《ガチャで死したら異世界転移しました》白竜王 ① 依頼
「お?著いたか」
レインがギルドでクエストボードを見ていると、紅華とメアも著いたようで、レインの方へとやってきた。
「・・・」
「・・・」
(・・・あれ?なんか2人とも機嫌悪くなってない?なんか真顔で凄い見てくるんだけど?)
「・・・えっと…どうかした?」
「いえ、どうもしませんよ?」
「ええ、どうもしません。どうぞ主殿はクエストを選んでいて下さい」
(・・・いや、どうもするだろこれ。
なんでそんなに怒ってるの?【僕のあーん権】あげるとか言って、ちょっと恥ずかしくなって本気で走ったから?・・・ともかく、早く機嫌を直してもらわなければ)
「あー、そうだな…よし。2人とも十分速かったから、何かしいものをあげよう。・・・何がいい?」
「いえ、私達と主様の足の速さではトレントとラッシュスライム程の差があるでしょう」
「ええ、ですから主殿。そんな無理に、褒をあげるなど仰らなくても良いのですよ」
因みにラッシュスライムとは、スライム種の中でもスピードに特化したモンスターで、取り敢えず異様に速い。おまけに當たりにくいが攻撃が全て即死攻撃だったりする。初見殺し、と言うやつだ。
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(絶対に持ってるでしょこれ・・・なんかじりじりと詰め寄ってくるし・・・これはまずい!ルーナとサラ、早く來てくれ!)
「・・・で、私たちが來るまで2人にくすぐられていた・・・・・・・・と?」
「・・・はい」
「話を聞く限りどちらかと言うと主様が悪いとも思えますがね」
「・・・はい。すみませんでした」
レインはルーナたちがギルドに來る約10分間の間ずっと、メアと紅華にくすぐられていた。いわゆる、こちょこちょである。それも生半可なものではなく、レインが涙目になるほどのガチなやつだ。
(くそぅ、メアと紅華・・・あんな勝ち誇った顔で主人である僕を見てくるとは、絶対復讐してやるからな!)
と、よくいる雑魚キャラみたいなことを心の中でぶのだった。
ルーナとサラがギルドに著き、全員が揃ったと思ったら、紅華がギルド職員に呼ばれた。その他4人は紅華を待つことにし、近くのテーブル席についている。すると、紅華は意外に早く帰ってきた。
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「主殿。先程國王の伝令が冒険者へ・・・・依頼を持ってきたそうです。」
(おおう。早速依頼ですか國王様。僕は隨分と期待されているようだ)
「で?容は?」
「はい。容は…スラグディアから北東にあるマレト山とその麓が突然凍り付き、付近の村に被害が出ているそうです。今回は、その原因の解明、それと出來ればその排除です 」
「自然現象で山が凍り付くなんて有り得るのか?」
(なくとも日本では有り得ないだろうな)
「いえ。私の知る限りそのような事はないかと。それと現地からの報告によると、純白のドラゴンを見たらしいです」
(ドラゴン…またか。まぁ上位のドラゴンなら山の一つや二つを凍り付かせることも出來るだろう。種は氷系…なくともアイスドラゴン、又は竜族氷系最上位のブリザードドラゴンかも?それ以上は・・・考えたくないな)
「分かった。多分ドラゴンがいるというのは本當だろうね。・・・それにしても、こんなに竜族が飛來して人間國家って大丈夫なの?」
「いえ、マレト山にドラゴンがいるならば國家は凄い混になるでしょう。歴史上、こんな短期間に竜族が二匹も飛來したなんて、一度しかありませんから」
「ふぅん。まぁ、いいや。じゃあ行くか。あ、距離ってここからどれくらい?」
「そうですね。大ですが、馬車で一日と言った所でしょうか」
(いや、馬車でとか言われてもなぁ。ま、あれ・・だったら馬車よりは確実に早く移できるだろうし、いいか)
「あと、メア達は冒険者カードとプレート貰った?」
「はい。先程全員貰いました」
今朝は登録をしようとしていたところ呼び出されたので、王城に行く前に手続きをしておいて正解だったな。帰ったらを一滴垂らして登録完了、という事だ。
そしてレイン達はギルドの外に出る。
「じゃあ改めて…【移送魔符】」
