《ガチャで死したら異世界転移しました》冒険者學校 ⑨ 手伝いましょう

「魔法で眠ってもらったはずなのに、隨分と早く起きるんですね。なにか耐とか持ってるんですか?」

レインの知っているEOWでの【睡眠スリープ】だと、レジストしなければ短くともゲーム時間で2時間ほど眠るはずだ。それが目の前のアリサは、まだ數分しか経っていないのにも関わらず、平然と目を覚ましている。

「・・・全て言うと約束しましたものね・・・ステータスオープン」

は自の目の前に出てきた半明の板を、レインに見せる。

何を聞かせられるのかと思っていたレインは、驚きつつも確認する。

「えっと、いいんですか?見せて」

「ええ、問題は無いわ。まずは、何故私が完全に不意をつかれても魔法をレジスト出來たのか、について」

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アリサ・ディア・レクウェル 魔法剣

理攻撃力︰252

魔法攻撃力︰283

理防力︰142

魔法防力︰123

素早さ︰1762

力︰1250

魔力︰2435

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【スキル・魔法】

魔剣併用Lv4

Lv3

魔攻増加Lv2

魔力強化Lv2

魔力作Lv2

思考Lv3

強化Lv2

中位火・氷・水・土・魔法Lv4

下位魔法Lv9

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技巧︰魔力の心得

           盾剣の心得

           神の加護

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(一見普通だけど・・・神の加護とはこれまた、読んで字のごとくだな・・・それに魔法剣士とは珍しい)

EOWでの魔法剣士は、その名の通り剣で前衛としても、魔法で後衛としても機能する有能な職だ。ただゲームでは職業の取得が難しすぎて、レインでもほぼ見た事がない程だが。

「実際の所、私にもよくは分かってないのだけれど、この【神の加護】と言う技巧の効果だと思うわ。実際、昔から私は狀態異常系の魔法に掛からなかったり、もし掛かっても直ぐにレジストされるの」

(え、何そのチート・・・)

「まぁ、その事については分かりました。神なんて言われたら、どうしようもありませんしね。で、本題なんですけど」

「えぇ、分かったわ・・・実を言うと、こうして決闘をするのは、グレスティアさんが初めてではないの。新生や編生、転生の中から、実力の高そうな人を選んでね何度かしたわ。あ、勿論、いびりやそう言ったものでは無いわよ?その証拠に、今までの子達にだって無意に傷つけたことなんかないわ。そこは、分かってもらえる?」

「分かってますよ。いびりをするような人とは思えませんし。第一、それが目的ならもうとっくに逃げてる頃でしょう?こんな話をする必要も無い」

「ふふふっ、それもそうね。さて、順を追って説明するわ。立ち話もなんですから、まずは座りましょうか」

アリサの提案で、レイン達は観客席に上がってすぐの長椅子に並んで座った。

アリサは一度深呼吸をして、話し出した。

「・・・わかっているでしょうけれど、私は貴族なの」

何を今更?と、レインはし呆気に取られた。

「はぁ、知ってますけど?」

この國では、名が2つで平民、3つで貴族と言うふうに別れているらしい。

「・・・私の実家は、ここから東の領地を國王陛下から任されているの。それで2年前、父がちょっと失敗しちゃってね。その時に、ハウルド家から々と手を回してもらって、無事解決したんだけど・・・」

「ハウルド家?」

「えぇ、國王様の右手として古くから仕えてきた、この國の全ての騎士を纏めあげている大貴族の、ハウルド家よ」

(大貴族とは、これまた面倒くさそうな・・・)

「・・・それはもしかしてあれですか?恩を返せってやつですか?」

「・・・よく分かったわね。そう、借りを返せって、今になって言ってきたの」

ここに來て、だんだんとアリサの表が曇っていく。

(なんだろう・・・嫌な予が)

「その容は?」

「・・・私が、ハウルド家に嫁ぐことよ・・・」

(やっぱりかぁー)

