《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》記憶の対価(18)

「アルス君。それが読めるの?」

「――あ、はい……。なんとなくですけど……」

「フィーナちゃん」

「あ、はい!」

俺とアリサの話を聞いていたフィーナはアリサに語りかけられるとハッとした表をしたあと、彼の問いかけに答えていた。

「その本には魔法的要因はじられないからアイテムボックスに仕舞っておいて。ここで見るよりも、アルセス辺境伯へ一度、報告したほうがいいから」

「わかりました」

フィーナは頷きながら俺の方を見てくる。

今回は、アリサが一緒に行するというアルセス辺境伯の提案で魔王城にる許可を得ている。

その彼の指示を彼の指示に同伴と言うとあれだが、アリサが俺達の行指針を決める形となっている。

それに――。

日本で言うところの広辭苑と同じくらいの大きさの本を持ちながら移するのはナンセンスだ。

フィーナは俺が差し出した本をアイテムボックスに仕舞うと、そのあともアリサの指示に従ってアイテムボックスにアイテムを収納していく。

――全てのアイテムを収納したのは1時間後。

現在、俺達は魔王城の部屋をしている最中で――。

「それ、結界の維持で使われているから! ったらダメよ!」

アリサが指摘したのは、椅子に嵌め込まれていた寶石。

俺が燭臺を使って取り外した寶石が結界の維持に使われているとは、思っても見なかった。

「どうかしたの?」

アリサの言葉に俺は目を逸らしながら「何でもないデス」と、答えるのが一杯であった。

「アリサさん。ずいぶんと結界を維持するための寶石が城の至るところに散りばめられているんですね」

「そうね。これだけ大規模なを私は見たことがないわ。それに……」

アリサは、開かずの扉を見ながら溜息をついている。

「これほど、高度な魔法は現在では存在していないわ。あと、寶庫や武庫などで手にれたについても技が1000年前に斷絶したばかりなのよね」

「そうなんですか?」

「ええ。一応、書は殘っているのだけど……」

アリサは扉に描かれている剣に蔓が這ったような文様に手を當てながら「こんな所に帝政國の北方に存在していたと言われているクレベルト王家の文様が使われているのは、どうしても理解できないのよね」と、獨り言のように呟いている。

「アリサさん」

「何かしら?」

「以前にも、魔王城の正門に書かれている名前を見て言っていましたよね? クレベルトなんとかって」

「そうね。シャルロット・ド・クレベルトのことね」

「有名な人なんですか?」

「有名と言えば、どうなのかしら? 史実は、どうかは分からないけど、リメイラール教會の聖典には、當時に亜人排斥を行っていた別組織と戦っていた人と記されているのよね」

「なるほど……。亜人排斥というのはエルフのことですか?」

「…………そうね。獣人も含まれるわ」

俺の問いかけにし合間を空けるとアリサは答えてきた。

それにしても……。

「亜人排斥をしていた組織と戦っていた人。そのような人間が魔王城とどのような関わりがあるのか気になりますね」

「そうね。こんなこと、リメイラール教會に知られたら大問題になるわ」

「教會の聖典には聖と書かれているんでしたっけ?」

「ええ。だから、フィーナちゃんもアルス君もクレベルト王家が、魔王城に関わっているということは口外止よ?」

アリサの言葉に、フィーナが張した面持ちで頷く。

俺は、そんな二人を見ながら小さく溜息をついていた。

やはり魔王城の鍵を握っているのは、開かずの扉と寶庫で手にれた日本語で書かれた本であることに間違いは無さそうだ。

そして、俺がシューバッハ騎士爵領に転生してきたのは、やはり偶然ではないというのが薄々理解出來てしまう。

「それでは、調査は終わりにして戻りましょう」

アリサの言葉に俺達の魔王城の調査は終わりを告げた。

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