レインは【アイテムボックス】から【移送魔符】を取り出し、使用する。
【移送魔符】とは、宙に浮かぶ半明な乗れる魔法陣を出現させる魔符だ。ゲームでは他にも乗りがあったが、魔力消費なしで結構早く移できるので、大抵の人がこれを使っていた。
レイン達の前に薄紅の魔法陣が出現した。全員が乗るとし狹かったが、すぐに魔法陣が最適な大きさに広がる。
「よし。みんな乗ったか?じゃあ、しゅっぱーつ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「見えてきました。あそこがマレト山で、その麓の一面の真っ白が麓の森です」
1時間ほどすると、目的地が見えてきた。
依頼書にあった通り、広い緑の中に明らかに白くなっている場所がある。
「えーっと。【思考補助】【魔眼】っと」
レインはスキルでドラゴンのいる場所を探す。
「あ、いた・・・あー、まずいかもなー」
「どうしました?主様」
「取り敢えずし離れたところに降りようか」
レインは【移送魔符】を作し、降下する。
「多分だけど…竜王族、それも古代エンシェント系だ。お前達だとちょっと危険だから、戦闘になったら、3人はサラの側にいて適當に補助をよろしく。僕が一人で倒すよ」
よりによってレインが1番考えたくなかった古代エンシェント系竜王族だった。
古代エンシェント系とは、竜王族に限らずどんなモンスターにもある系統で、単純に長く生き、より強い力を持った個のことを言う。
(紅華ならギリギリ戦えるかもしれないが・・・ 何かあったら嫌だしな)
「竜王族・・・了解しました。サラ、あなたは私達の補助詠唱をよろしくね?」
「わ、分かりました。頑張ります」
そうこうしているうちに、無事地上まで降下し、全員が降りてからレインが【移送魔符】をしまった。
(はぁ、古代エンシェントか・・・こいつがどこかの街にでも現れたら、確実に滅ぶだろうな)
この世界の人々はドラゴンの區別などしないので知らないが、ゲームでは竜族の上位種族、竜王族があり、勿論両者は比べにならないほどの戦力差がある。
(まぁ、もっと上位の種族もいるけどね)
竜族は単騎で倒すモンスターだが、竜王族はチーム(5人〜7人)を対象としたモンスター・・・あくまでも運営からはそうなっている。実際は、ソロ竜王族TAタイムアタックなども行われていて、ただ力が高いだけのモンスターという認識になってしまっているが。
(これは長期戦かな・・・夜までに間に合うかな?)
実はレインがまだ慎也だった頃は、竜王族TAをやったことがないので、當然攻略法も何もわからない。しかし、レインは一人でドラゴンの元へと歩いている。何よりも今夜のお金のために・・・
「そろそろ支援魔法を掛けておくか」
レインは歩きながら詠唱を開始した。
「【魔力解放】【上限突破】【絶対障壁】【絶・対魔の瘴気】【傾國の剛腕】【破壊の詠唱】【堅牢なる加護】・・・このくらいかな?」
と言っても、レインの就く【墮天者】の固有技によってほぼ全ての闇と支援屬魔法の詠唱が破棄されるので、詠唱と言うよりは魔法の名前を呟くだけだが。
そうこうしているうちに、レインはドラゴンの元へと到著する。
「ふむ。やっぱり紅華は下がらせておいて正解だったな。こいつは結構強いかもしれない」
レインが一人で呟いていると、気付いたドラゴンがレインを見る。 
「・・・なんだ、命知らずな人間だな。たったの一人で私の前に現れるとは」
竜王族、そして竜族は基本傲慢である。それも仕方が無い。圧倒的な魔力。圧倒的な膂力。この世界の全ての生を超えてしまった者が、傲慢にならないはずがないのだから。
「じゃあ取り敢えず、僕達のクエスト完了のため、君を倒させてもらうよ」
だがそれ故に、逃げるということをしない。いや、知らない。竜族にとってはほかの全ての生がただの餌なのだから。食料から逃げる者などいないだろう。
「なに?クエスト?私を倒す?人間如きに私が倒せると?フッ、面白い…いいだろう、丁度暇をしていたところだ」
そして選択を誤る。
「今回はちょっとだけ話が通じるな。ほんの、ちょっとだけ」
進んでしまう。
「さあ!この私に貴様の力を見せてみよ!」
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