《最弱の異世界転移者《スキルの種と龍の宿主》》第五話 二人になった

「……ん……君…ぃり君」

俺を呼ぶ聲が聞こえる。

約一日ぶりに聞いた人の聲に俺は意識を呼び戻される。

「……ん?…蒞戸芽か、めがさめたんたな」

「はぁ~、良かった目が覚めたら橋田はそのアレだし、灰利君は腕がなくなってて意識ないし、大っきい魔は死んでるし」

「ああ、この腕はそこに倒れている魔と戦ってなくしたんだ。橋田は俺が目を覚ました時にはもう…、って言うか蒞戸芽ってそんなに話せたんだな。」

そう言うと、蒞戸芽は「はっ」って言って頬をし染める。けっこう、こういうかわいい面もあるらしい。

「それはいいとして、どういう狀況なのか教えて」

慌てて話を戻してくる、本音を言えばもっと可い面を見ていたかったが、またいつ魔が襲ってくるかわからないので、説明をする

「俺達は、佐伯に適正を奪われて邪魔になったから佐伯の手によって落とされたんだ、そしてこの大に落とされた。その後に何時間だったかわからないけど、意識が戻って起き上がろうとしたんだけど、衝撃と痛みで思うようにかなかった。それから今みたいに、魔力を熾して、しの明かりを確保したんだ。そして、辺りを見渡したら橋田が死んでた。そうしてるうちに、魔力がなくなり腹が減った、なにか食べられるものはないか探したら、そこに見える木を見つけた。そして、それを食った。」

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「えっ、野生に生えてる原木をそのまま食べたの?」

「ああ、調理もないしな」

「……すごいね」

若干、蒞戸芽が引いていたが気にせず続ける。

「その木を食ったら、全が痛みに襲われたけどダメージや怪我や魔力が元に戻っていた。」

「それって、ほんとに食べて大丈夫なの?」

「たぶんな、今だって生きてるし」

「まあ、いいや…続けて」

その後は、ワーウルフと戦って腕を千切られたり、ワーウルフを倒した後に再び気を食べたりしたことを話した。

「その後、木を食って気を失ってたけど、お前に起こされた」

「まだ、木が大丈夫がわかってないのに、すごいね。でもその腕は治らなかったんだ…」

「一か八かだったけどな、完全な部位欠損は流石に直せないみたいだ。それで俺が死んでたら、お前が起きた時に死が二つになってただけだけど」

「馬鹿じゃないの!?でも生きててくれて良かった」

「ああ、生き殘ったおかげでその木の効果も調べられるしな」

「全回復とその場だけの痛みだけじゃないの?」

「ああ、あいつを倒したのは俺が出した火の魔法なんだ」

「あれ?佐伯に適正を奪われて使えないんじゃなかったの?本當は奪われてなかったとか」

「いや、奪われたのはほんとだ」

たしかに俺は、あの時すべての適を奪われて何も魔法を使えなかった。

「だから、使えるようになったのは、俺があの木を食べたことと関係している気がするんだ」

「あの木が適を元に戻しているってこと?」

「わからない、だけど試す価値はあると思う、その前に本當に火の適正が戻ったのか確かめてみないと」

「そうだね」

「それじゃあ、これから使ってみるから念のため、し離れたところで見ててくれ」

蒞戸芽がし離れたところまで行きこっちを見る。

俺は魔力を熾して火のイメージをする。

想像するのは、手のひらサイズの小さな炎。

イメージが出來上がると魔力が変質して、小さな炎になる。

「出來たな、」

それを見て蒞戸芽が近づいてくる。

「おお、ホントに戻ってる。じゃあほかの適は?」

今度は、手のひらサイズの水の玉をイメージする。

が、今度は何も起こらなかった。

「ダメだな、魔力も全然熾らないし」

「完全に戻ったわけじゃないんだ」

「でもこれで、飯を食えるぞ」

「へ?飯って、あの木?それともそこに倒れてるアレ?」

「あれに決まってるだろう。俺たちは食いがない狀態なんだから。それとも、痛みを我慢してあの木を食うか?」

「うっ、どっちも嫌だけど、我慢してアレを食べるしかない」

「それじゃあ、これからアレをし焼くから待っててくれ」

再び、火の魔法を使って俺の下からしずつ炙っていく。煙を出しながら、いい匂いを漂わせ始める。

「意外と味しそうな匂いがするね」

「ああ、けっこう食ってみると味いかもな」

そんなこんなで俺達は、焼けたを各自でちぎって食べていく、ナイフなどがないから手でちぎるしかない。

「けっこう味しかったな、さて、皮を剝ぐぞ。いつまでも橋田の死をあのままにしておくのは可そうだからな」

「…そうだね」

食事が終わり、蒞戸芽にワーウルフの皮を剝いでもらう。その間に俺が橋田を巖から抜く。すでに死んでから何時間か経ったので、がかたまりは流れない。片腕しかないのでし苦労したけど、特に問題はなかった。

そして、俺たちは橋田をワーウルフの皮で覆い、端に置く。

「橋田も生きていればよかったのにね」

「……」

俺はそれには答えず黙禱を捧げる。

「さて、いろいろやって疲れたし、余った皮をかけて寢るか」

「……」

「…?どうしたんだ?」

「あ、その………ぃ」

「なんだはっきり言ってくれ」

「だから、怖いから同じ布団で寢てくれないって、言ってるの!!」

「そんなこと、言わなくても大丈夫だって。だってどうせ布団は一つしかないからな。それじゃあ、余った皮に火をつけて暖を取るから集めてくれ」

「///わかった」

そうして、俺たちは同じ布団で窟一日目の夜を凌いだ。

フォローしてくださった皆様、ありがとうございます。

いきなりフォローが増えて、作者自かなり驚いております。これからもよろしくお願いします。

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