《異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します》剣の稽古

「アズマくん。これ...」

朝起きて一階で朝食を食べているとカナさんが俺に手紙を差し出してきた。

ま、まさか!これはラブレターというか ︎

「えっと、こ、これは?」

「オニテツのガールさんからの手紙」

「何だラブレターじゃないのか...」

「ん?何か言った?」

「い、いや別に!あ、ありがとう」

小聲で言ったのが聞こえたのかと思って慌ててなかったことにした。

手紙って何でだろう?俺何かしたっけ?

そう思いながら、手紙の封を外した。封には赤いで何かを潰したようなが使われていた。

「小僧へ

昨日片手剣を買ってもらったが、おまえさんのような小僧が使えるとは思えんので、この手紙を読んだらすぐに剣を持って俺のところへ來い。

稽古(けいこ)くらいはしてやる

屋オニテツ ガール」

なるほど、剣の稽古をしてもらえるのはすごくありがたいし行ってみるか。丁度朝食も食べ終わったことだし。

そう思いながら俺はカナさんに事を説明してからおっさんの店へ向かった。

その時カナさんが「大丈夫かなぁ?」と心配そうにしていた。し嬉しい。

剣を持って走ることは今の俺には出來ない。なので歩いて、しかしかなり急いでオニテツに向かう。

カランカラン

オニテツの扉を開けると扉に付いた鐘が鳴った。

「あのぉー?東ですけど...」

「...來たか」

ガールさんが店の奧から出てきた。

中なぜか埃(ほこり)まみれだ。

「付いて來い」

それだけ言うとおっさんは再び店の奧へと消えて行った。

何が何だか分からないが、とりあえず追ってみよう。

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「(うわっ!暗 ︎)」

店の奧は薄暗く、10メートルくらい行ったところからが差し込んでいる。

「(おっさん、電気もつけないでよく進めるなぁ)」

おっさんに心しながら俺は向こう側のを目指す。

暗闇から出るとそこには橫10メートルくらいで縦が6メートルくらいの広さがあった。

正確にはそれくらいの大きさで周りに2メートルくらいの木の板の柵(さく)で囲まれているのだ。

「えっと、ここで何を?」

「手紙にも書いただろ?稽古してやる」

「は、はぁ...」

「じゃあまず鞘から剣を抜いて、素振りをする」

「え ︎で、でもこんなの重すぎてまともに振れそうにないんだけど⁈」

「それが出來ないとクエストなんてけたら確実に死ぬぞ」

「うぅ...わ、分かった」

俺は渋々鞘から剣を抜いた。

相変わらず重たい。しでも力を抜いたらその場に倒れてしまいそうになる。

そんな狀態を続ける訳にはいかないので、一杯の力で剣を自分の頭の上に持ち上げる。

「くっっ、うぅぅぅぅぅ...おりゃ!」

剣を頭の上から下へ振り下ろした。

それだけでが剣の重さと一緒に吹っ飛びそうになるのを腳と腰の力で何とか耐える。

1回素振りしただけでこんなにも疲れるとは...

「うーん...おまえさんは基礎(きそ)作りからだな」

「き、基礎?」

「ああ。そうだなぁ...おまえさんなら腕立て100回と腹筋100回とあと、それが終わる度に素振り10回くらいを夜までやれば何とかなるだろ」

「ひゃ、100をよ、夜までずっと ︎」

「素振りは最初は両手でやらないと腕が保たないからな」

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聞いただけで目眩(めまい)が起こりそうになった。多分ボクサーだってやらないと思うくらいのメニューなのだから。よく知らないけど。

えっと、今はだいたい朝の八時くらいだから推定でも...12時間以上 ︎

いやいや流石に半日もずっとだなんてそれは無理でしょ!

