《ガチャで死したら異世界転移しました》冒険者學校 ⑩ 特訓
「・・・なるほど。お主からの願いであれば、私に拒否する理由は無い。協力させてもらおう・・・それにしても、竜族の私が言えたものでは無いが、やはり人間というのは愚かだな。由緒正しき家の者でありながら、己がも抑えられんとは・・・」
レインが事を説明すると、イグラッドは意外にも素直に聞きれた。
「それはまぁ、人間の全てがそういう訳でもないし・・・兎も角、ありがとう。それと、相手はおそらく人間だから、そこの所はよろしくね?」
「任せておけ。要するに容赦せよということだろう、手加減ならば得意だ。殺しはしない程度でよいか?」
「んー・・・もうちょっとかな。しの流くらいならまだしも、腕を吹き飛ばすとかは無しってくらい…かな?」
いまいちそういった基準がわからないレインは、アリサに尋ねる。
「そ、そうね。あ、後は、相手が降參したら攻撃をやめるのが規則よ・・・」
因みにアリサ達は今、イグラッドを怖がってか、今はレインの背に隠れている。
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「・・・あの、こいつは話が分かるやつなので、怖がんなくても攻撃とかはしてきませんし、安全ですよ?」
「そ、そう言われても・・・本能的に無理ですっ!」
やはり普通の人間ならば、竜族とは畏怖の対象なのか、彼達が安心する気配がない。それもそうだろうか、白竜王のイグラッドは、頭部だけでさえ軽く軽自車ほどの大きさがあるのだ。レインも、慎也であったなら、良くて即座に気絶するレベルだろう。
「あー、ごめんイグラッド。そのままだと話が進まないから、人型になってもらえる?」
「ふむ、そのようだ。別に構わんぞ」
そう言ってイグラッドは人型になり、最前席に座っているレイン達の前にある手摺りの上に立つ。
「・・・へ?あ、あれ?人間・・・?」
「ドラゴンが人間に・・・!?」
「・・・!?」
「あれ?イグラッド、普通の人って竜族が人型になるの知らなかったりするの?」
レインはイグラッドに教えて貰ったので知っていたが、この世界ではそれが常識だと思っていたレインである。
「うーむ・・・私も詳しくは知らないが、その者達の反応を見る限り、知らないのだろうな」
「まぁいいや。では、どうしますか?僕の予定だと、今から皆さんにしばかりの特訓をしたいと思っているんですが」
(僕とイグラッドは勝つとして、決闘自に勝つには最低でも全部で3つの勝利が必要な訳だ。相手がどんな輩かわからない以上、最大限の準備をしておくべきだろうしね)
「と、特訓、ですか。それは、グレスティアさんと・・・その・・・」
「あ、そう言えば紹介してなかったですね。すみません。こいつはイグラッド・ルインツァーレ。一応、竜族の王なんですよねー」
「へー王・・・え?えぇぇぇええ!?」
「じ、王って言ったら・・・竜族の長・・・!?」
「竜族で最強って事ですか・・・」
(初対面の時と比べて、アリサ達のキャラがだんだんと崩壊してきてるな・・・)
なんだか面白くなってきたレインだが、話を進めなければと気付く。
「それで、どうします?時間が合わないなら後日でもいいですけど」
「い、いえ。ぜひ。是非お願いしたいわ。竜族の長なんて神話級の存在と、それと対等に話す人にご指導いただけるなんて・・・」
「お二人は?」
「アリサ様がけると言うなら、私達もご一緒するわ」
ネルが當たり前のことを聞くなとばかりに返す。
「分かりました。イグラッドも、良いよね?」
「うむ。だがその代わり、後で先程の魔法のことを教えてもらうぞ?」
先程の魔法と言うと、【導の標ターゲット・オブ・コンダクト】の事だろう。
単なる屬獣を呼び寄せるための魔法である。屬獣と言うのは、簡単に言えば召喚獣ペットだ。しかし屬獣は召喚獣ペット程行が制限されるものではなく、あくまで敵対意思のない元敵対モンスターといったじだ。EOWでは、エネミーに特定アイテムを渡すと一定確率で屬獣になるという設定だった。
(前に【聖獣王のケープ】を渡したのが原因なのかな?)
