《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》記憶の対価(30)
天幕の前には、兵士が2人に魔法師が2人――、合計4人が立っていた。
「これは、アドリアン様」
「世事はいい。それよりもアルセス様は、中に?」
「はい。アドリアン様が、お戻りになられるのをお待ちしておりました」
「そうか……」
兵士の言葉に父親の聲が沈むのが分かる。
何しろ、食事をしてから來たのだ。
待っているなら、それなりの時間を待たせていたことになる。
しかも父親が騎士爵に対して、相手は遙かに格上の辺境伯――、どう考えても待たせていい相手ではないんだが……。
ただ、何度もやり直しをしてきて分かったことは、辺境伯も父親も母親には配慮していた。
だから――、母親が引き止めたと言えば何とでもなりそうだが――。
父親は、そういうことはしないからな。
父親に続いて俺も天幕にる。
するとシューバッハ騎士爵領の地図が広げられている大きなテーブルを囲むようにして、リンデール、アルセス辺境伯、アリサが立っていて俺達を見てきた。
「ずいぶんと時間が掛かったな?」
「はい」
特に弁明するつもりはないのか、アルセス辺境伯の言葉に頷くだけの父親。
その姿を見ても、アルセス辺境伯は眉一つかすことはない。
「遅れた事くらいの些末な事は別に構わない。それよりアルス」
「はい」
「魔法王ラルググラストの件――、どうして黙っていた?」
「黙っていた訳ではありません。何度も同じ時を繰り返した結果――、記憶の欠落があり先ほど思い出しただけです」
かなり苦しい言い訳だが、これで通すしかないだろう。
「ふむ……。まあ、よい――。それよりも、アルス――、お主は以前に魔法王ラルググラストを倒したそうだな?」
「はい」
「それは、どうやって倒したのだ?」
「どうやって……」
そこまで聞かれたところで、頭の中のモヤが急速に晴れていくような覚が――、を包んでいく。
どうして、忘れていたのか不自然と思うくらいに――。
「自分が魔法で倒しました」
「アルス君!?」
アリサが、目を見開いて俺を見てくる。
だが、俺もようやく思い出した。
俺が魔法を使う為の方法――。
「……ただ、次も上手く使えるという保証はありません」
以前は、大切な誰かを守るために力を使った。
だけど、今回も発できるとは限らない。
本當に最悪の狀況を想定して――、どうしようも出來なくなった時の切り札として持っておくのが一番いい。
「そうか――、やはり……」
「分かりました。すぐに転移の魔法を使いフレベルト王都の魔法師と騎士団の派兵を伝えてきます」
「それで魔法王ラルグクラストだが、何時この地に出現するのだ?」
アルセス辺境伯の問いかけに正直なところ分からないとしか言いようがない。
何度かシューバッハ騎士爵に襲撃を仕掛けてきているが、その時期はバラバラだからだ。
ただ――、一つ分かっていることだけはある。
「いつごろ襲撃してくるかは分かりません。ただ――、魔王カダードを倒した後に領地へ襲撃に來ています」
「なるほどのう。それではどうしたものか……。いっそのことフレベルト王國の主力部隊が到著するまで魔王討伐は延期にするか?」
「アルセス様、魔王の結界は、あと數日で消えます。とても兵士が到著するまで延期をすることは不可能かと――」
「ふむ……」
リンデールの言葉に、アルセス辺境伯が考え込む。
「そうだな。それでは魔王討伐後は、シューバッハ騎士爵領の村人全員を、我が領のアルセイドまで戦略的撤退をさせるとしようかの」
「それが宜しいかと」
とりあえず魔王討伐は確定で、魔法王ラルググラストは、臨機応変に対応するという形で話が纏まりそうだな。
「アリサ、王宮には――」
「はい。分かっています。すぐに転移魔法を使い連絡を取って參ります」
アリサは、すぐに天幕から出ていく。
俺は、その後ろ姿を靜かに見送った。
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