事実アリサは、自分の作ったサポートキャラこそが至高だと思っているレインから見ても、とても整った顔立ちをしている。イグラッドと比べてもほぼ遜はないだろうという程だ。

「はぁぁ・・・それで、それと今回の決闘と、何が関係あるんですかね?」

アリサはコクリと頷き、続ける。

「・・・勿論、嫌だとは言ったわ。両親も、なにか別のもので済ませないかと打診したのだけれど・・・そうしたらこう言ってきたのよ。『では、我々も妥協しますよ。ここはお互い恨みっこ無しで、決闘で決めることにしましょう』って」

レインがアリサの後ろを見ると、ネルとレイが悔しそうに、を噛み締めているのが分かった。

「それで、負けるとどうなるんです?」

「この國において決闘で提示された條件・・と言うものは、時に法よりも強力だわ。それに今代のハウルド家の當主は、歴代でも類を見ない・・・その・・・」

「あぁ、要するに人間としてクズみたいなやつって事ですか」

(間違いなく無理難題を押し付けられる事だろうな・・・俗に言う、あんな事やそんなこと、的な?)

レインが変わって言ったその通りなのか、誰もそれを否定することは無い。

「相手は全ての騎士の大元、どんな強者が出てきてもおかしくない・・・そこで、グレスティアさんに協力してもらいたかったのだけれど・・・」

「決闘をですか?」

「そう。ハウルド家が提示してきたルールは、雙方5人を用意し、1人ずつ戦っていき最後に勝ちが多かった方が決闘を征する。というもの。私と、ネルとレイが協力してくれて、あと二人は・・・グレスティアさんが勝ったのだし、他の人に當たってみるわ・・・」

「いいですよ」

「へ?」

アリサは素っ頓狂な聲を上げる。

「いいですよ。手伝いましょう」

「で、でも・・・」

「というか、ここまで聞いて、普通知らん振りなんか出來ないでしょう。それに、戦闘なら得意分野ですし」

それを聞いたアリサの表は、たちまち明るいものとなった。ネルとレイも同じである。

「それはありがたいわ!何だかグレスティアさんは、さっきの決闘で手加減していたようだったから、こういうのは忌避しているものだと思っていたの。けど、うん。これであと1人ね!」

「おめでとうございます、アリサ様!」

「おめでとうございますっ!」

そう言ってアリサ達は3人で盛り上がって

いる。

(ネルって方はさっきから僕のこと睨んできてたのに、主人の前ではそんな面影は欠片も無いな・・・)

「あと、もう最後の一人ですけど、僕に心當たりがあります。十分強いんで、その辺の雑魚には、まず負けないですよ。良かったら、どうです?」

アリサ達は互いに顔を見合わせる。

(というかまず騎士だかなんが知らんけど、人間には絶対負けないだろうな)

「・・・いいのですか?グレスティアさんが実力を保証してくれる方なら百人力ですが・・・私には支払えるようなお禮もなくて・・・」

「それは大丈夫です。僕からの依頼という事にすれば、彼けざるを得ないでしょうし」

「・・・彼、ですか・・・」

アリサがぽつりと零す。

「ん、なんです?」

「あ、いえ、なんでもないです・・・」

何故かし顔の赤くなったアリサに、レインは首を傾げる。

「?取り敢えず、そのもう1人を呼びますか。…間違っても、驚いて攻撃とかしないでくださいね?」

「へ?え、ええ。はい。え?」

「「?」」

レインの言葉を理解できていない3人を置いて、レインは魔法の詠唱を開始する。

「──我は詠者。時と場を支配し、世を切り替え結び付ける者なり。魔は彼方の友を連れ、この地へと呼び現さん──【導の標ターゲット・オブ・コンダクト】」

そうして、レインが詠唱して出來た、グラウンドを全て覆うような巨大な魔法陣から出てきたのは───

「「「・・・えっ?」」」

「むっ!?何か見たことも無い魔法陣包まれたと思ったら、予想通りお主か、グレスティアよ」

白竜王の姿の、イグラッドであった。

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