言われてみるとイグラッドは未だあのケープをに付けている。
(あれでも判定になるんだ・・・)
「じゃあどうしましょうか。皆さんは、何を教わりたいですかね?剣?それとも魔法?」
「両方では駄目なのですか?」
ごもっともだ。魔法剣士であるアリサならばどちらも特訓するべきである。
「それもそうですね。アリサさんは両方ということで」
「私は魔法ね」
「私も同じく魔法です」
ネルとレイは純粋な魔師なのか、魔法だけで良いらしい。
「ふむ。そこの二人、所持屬はなんだ?」
「・・・火と・・・です」
「水と闇です」
イグラッドから質問飛ぶと、ネルがまたレインの背に隠れた。レイは慣れたのか、微だにしなかったが。
「そうか。ではグレスティアよ。この二人は私がけ持とう」
「え?イグラッド、白竜王なのに火屬大丈夫なんだ?」
EOWでの白竜王は火屬なんて絶対に使えなかったはずだが、この世界では普通に使えるらしい。
「中級程であればなんとでもなる。これでも、今や形式上は竜族で玉座に就いているのだぞ?見くびってもらっては困る」
そう言ってイグラッドは腕を組み、ドヤッ、とする。
「見くびってはないけど・・・うん、じゃあ任せるよ。あんまり無茶はダメだからね?」
「ふっ・・・先程も言ったが、手加減は得意だ。では、そこのグラウンドを半分ずつでいいか?」
「えっと。ここ、使っちゃっていいですか?」
レインは一応アリサに確認する。
「ええ。今日一日、使って良いことになっているわ」
「了解です。・・・あ、後、肝心のその決闘の日にちっていつなんですかね?」
「そう言えば言ってなかったわね。當日は今日から丁度三日後よ」
正直、ここまで來て、実は明日なんだとか言われたらどうしようかと思ったレインだったが、いらぬ心配だったようだ。
「じゃ、今日含めて四日ありますね。うん、十分です。早速始めましょっ!」
この世界で強くなる方法がレインの予想している通りならば、時間は長い方が良い。
レインは軽く飛んでグラウンドの中央付近に著地する。アリサは普通に階段を降りてレインの元へ急いだ。
「では、お主らも、始めようか」
イグラッドもグラウンドへと出る。ネルとレイがそれに続いた。
「は、はい」
「お願いします」
そうして、その日から四日間におよぶ、アリサ達の修行が始まった────
────「あれが、竜族の王を一瞬にして倒したっつーレイン・グレスティアか・・・ちょっとはやるみてーだな」
息を切らす男は、どこかの家の屋の上で座って休んでいる。
「あらあら暗男じゃない。隨分と疲れてるようだけど、まさか見ている・・・・のに気付かれでもして、慌てて逃げてきたのかしらぁ?」
男に聲をかけたのは、満なに煌びやかな紫のドレスを纏い、手に持つ扇で口元を隠す妖艶なであった。
「うるせーなお遊びビッチ。今回ばかりはちっとヤバそーだったんでな、───の旦那に早いとこ報告しよーってだけだっつの」
「・・・そ。まぁあんたがどうなろうと、あたしはどうでも良いんですけれどもねぇ?」
「けっ!そーかよ」
「はぁ、それにしても───様は、このあたしというものが居るというのに・・・何処ぞのブスを探って來いだなんて、一何をお考えなのかしらぁ?」
「はっ!お前にそこまで言われちゃ、敵といえとも奴らが可そうだから言うがな?俺がさっき見てきた・・・・五人のうち、なくとも三人はものすげーべっぴんだったぜ?」
「はぁ・・・あたしはあんたが度々不憫に思うわ。あたしのこの貌が目に映らないなんてねぇ」
「言っとけ。・・・あー、早くとっ捕まえて、旦那の目的が終わったら、俺に貰えねーかなー」
「───様ならお許しくださるでしょ。その時まで待ってなさいな」
「あーあー分かってるよ。じゃ、戻りますかねー」
そうして二人は、どこかへと去っていった。
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