「やった分だけ生き殘れるからな...」

ガールさんは俺に右手で頑張れよぉ、と言っているかのように気軽く去って行った。

「やった分だけか...ま、出來る限りのことはやってみよう」

そう思い俺は腕立て伏せを始める。

ていうか、この世界にも腕立てとかあるんだ。

______________

「はぁっ、はぁぁっ、98はぁぁっ、きゅうじゅう...9っ、はぁぁっ、はぁぁっ、100っ!」

ドッ

俺は腕立て伏せを終えたところでその場にうつ伏せで倒れた。

もう何セットくらいしただろうか、周りはもうそろそろで夜にりかけている。

あれ以來一度もガールさんは來なかった。

晝になっても何も食べずに続けていたので...て言うか、吐きそうで食がない。

「ほう、ここまでやれるとは驚いた」

俺が倒れているとガールさんが店の方から出てきた。

何が驚いただ!こっちは死にかけなんだぞ!

「んじゃあ、もう帰って良いぞ。明日も今日くらいに來いよ」

それだけ言うとおっさんは再び店の方へと歩き出す。

あのおっさん、ただの鬼畜野郎じゃないか!

くそ!腹減った!お風呂りたい!てかヘトヘトでもうけない。

しょうがない、今日はここで寢よう。目を閉じるとすぐに睡魔が襲ってきて、俺は逆らうことが出來ず深い眠りに就いた。

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______________

「...おい...小僧...きろ...おい小僧起きろ!」

「ん?何だ?」

「全く、疲れたからと言って人のうちの庭で寢るな」

「あ!すいません」

「さて、それじゃあ昨日の力作りの果として素振りを見せてもらおう」

「いや、あの、その。力作りのときに何度かやったんですけど全然振ることができなくて」

「じゃあ、ステータスを見てみろ」

「は、はぁ」

おっさんが何をさせたいのかが分からないまま、俺は言われた通りにステータスに意識を集中させる。

すると眼の前に半明なプレートが宙に浮いている。

___________

ステータス

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

名前:桐崎東

ステータス番號:57764

別:男

Lv.6

攻撃:540

:950

力:1780/2430

魔力:1970/1970

「固有能力」

魔眼Lv.3

能力:対象の資質や素材がLvに応じて分かる範囲が広がる

千里眼Lv.1

能力:眼で遠くの景を見ることができる

Lv.1:100メートルまで調整可能

言語解析

能力:本人の半徑100メートル圏のありとあらゆる言葉が本人の語で統一される

相手には違和なし

言語読解

能力:ありとあらゆる言葉が本人の語で読める

______________

あれ?いつの間にかレベルが上がっているのは何でだ?

「多分レベルが上がっていただろ?」

「ああ...何で?」

「おまえさんが昨日頑張った証さ」

「えっ ︎マジで ︎」

腕立てとか腹筋とかでもレベル上がるんだ。

「あくまで鍛錬なんかでレベルが上がるのは10くらいまでしか出來ないからな」

「は、はぁ...」

何だこのおっさんは心でも読めるのか?

さっきから俺が思っていること全部答えてくれるし。

「さ、素振りをやってみな」

「あ、ああ」

俺は鞘にも戻さず地面に置いたままの剣を拾う。

「あれ?昨日よりかはまだ楽かも」

「そうか」

「いつから...」

「多分昨日の夕方にはそんなじだったと思うぞ」

「はい?いやいや、昨日何て今日の倍くらい重かったぞ!」

「それで良いんだよ」

「はい?」

「腕立てや腹筋などの基礎鍛錬で腕と腰を鍛えた」

「ほぉ」

「昨日は疲労が溜まって剣が重くじただろうが、今がそんなじなら昨日のうちにが重さに慣れたんだろう」

「へぇぇ...」

「と言うか、慣らすために基礎をさせたんだけどな」

このおっさん、超凄い!

「だけど、それでも剣を持つのにはかなり苦労するはずなんだがなぁ」

「そうなの?」

「ああ...ほれ、立ち止まってないで素振り」

「あ、ああ。くぅぅぅ...やっ ︎」

おお!持ち上げる時にちょっとフラついたけど下ろした時の踏ん張りは昨日より遙(はる)かに楽だ。

もう一度...

