《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》記憶の対価(19)

「アリサ団長、大丈夫でしたか?」

魔王城から戻った俺達に話かけてきたのは、城にる前にアリサに話かけてきた魔法師であった。

「大丈夫よ。それより、外では何か変わったことは無かったかしら?」

「はい。特に問題のあるような魔力のきは確認できませんでした」

「――そう」

男の言葉を聞いたアリサが一瞬、俺の方を見てくるが、すぐに視線を逸らした。

何か含みがあるようなじであったが、意図がさっぱり読めない。

「そうそう、アルス君。報告は私の方からしておくから、貴方は帰っていいわよ?」

「――え? それは……」

「さすがに、もう日が暮れるから子供を長時間拘束しておくのは周りの兵士にもよくは思われないから理解してくれると助かるわ」

そんな言い方をされたら無理を言って報告に著いていくことは出來ない。

俺が時巡りをしている事を知っているのは極一部の関係者だけなのだから。

普通は、子供が作戦に參加するだけで兵士たちからは良い印象は持たれないと思う。

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兵士たちは、民を守るが仕事なわけで――、しかもシューバッハ騎士爵の何の力も持たない子供が前線に來ていること事態、異常だともいえる。

ここは一度、引いておいたほうが無難だろう。

「わかりました。フィーナ、戻ろう」

フィーナの手を握って歩き出そうとすると「アルス君」と、再度、アリサに話かけられた。

「何でしょうか?」

「フィーナさんは、一応は軍屬だから今日は一緒に帰ることはできないわ」

アリサの言葉に俺は足を止める。

「フィーナも、軍屬とはいえ子供ですが?」

「それでも無理よ。だって時間がないでしょう? 城から持ち出したを調べないといけないし、そのためにはアイテムボックスが使えるフィーナさんが必要不可欠だから」

「フィーナ……」

「アルスくん、大丈夫。いつものことだから――」

「そうか……」

「それじゃアルス君は、アルス君にしか出來ないことを頑張ってね」

「――はい」

反論の余地がないほど、丸め込まれてしまった。

正直、自分の立場が微妙だと言う事も理解している。

ただ、どこか俺に知られたくないが一瞬、アリサの瞳の中に見えた気がした。

――山を降りて家に戻ったのは、完全に夜の帳が下りる前であった。

家の戸を開けて中にる。

「アルス!」

母親は臺所で料理をしていて、俺の姿が見えると同時に小走りで近寄ってくると抱きしめてきた。

「お母さん。一、どうしたんですか?」

「お父さんがね、アルスが城の中にっていったって教えてくれたから――」

「そうですか……」

アルセス辺境伯よりも、俺の父親の守義務はどうなっているのだろうか?

せめて事後確認くらいにしておいてもらいたいものだ。

いくら、母親を説得すると言っても、こちらのきが、母親に筒抜けというのは、あまりにも報の扱いが杜撰な気がしてならない。

「――あれ? そういえば……、お父さんは?」

「アドリアンならね、急に兵士が呼びにきて、すぐに川向こうのアルセス辺境伯軍の陣地に戻っていったのよ?」

「……急に?」

「ええ、それがどうかしたの?」

「――いえ」

俺は母親の問いかけに何でもないように答えながらも、どこかおかしいと自分自に問いかける。

そもそも、シューバッハ騎士爵邸に戻ってくる間に父親であるアドリアンと會っていない。

一本道であるのに會わないのは、明らかにおかしい。

それに兵士が急に父親に軍の逗留地にくるようにと言いにきたのも疑問が殘る。

まるで、魔王城で見つかったの中に、俺に知られたくないが存在しているから、俺を遠ざけているようにじてしまう。

「はい、夕食が出來たわよ。アルス、用意を手伝ってくれるかしら?」

母親の言葉に一瞬、無言になってしまったが続いて「アルス」と名前を呼ばれてしまうと、さすがに斷るわけにもいかず頷く。

とりあえず、全て憶測にしか過ぎない。

明日、アルセス辺境伯の元にいけば分かることだろう。

俺はお皿の用意や、スプーンの用意をする。

すると母親が青銅製の鍋をテーブルの上に置く。

そのスープには見覚えがあった。

「お母さん、これは?」

「これは鳥のスープよ!」

母親の言葉に俺は小さく溜息をついた。

何故なら日本と違って出を取るという食文化が無いから母親の鳥のスープは味しくなかったりする。

「とりあえず、領地の問題が片付いたら昆布でも探す旅にでようかな」

「旅? お母さんも著いていくわよ!」

「えっと、そういう旅ではないんですけど……」

魔王城に行っていたとは思えないほど、他もない話をしながら俺は食事をしたあと、を拭いてから床にった。

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