《ガチャで死したら異世界転移しました》冒険者學校 ⑮ アリサvsレヴィア 前半

リエナ・レヴィアは自の実力に対し、絶対の自信を持っていた。それもそのはず、今までこの世界での戦闘で苦戦などしたことも無いし、自分がし剣を振るえば魔など一網打盡に出來た。そして人間相手でも、それは変わらない。

第一に彼の功績を知っている者で、勝負しようなどと考えるものはいないだろう・・・知って尚挑んでくる輩にも碌な者がいなかったが。

──しかし今回は違かった。

(・・・もう降參しても良い程だと思うのですが・・・)

考えながらも悠々と、繰り出される斬撃を躱し防ぐレヴィア。その目は、重癥とまではいかないが、普通ならとっくに勝負が決まっているであろう様相のアリサに向かっている。

「・・・まだやりますか?」

肩で息をするアリサに、レヴィアは靜かに問う。

「───はぁ!」

アリサは何も応えず、ただ一度、また一度と最初と変わらない攻撃を繰り返す。

【二連火球ツイン・ファイアボール】をぶつけ、消えた跡から懐へり込み攻撃する、というを。

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「確かに対個での戦闘では良い策かもしれませんが、一度見せてしまった時點でその攻撃に意味はありませんっ!」

無駄なことは辭めろと言うかのように、レヴィアはアリサの剣を強く弾く。

アリサは辛うじて剣を離しはせずに済んだが、大きく制を崩された。

「これで終わりです・・・貴方はなかなか強かったですよ」

レヴィアは自分の中で、最後の一撃だけは本気を出すと決めていた。

無論、それは魔討伐や目標を確実に殺す・・為である。最後の最後で打ちらし、逆に窮地に追い込まれるなどということがあったら、笑い事ではないからだ。

それゆえ、今回も遠慮はしない。しかしながら、普段通りしては相手のごと真っ二つにしてしまいかねない。

(アリサさんが盾を持っていて良かったです・・・)

レヴィアはアリサの持つ盾に攻撃を當てることで吹き飛ばし、勝負を終わらせようとした。

───しかしその、普段では絶対にありえない手加減が過ちであったと、その一瞬後に気付く事になる。

「なにっ!?」

レヴィアがこの世界で今まで一度も発したことの無い、純粋な驚きのびである。

が振るった剣は、予定通り盾に命中した。そこまでは良かった。問題は、相手を吹き飛ばすのではなく、そのまままるで霧を切るかのように抜けて行ったことであった。

さしものレヴィアであれど、必殺の一撃を想定外にも躱されたら、一瞬の隙が生まれる。

そしてその一瞬をアリサはずっと待っていた。

「これで終わりですとは、こちらの臺詞でしたねっ!」

そしてレヴィアの後ろに出現した・・・・・・・アリサが、切り札である指にありったけの魔力を流し込む。

そして、この世界では國寶級の魔法は、問題なくその能力を発揮し、辺り一面を赤い魔法陣で包む。

「何故っ!いつの間に幻影・・をっ!?───」

レヴィアの驚きの聲をかき消すように、場全てを飲み込む程の、膨大な量の炎が出現した。

二人、いや、その戦いを見守る誰もが、その膨大さと眩しさで視界を奪われた。

そして、何処までも飲み込んでいくと思われた業火は、直ぐにアリサの元へと向かっていく、小さな火種を殘して。

いつしか、アリサの左手には、集まった超高度の炎で出來た茨が巻き付いていた。更にそれはアリサの持つ剣をも包んでいる。

「・・・・・・あれ?」

アリサは思わず間抜けな聲を上げる。

「・・・・・・」

対するレヴィアも、何も言わずぽかんとしていた。

(ええっと・・・私の考えでは、指められていた魔法で一気に逆転して勝つ、という作戦だったんですが・・・それにその炎、不思議と熱くない・・・形狀からして、鞭のように使うのでしょうか?)

試しにアリサが剣を振ってみると、それに反応するように茨がび、當たった地面にはびっくりするほど深く抉られ炭化した地面と、小さな火種が殘った。

(思ったより私の思い通りにきますね・・・それにしても、まだあちこちに火種が散らばってますけど・・・建が石造りで良かったです)

「これは・・・」

レヴィアは何か小さく呟いている。

「え、えっと。これも指の効果のようですし・・・取り敢えず──行きます!」

いながらも戦闘を再開するアリサだが、その実、何故か自の左手に巻き付く豪炎の渦の扱い方が理解出來ている事に、既に気付いていた。

アリサは発的に上昇したステータス・・・・・・・・・・・・・を全開にし、戦闘を再開する。

「「アリサ様っ!!!」」

し時間を遡り、會場が眩い炎で満たされた時、ネルとレイは思わずんだ。最も、空気の焼ける音にかき消され、相手には屆いていなかったが。

「安心してください。あれ・・は発者にはダメージはりませんよ。それより──【神聖なる円蓋ドーム・オブ・サンクチュアリ】」

顔面蒼白のネルとレイとは打って変わって

、レインは顔一つ変えないで魔法を唱える。

瞬間、凄い勢いで會場全の人や全てを飲み込まんとしていた炎が、虹に輝く壁に阻まれ止まる。

(しかし、まさか僕との模擬戦で【匿】と幻影系の魔法を使えるようになってたとは、良い想定外だったな)

レインがのほほんと鉄檻の向こうを眺めていると、やがて炎はアリサの左手に収束し、茨となった。

「よ、良かった・・・無事だったようですね・・・」

レイはアリサの姿を確認し、安心したように息を吐く。

「っ・・・・・・」

ネルの冷たい視線が直撃するが、レインは全くじずただ一直線にレヴィアのきを見つめている。

(ここからの相手のきによっては、まだ負けもありえる・・・いざとなったら誰にも気付かれないように援護しなきゃならないな)

そうして、アリサとレヴィアの戦いは決著へと進んでいく───

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