

「アルベルタは、とてもしいであった。何より彼は、王家からも信頼が厚かったからな」

「王家からですか?」

「そうなる。先々代の巫姫であったからな」

「巫姫ですか?」

俺は、首を傾げる。

たしか、俺を殺そうとした時に、巫姫の名前をアルセス辺境伯は出してきた。

つまり、先々代の巫姫と俺が縁関係ということか。

――と、なると巫姫が、どのような役割を擔っているのか、詳しく知っておく必要があるな。

正直、俺を殺そうとしたアルセス辺境伯に聞くのは心的に微妙だが、今はそれどころじゃない。

しでも問題を見つけて報を得て行をしないと……。

フィーナや母親が、危険に曬されることになる。

「そうだ。フレベルト王國では、もっとも幻視の魔法に長けたを姫巫としているのだ」

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「幻視の魔法ですか?」

俺の言葉に父親であるアドリアンとアルセス辺境伯が頷いてくる。

ただ、父親はアルセス辺境伯に説明を任せるようだ。

「幻視の魔法というのは、これから起きる出來事を夢の中で見るというものだ」

「夢の中で……ですか?」

――それは予知夢もしくは正夢と言うのではないのだろうか?

たしか正夢というのは、これから起きる出來事を夢の中で見るものと定義付けられていたはず。

そして、予知夢というのは、これから起きることを暗示するようにメッセージとして夢を見るものに教えるものだったはずだ。

「それは、これから何が起きるかハッキリと教えているものなのですか?」

「そうだ。巫姫が見る夢は、予言される容は必ず起きる」

「……」

そうなると正夢の可能が非常に高いな。

これは、厄介だ。

確定で起きる出來事を事前に見られるということは大きなアドバンテージになると同時に、避けられる可能が非常に低いことを意味する。

ただ、一週目では魔王が復活すると予言されていたにも関わらず魔王が殺されたと部下が激怒して攻めてきた。

つまり、正夢と同時に予知夢の可能も捨てきれないわけか――。

「――ところで、アドリアンよ。こんかいの訪問、ライラの子息を見せにきただけなのか?」

「いえ。シューバッハ騎士爵領において魔王が封印されている城を発見いたしました」

「何? もう一度、言ってもらえるか?」

「はい。魔王の城が存在しておりました」

「……ま、魔王だと!? あの……魔王か?」

「はい、クレベルト王家が絡んできていましたので……おそらくは――」

父の言葉に、アルセス辺境伯は顔を青くして「そうか、聖典の記されている魔王カダードが封印されているというのか――」と呟いたあと、俺を床の上に下ろすと立ち上がる。

「すぐに魔法師団長アリサの招集を! それとフレベルト王家に早馬を!」

「分かりました! すぐに!」

アルセス辺境伯の言葉に、扉の外で待機していたであろう人間が、返事をすると通路を走っていく音が聞こえてきた。

その音はすぐに聞こえなくなる。

「ところで魔王が封印されていたと、どうして分かったのだ?」

「はい、それは――」

「お父さん、そこからは僕が話したいです」

「――アルス……」

「――ん? どういうことだ?」

俺の言葉に、アルセス辺境伯は不思議そうな表を俺に向けてきた。

アルセス辺境伯のことは信用していいか分からない。

それでも、話は通しておくべきだろう。

「なんと言うことだ……」

俺が何度も巻き戻りを経験していると、俺自信の口からアルセス辺境伯に伝えると彼は、床の上に座り込んでしまった。

「まさか……私がライラの子息を手にかけるとはな……」

「僕の言ったことを信じてくれるのですか?」

「ああ、信じる以外に道はないだろう? お主は、時折、私に向けて殺気に近い視線を向けていたのだ」

「……それは気がつきませんでした」

「殺された相手なのだ。なら、その殺気は當然だ。どんな理由があったとしても自分を殺そうとした、もしくは殺した相手を目の前にして、怒りや憎しみ――そして殺気を隠すなど容易ではない。まして何度も巻き戻りを経験しても、お主は子供なのだ」

まぁ、中は47歳の中年だけど――。

その辺は、父親にも母親にも話をしていないから勘違いしておいてもらおう。

「はい……、でも僕は守りたい人がいるんです。だから――」

「分かった。お主の話から対応策を練ろう」

アルセス辺境伯の言葉に俺は頷く。

これで、アルセス辺境伯の許可は取れた。

「それとお願いがあるのですが――」

俺が口を開いたところで、部屋の扉が數度ノックされた。

にノック音が鳴り響く。

そして、「魔法師団長アリサです。至急の召集ということですが」と、聲が聞こえてきた。

それは、俺が知っている彼アリサの聲であった。

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