《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》決戦への布石(8)

「あ、アルスくん……あ、あれって――」

フィーナは俺より年上だが、栄養が悪いせいで長が俺よりも低い。

そんな彼は、俺の服袖を摑んで前方で石炭を砕いてにしている兵士達を怯えた眼差しで見ていた。

たしかに、子供だと大人が大聲を上げて石炭に槌を振り下ろしている姿は怖いもあるかもしれない。

「大丈夫だ、俺がフィーナを今度こそ守るから――」

俺の言葉を聞いたフィーナは余裕が無いのか何度も機械的に頷いてくる。

そんな彼の手を握り締める。すると、「――あ、アルスくん!?」と、顔を真っ赤にしてフィーナが俯いてしまう。

それと同時に握っている手から、の子特有のやわらかいが伝わってきた。

「それじゃいこう」

「私が、行ってもいいのかな……」

俺の言葉に彼は及び腰であったが、ここまで來たからには村に帰るわけにはいかない。

何せ、俺に気がついた兵士が何人か大きな天幕へと、慌てて向かっていったのだから。

それと同時に思ったよりも早く話が進むかも知れないと淡い期待を持ってしまう。

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中々、こうとしないフィーナに、どう聲をかけようかと迷ったところで「アルスか?」と話かけられた。

そこには、アルセス辺境伯が立っていた。

おそらく兵士からの報告で來てくれたんだろうが……、まさか辺境伯自らが來るとは思わなかった。

「アリサから話は聞いておるぞ? さっさと來るがよい」

「はい!」

俺は頭を下げる。

すると俺の後ろに隠れていたフィーナに気がついたのか「アルスよ、その娘は?」と問い掛けてきた。

「はい、彼はシューバッハ騎士爵領に住まう者です。じつは折りってお願いがありまして參りました」

「……ふむ。なにやら複雑な事があるようだな?」

アルセス辺境伯は俺とフィーナの表を見ると看過してきた。

「はい」

「それなら、天幕まで移するとしようか」

俺はアルセス辺境伯の言葉に頷く。

別に、ここで話をしても問題はないのだがアルセス辺境伯が移を示唆したのなら何か意味があるのだろう。

天幕にる――。

すると、天幕には、アリサが居た。

は椅子に座っており、俺の姿を見たあと後ろに立っていたフィーナを見ると額に皺を寄せると「アルセス辺境伯様、宜しいのですか?」と、アルセス辺境伯に話しかけていた。

「よい、私が許可を出したのだからな。それに――」

アルセス辺境伯は、俺の方を見てくる。

「――何か手土産は用意しているのだろう?」

俺は肩を竦めながら「……食えないお方だ」と言葉を紡ぐが誰も咎める者はいない。

まぁ、散々――、死に戻りを繰り返してきたと言ってきたのだ。

今更、俺を咎めても意味ないと理解している。

何せ、俺は死ねば同じ時間をやり直すことが出來るからだ。

それはつまり。辺境伯ですら倒す方法を見つけることが出來る可能があるということ。

事実、石炭や小麥を使った発や炭塵発を使えば辺境伯の館を吹き飛ばすことができるから。

「お願いは一つです。そして等価換として差し出すものも一つです」

「ほう? それは何だ?」

「彼の妹――レイリアの病の完治を依頼したい。その代わり、こちらが提示する等価換のは、こちらになります」

俺はテントのテーブルの上に羊皮紙を置く。

「これは何だ?」

アルセス辺境伯は、羊皮紙に書かれている容を何度も見ているが、どうやら理解できないようだ。

「これは、投石の設計図になります。今砕いている石炭を城の上空まで飛ばす機械になります」

「ほう? だが……これは――、本當に良いのか? これだけの技を提示して――」

「構いません。どちらにせよ、魔王城では投石がどれだけ用意できるかによりますから」

「ふむ……、だが、いずれ使うことになることが確定している技に価値があると思うのか?」

そう來たか。

つまりアルセス辺境伯にとって投石は、魔王討伐のために必需品であり、別に技としてもらっても意味がないと――。

困ったな。

さすがに、これは想定外だ。

「――あ、あの! 私、アイテムボックスが使えます! 妹が助かるなら私も従軍させてください!」

突然のフィーナの言葉に俺は驚くことしか出來なかった。

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