「ああダメだ!ダメ!」

しようと思ったところでおっさんに止められた。

「何が?」

しとはいえ剣の重さに慣れたんだから、次からは、剣を振る際は、肘から先を忘れるんだ。肘そのものを振るつもりでやるんだ。肘を振ろうとすると肩がいてこれで上腕二頭筋および上腕三頭筋がいわゆる力こぶとその反対側の筋を使って悪癖(あくへき)を抑えることが出來るからな」

「難しいな...」

「それにより剣を肩で作することが出來るようになる。それに肩を使うようになると背筋がくようになり、最終的には腹で剣を振る覚が摑めるようになる。その頃には腕に力をれている覚が全くしなくなっているから実際に數稽古を行なっても、への負擔がかなり減るんだ」

「なるほど」

「だからこうやって剣をこうやって振るんだ」

そう言いながらおっさんは右手で剣を持っているような形にしてお手本を見せてくれた。

「くぅぅぅ...はぁっ ︎」

「おお。呑み込みが早くて助かる」

「くぅぅぅぅ...やっ ︎」

くうぅぅ、気持ちぃ!

もう一度...

「くぅぅぅぅ...やっ ︎」

「その調子で晝まで頑張れ」

言われなくてもやるさ。こんなに気持ち良いのだから。

「くぅぅぅ...やっ ︎くぅぅぅ...はぁっ ︎...」

俺はひたすら剣を頭の上へ上げて勢いよく下に降り下ろすを繰り返していった。

もちろん言われた通りにだ。

おっさんは俺が剣の稽古に集中している間にいなくなっていた。しかしそれを気にすることなく稽古を続ける。

肩への負擔などはよく分からないが速く振れているようば気がする。

「おい小僧。飯持って來たぞ」

「おお、ありがとうございます」

ギュルルルルル…

飯と言う言葉を聞いて腹から大きな音が鳴った。そういえば昨日の夜から何も食べてなかったな。

「じゃあここに置いておくから食い終わったらここに置いといてくれ。俺は仕事があるんでな」

「えっと、形(かた)とかは?」

「今はとりあえず上下に振れればそれで良いから。別に急ぐ訳じゃないんだろ?」

「まあ...」

「ならそれで良い。じゃあな」

それだけ言っておっさんはまた店の方へと消えて行った。

おっさんが置いて行ったご飯は、おにぎり4つだった。しかも一つの大きさがソフトボールくらいはある。

「(おっさんは俺がどれくらい食べると思っているのやら...いただきます)」

そう思いながらも合唱をしてからおにぎりを一つ取り口の中へと運ぶ。

うめぇっっっ!

久しぶりの食事はずっと味わっていたいと思うくらい味しかった。

....ふぅ。

「食べた、食べた。ごちそうさま」

 お腹が満たされたのでし眠いが、稽古を続けるために立ち上がった。

結局おにぎりは二つが限界だった。

俺は地面に置いたままの片手剣を拾い上げる。

「だいぶ楽にはなったけど手の平(ひら)はマメだらけだなぁ...それにスタミナもかなりなくなっているような気がするな」

そう思いながら俺は剣を構える。

まだちゃんとした立ち方を教えてもらっていないので一先ずは學校で習った剣道の構え方と立ち方で構える。

「いや待って。これって片手剣だよな?じゃあ片手で持った方が良いのかな?」

そう思い俺は剣を両手から片手へと持ち替えた。

「(うおっ!流石に両手の時より重いな。これでは流石に振るどころかまともに上へは持ち上がりそうにないな)」

結局俺はまた両手で剣を支えて素振りを始めた。

剣を振る速さは食事を摂る前よりも速くなっていた。

______________

「うぅ...はあっ!」

「おーい。今日はもう帰って良いぞ」

俺が素振りをしている途中でおっさんがひょっこり顔を出した。

確かに辺りは薄暗くなっているのでもうすぐで夜なのだろう。

「でも、まだやりたいんだけど?」

を休めないと上達はせんぞ」

「そうか...分かった」

「明日も飯食ったら來い」

「ああ!」

俺は元気の良い聲で返事をした。

これまではこんな大聲は出さなかったのにな...

