《かわいい俺は世界最強〜俺tueeeeではなく俺moeeeeを目指します〜》4話 おねぇちゃんっ

ズッキューンとハートブレイクしてからリディアさんが再起するまで數十秒を要した。

「な、何を話すの?」

「この世界の事について、です。お恥ずかしながら、あんまりわからないんです。記憶喪失せいなのか、ただ田舎出だからなのかはわかりませんが」

「そう。うん、わかった。じゃあ何から話そうか……」

この世界の事。そんな曖昧な事、どう答えればいいのか悩むだろう。地球を俺が語るにせよ、凄く悩む。戦爭もあるし、食糧危機もあるし。だけど一方で戦爭とは縁遠い國もあるし、える人だっている。一言で言うなら、まあ強いてだけれど、無數の矛盾を抱えたバランスの悪い世界だろうか。それでも、そうとは一概には言えないという面もあるし。とにかくめんどくさい世界だなぁ。

と、俺の地球に対する考え方は置いておいて、そんな事を訊かれているとはリディアさんも思ってはいまい。

「じゃあまずはこの街についてにからかな」

「はい。お願いします」

「ここは封印都市セレント。世界に7つある大迷宮の1つ、セレント大迷宮のり口の近くに作られた街なの。大迷宮に挑戦する冒険者が多く集まる。だからその分、商業も栄えているからかなりの大規模都市なの」

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「7つの大迷宮っていうのは?」

「えっ、これも知らない……。どこまで記憶が抜けているんだろう」

流石に疑問に思われたか? という俺の疑ぐりも、まあいいかというリディアさんの納得で収まった。

完全に落ち著きを取り戻したみたいだし、良かった。

「大昔に魔王が作ったとされる七大迷宮の事を指すのよ。その最深部には魔王が所持していた金品財寶が隠されているとされるの。特にそれぞれの大迷宮に1つずつ運び込まれた魔導兵。1つあれば一國が滅ぼせると言われる魔導兵は、多くの冒険者の憧れなの」

「『最強になりたいっ!』的なですか」

「的なです」

「子供……」

「その見た目で言われるとね。けど、おとぎ話って多くは言われてるから、その通りなんだけどね」

國を滅ぼせる最強の魔導兵。マジで『俺つえー』が出來るだろうけど、まあ、俺が目指すところは『俺かわいいー』だから関係ないな。

「話しを戻すね。それで、多分これも知らないから話すけど、カナデちゃんが今日働く事になったのが冒険者協會。冒険者協會は名前の通り冒険者の協會で、その管理や仕事の斡旋をしているの」

「なるほどです」

「ならあとは大丈夫?」

「そうですね。とりあえずは」

まあ本當は國とか大陸とか生活とかその他諸々も聞きたいが、一度に聞いても理解しきれんし、流石に田舎者ってだけじゃ誤魔化しきれんからな。これから働く上で、々と知っていけばいいだろう。そんな切羽詰まった狀況にあるわけじゃないし。

となるとだ、俺のこれからの行指針が決まるわけだ。

まず働く。次に働く。そして働く。うん、働くしかないな。だって仕方なくね? 神さんは的な目的を教えてくれなかったし、それでも競うとして目標になりそうなのは七大迷宮だけど、俺超絶弱いし。かわいいしかないし。かわいいし。

目的目標無しのゲームなら、まったり生活ゲームなるのは仕方ない。自分の生活をかに潤す為にも、働くのだ。

だが1つ、俺は確認しておかなくてはならない事がある。それは、

「あの、魔があるんですか?」

「え!? うん、それはもちろんだよ。魔は生活に必要なものだからね」

「例えば変とか?」

「あった気もするね。たくさん種類があるあるから覚えきれないけど。あったとしても特殊なものなのは間違いないね」

「どうして?」

「魔は屬って呼ばれるものが一般的なの。それで火・水・土・風・雷の五屬を基本五屬って言うのね。

で、この屬じゃない魔はあまり使える人がいないから、特殊魔って分類されるているの。まあほとんどが文獻に載っているだけの魔なんだけどね。

そして、そんな文獻にもない等の魔を固有魔、あるいは固有能力っ言っているのね。個人あるいは一族特有の魔を指すの。

については、大雑把に言うとこんなところかしら」

それなら、俺の『恩恵ギフト』もしっかりと固有能力判定がされるわけか。よかった。エルの言っていた事が噓でこの能力が使われていたら、問題になりかねんからな。リスクは確実に潰しておかなければ。

「ありがとうございます、リディアさん。とりあえずは大丈夫だと思います」

「そう? ならよかった。……ねえカナデちゃん」

「はい?」

あれ? リディアさんが急にはっとしたけど、何かあったのか? うーん。例えば「今更だけどカナデちゃんって、カナデくんじゃないの?」とか?

「今更だけどカナデちゃんってカナデくんじゃないの?」

そら來た!

「どちらでもいいですよ」

「なら、カナデちゃんでいくけど。見た目的にも違和ないし。むしろ似合い過ぎる」

「そうですか? 嬉しいなぁ!ありがとうリディアさん!」

「いちいちかわいいッ」

いやぁ、本當に嬉しいな。ここまでハマってくれているなら……、親切にしてくれたしお禮をしなくちゃ。

「何かしてしい事はありますか?」

「へ?」

々と教わったので、お禮がしたいんです」

「い、いや、そんな」

「いいえ、させてください。わたしの心が曇ります……」

「わ、わかったから。なら、抱きついてもいい?」

「そんな事ですか? いくらでもどうぞおぉお!?」

俺が言い終わる前にはリディアさんが抱きつき、否、飛びついてきた。ふむふむ。……リディアさんの満なおで溺れる。らけぇえ。

普段ならミリ単位で申し訳なさが芽生えるかもしれないが、今はそんな事はありえん。なぜなら、リディアさんもリディアさんで俺を堪能しているからだ。

「えへへ、かわいい! 凄くいい匂いがするし。小さいし細いし白い! 髪もこんなに綺麗だし、らかいなぁぁぁぉぁ。至福」

やや変態気味だった。それに、

「妖さんみたいだあ」

若干の児化をしていた。

なら俺だって負けてられない。

「お、おねぇちゃん」

「もう1回」

「おねぇちゃん」

「あと3回」

「おねぇちゃん。お姉ちゃん。おねぇちゃんっ」

「なぁに?」

「わたしを、守ってね」

「っ!! 任せなさいっ! 絶対に守るよ!」

「頼りにしてる、ね」

その後、高揚したというか興したリディアさんの抱擁は30分近く続き、そして、冷靜になってリディアさんが自分のしたことに悶えるのは、まあわかりきった事だった。だってこの人ぽんこつだもの。

なお、お姉ちゃんという呼ばれ方を心底気にったリディアさんは、俺にそれを求めてきたので俺もそれをれた。妹屬は地球ではあまりしなかったから新鮮だ。

こうして俺は異世界初日から寢床ーーリディアさんのお布団ーーを確保して眠りについた。可いければ、馬小屋で寢ることもないね! 

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