「あ、あと飯は持って來い」

「ああ、分かった...」

苦笑いをしながらおっさんが店の方へと向かうのを見送った。

「明日が楽しみだ!」

そう言いながらおっさんの後に続き、店へと出てから店を後にした。

甘味を目指して歩く。

カナさんに昨日帰らなかった理由を説明したら「やっぱり」と言われた。

______________

そしておっさんから稽古をけて5日が過ぎた。

毎日、毎日朝にガールさんのところへ行き汗だくで夜くらいに帰って來たりした。

甘味に帰ったらすぐにお風呂にり、飯(2回以上は必ずおかわりしていた)を食べて寢る、の繰り返しだった。

おっさんは時々しか顔を出さない。ていうかいつも晝飯を持って出てくる時と暗くなって來てからしか顔を出して來ない。

しかし顔を出した際に振り方や楽な振り方などを教えてもらい、上下だけでなく左右にも斜めにも振ることが出來るようになった。

そして今俺は朝ご飯を食べ終わり、剣のった鞘を持ち上げ、カナさんに「ごちそうさま」を行って走っておっさんの店へ向かっている。

「(今日も一日頑張るぞ!)」

そんな決意を心の中で決めていたら、おっさんの店の扉の前まで來ていた。

カランカラン

扉を開けると扉に付いている鐘が鳴った。

「おっさん!今日もよろしく!」

シーーン

返事がない。

いつもならおっさんが店のレジにいて、よぉっと言ってくれていたのだが今日に限ってはそれがない。

「おぉーい、こっちだ小僧!」

店の奧の、つまり俺が今まで出りしていたあの店裏へと続く道だ。

その奧からおっさんの呼ぶ聲が聞こえた。

俺はとりあえず店の奧へと向かう。

薄暗い道を向けて店の裏へ著くと、おっさんが刃が両側に付いている斧(おの)を磨(みが)いている。

「えっと...何してるんだ?」

「おお小僧。今から一緒に狩りに行くぞ」

「...はい?」

何を言っているんだ?このおっさんは。カリって、モンスターとかを討伐するあれ?

つまり...

「つまりギルドでクエストをけるってこと?」

「ああ。ちなみに推定(すいてい)レベルは7くらいをけるつもりだが、おまえさんはとっくにいってたよな?」

「まあ、昨日見たら10まで上がってた」

「なら大丈夫だな」

「大丈夫だなって、第一何をけるんだ?」

「ゴブリン」

ゴブリンか...

確か昔あるゲームで戦った気がする。

「ゴブリンって何の素材なんだ?」

「いや、ただ久しぶりにあれのが食いたくなったから狩りに行くだけ」

「 ︎食うの ︎ゴブリンを ︎」

「ああ。魔獣の味いからな」

マジか!

このおっさん怖っ!

でもなぜだか俺も食いたくなってきてしまった。

______________

「んで。どうやってゴブリンを見つけるのさ?」

「簡単だ。ゴブリンはカルトスの実が好だからな。その匂いに寄って來たのを倒すだけだ」

そう言いおっさんは、腰に下げていたし大きめの革袋からカルトスと呼ばれた実を取り出した。

カルトスがまんまリンゴにしか見えない。

リンゴってあんまり匂いしなかったような?

そんなことを思いながら適當に森の中をウロウロしいる。

森とはこの前俺が目を覚ましたところだ。

「(て言うか、魔獣がいる森の中で転生させないでくれよ神様や。

間違えて遭遇(そうぐう)でもしてたら死んでたかもしれないし)」

心の中で神様に文句を言う。

ガサガサッ

どこかの草が揺れて音が聞こえてきた。

「來たぞ小僧。剣を抜いておけよ?」

「言われなくても、もう抜いてるよ」

俺とおっさんは草が揺れている方を向きながら剣を構える。

ガサッ!

「「ガァァ!」」

草の向こうからゴブリンが2匹飛び出して來た。

ゴブリンは長80センチくらいの全で腰に布を巻いており、手には長さ30センチくらいの小さな槍と橫30センチ縦45センチくらいの五角形と言うか、地図記號の病院のマークに似た形の盾を持っていた。

「ガァァァ!」

一匹のゴブリンが走って俺らめがけて突進して來た。

「ガァァァ ︎」

「わっ ︎」

ゴブリンが手に持っていた槍で俺の腹のへそくらいを突いて來たのでそれを橫に避ける。

ゴブリンの速さは人が駆け足するくらいの速さであり、尚且(なおか)つ2メートルくらいは離れていたから避けるのは造作(ぞうさ)もないことだったが、急に攻撃されたので驚いてしまった。

「小僧!俺は片方を倒すからおまえさんはもう片方を倒せ!」

「あいよ!」

俺はおっさんにそう言ってくれたので片方のゴブリンにだけ集中する。

ゴブリンとの距離はだいたい1メートルもないくらいの距離がある。

「....ガァァァ!」

「っと!..この!」

「ガァァッ ︎....ガッ ︎」

先程のように突っ込んで來たので今度は余裕を持って避け、さらに足払(あしばら)いをする。

まあ、足払いと言ってもゴブリンはかなりの短足だったのでもろ腹蹴りになってしまったけど。

勢いがあったのでゴブリンは2メートルくらいいったところまで吹っ飛んで行った。

ガゴンッ!

ゴブリンは飛んで行った先の木に頭をぶつけた。

ゴブリンはそのまま木を頭でりながら地面に落ちる。

「うわっ!痛そう...」

俺がやっておいてなんだが、ごめん。

まるで昔のコントアニメのようなじだった。

ゴブリンは倒れたまま立ち上がらない。どうやら気絶したようだ。

「お?終わったか」

「まあ終わりはしたけど...」

「どうした?」

「やりきったが全然なくて」

「はっはっはっ!運も実力だ、気にすんな!」

「これが俺の初クエストであり初討伐なんて...ハァ...」

俺はそんなことを言いながらも剣でゴブリンの首を(どうたい)から引き離した。

「えっと、ゴブリンの討伐証位置ってどこだっけ?」

「手だ」

「手か...なんかグロいなっと!」

切り取った手を持ち上げる。

「こんなのしいか?」

「正確には爪だがな。まあ何でゴブリンの手の爪が討伐証位置かは知らんが、とりあえずそれで討伐したことになるならそれで良いだろ?」

「そうだけど...んで、気になってたんだが...こんなのが本當に食えるのか?」

「見た目よりも味いんだぜ?魔獣って」

そう言いながらおっさんはそこら辺で木の枝(えだ)を拾っていた。多分薪(たきぎ)に使うのだろう。

俺も薪を拾い集めてその周りに石を並べて簡易的な焜爐(こんろ)?が出來た。

直徑は50センチくらいかな?

おっさんは石と石を打ち鳴らして薪に火をつける。

次におっさんは懐(ふところ)から小型な、サバイバルナイフ(の方が近いかな?)を取り出した。

それを使ってゴブリンの腹を...(グロいので省略)

ううぅ...気持ち悪い。

おっさんは次に切り分けたを木の枝に突き刺して焜爐の石の外側にやや側の方に傾けながら並べていく。

....

には徐々に焼きがついていく。

すごい良い匂いだ...

「ほれ、焼けたぞ。食え」

「どうも...」

おっさんに良い焼けのついたを渡された。

は一口サイズに切ってあるから食べやすいんだろうけど、あのゴブリンのだし抵抗はある。

「どうした、食わねえのか?」

「いや......その......匂いは良いんだけど、あのゴブリンのだからさ。抵抗が......」

「はあーっ?お前今まで食ってこなかったのか?」

「いや、そんな事はないけど。カナさんの料理も結構出るし」

「なんだ食ってんじゃねえか。多分それのうちのどれかはこいつのだぞ」

「......は?」

意味の分からない事を言われ、思わず訊き返してしまう。

しかし聞きたくないのも事実であり、今一度現実であってしくはない事を言ってしくない。

「だから、を食った事があるならゴブリンだろうとオークだろうと食えるだろ。同じ味いじゃねえか」

「......っ」

おっさんにそう言われ、自分が今まで食べていたの元がなんだったのか想像してしまう。

その結果、吐き気が込み上げてきた。

「お、おい!大丈夫か⁈」

し離れた茂みに隠れて、嘔吐する。

出來る事ならこの嘔吐で、今まで食べたが出てくれると吐く甲斐もある。

「はぁ......はぁ......噓であって、くれ......」

「んー......前々から変わった奴だと思ってたが、ここまでとは。まさか自分が食ってたがなんのか知らないとはな」

「はぁ......普通、なのか?魔獣のを日常的に食べるっていうのは」

「そりゃあ、食えるんだし、魔獣狩って死を殘しておくと他の魔獣の餌になって危険が増える。なら、食糧として使った方が効率的だ。何より、ほとんどの魔獣は味い!」

軽く、いやだいぶ重めのカルチャーショックをもらう。

俺の初戦闘でまさかの打撃。

......魔獣を食う。考え方的には昆蟲食の延長線なのだろうか?

見た目こそあれだが、どちらも味しく食べられるし栄養もある。

そう考えるとまだ大丈夫って気がしてくるな。別に昆蟲くらいなら食べられるし。

視線をゴブリンの串焼きへと移す。

の脂が流れ出て、テカリ輝く。その一つ一つが寶石の様にしい。

とてもあの醜いゴブリンのとは思えない。

吸い込まれるようにの元へと向かう。

初の戦闘による疲労。そこからくる空腹にこの匂いは反則だと、その艶はセコいと思える。

今し方吐いたばかりとは思えない速さで食が回復している。

なぜかって?味そうだからだよ。

「...ええいっ!儘(まま)よ!いただきます!はぬっ!」

俺は覚悟を決めてにかぶりつく。

「 ︎ ︎」

う、味い!だと...

口の中に広がるがすごくらかさは鶏のももくらいかな?

ゴブリンのの以外ならかさと味さにする。

を飲み込みもう一口とかぶりつく。

「な?味いだろ?」

「ああ!これは味い!」

「ちなみにゴブリンは最低ランクの中の魔獣だからこの味さだが、上のランクのやつはもっと味いぜ?」

「 ︎マジっ ︎ ︎」

このより味いのか!た、食べたい!

ゴクリと唾(つば)を飲み込む。

______________

「...おっさんの方を見るといつの間にかにゴブリンが倒されてたんだ」

俺とおっさんはゴブリンのをものの數分で完食してギルドへゴブリンの討伐証位置を見せて討伐料小銀貨を4枚もらい、半分ずつにしてギルドを出た。

おっさんとは武屋の前で別れ、今はカナさんに今日のことを話していた。

「まあ、當然だと思うよ」

「何で?」

「だってガールさんって一応青ランクだし」

「ランク?って何?」

「あれ?ギルドで説明されてないの?」

「あー...多分」

「ランクっていうのは討伐していって、ある程度のレベルまで上がるとが変わるの」

「?でもどうやってそのランクを知ることが出來るの?」

「ステータス畫面のが自分のランクのになっているはずだよ?確かギルドにったばかりだと黒だったはずだけど?」

「ほぉ...」

  そう言えば前にステータス畫面を開いたときに黒だった気がする。

   あれってそう言うことだったんだ。

「それで話を戻すけど、ガールさんは武の素材を集めるためによくクエストをけてるから強いのよ」

「ああー。だからあんなにも早くゴブリンを倒したのか」

「まあ、ゴブリンは弱いから倒すのにそんなに時間はかからないわね」

ちなみにランクは全部で9種類あるらしく、最初は全員黒からで、次に茶、黃、緑、青、赤、銀、金そして最高ランクがゴールドらしい。

あんまりゴールドも金も変わらない気がするけど...

まあそれで、ゴールドにはまだ誰もなったことがないらしく、金は世界に1人しかいないらしい。

もそんなにいないそうだ。

つまり武屋のおっさんはかなりの腕前だと言うことか。すごっ ︎

こんなじで俺の初クエストで初討伐の幕が閉じた。

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