《ガチャで死したら異世界転移しました》討滅戦 ③ 中ボス?
「・・・ふぅ。今回はしは手ごたえがあると思ったのだけれど、やっぱりいつもとそんなに変わらないわね」
一度は消滅した大森林、ズノワ大森林の奧地にて、メア達レインのサポートメンバー+αは、今しがた討伐し終えた巨大な魔を解していた。
「前回も言っていたな、それ」
最早テンプレートと化したその會話に答えるのは、反対側で作業をしている紅華である。
「だってぇ」
駄々っ子のように言うメアにため息をつく紅華だが、実のところ彼自もやるせない気持であった。
「確かに、主様からお願いされた事とはいえ、こうも張り合いがないとな・・・」
「「はぁ・・・」」
二人の大きなため息が合わさる。
「おや、どうしたのですか、ため息などついて?」
そこへ上機嫌に姿を現したのは【傲慢】である。
「・・・ていうか、あなた悪魔なんだから、悪魔っぽい何かで金貨でもなんでもホイホイ出せたりしないの?」
「ふむ・・・できなくはないですよ。最も、そう言った稼ぎ方は主から止されていますので絶対にしませんが」
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割とやばいことを平然と言う【傲慢】。
「まぁ、できるできないは置いておいて。メア、流石にそういった考え方はよくないな・・・」
レインに會えない(否、【転移】すればいつでも會えることは會える)+弱い魔討伐(否、この世界では普通に兇悪な魔)というのもあり、すでにメアは正常な考えができていなかった。
「ところで、なんでここにいるの?今日は二つ依頼をけたから、手分けして討伐して王都で落ち合うんじゃなかった?」
今までの砕けた雰囲気はどこに行ったのか、一瞬で切り替えたメアは【傲慢】に尋ねる。
こういうところの切り替えは異常に速いんだよなと思う紅華も、手をかしながら會話に耳を傾ける。
「はい。先ほど主と連絡を取ったのですが、何でもこれからダンジョンを攻略するそうな。それにあたって、かは分かりかねますが、冒険者學校にいる全員を避難させておけとのことです」
「それでなんで私たちのところに?あぁ、紅華が居た方がいいものね。分かったわ、では私たちは魔これの解を終わらせるから、あとの二人もここへ呼んできてくれる?」
「承知しました。では」
了解した【傲慢】が転移でもしたのかというほどの速度で消えたのを見屆けたメアは、解用の短剣を持ち直し作業を再開する。
「ダンジョン、行きたかったな・・・」
消えるような呟きは、誰の耳にもることはなかった。
「・・・何ですか・・・これ」
やがて見えてきた扉の先、その広大な部屋を埋め盡くさんとばかりに並ぶ淡いを発するカプセルに、アリサは信じられないと言葉を詰まらせる。
「こりゃ・・・流石に予想以上だな・・・」
辛うじて言葉が出たのはおっさんひとりだった。
「あれは・・・人か・・・?」
人一倍――正確には竜一倍だが――夜目の利くイグラッドは、カプセルの中がなんであるのかをすぐに見破る。
それを聞いたレイとネルは、顔をしかめ目を背けた。
「まぁ、とにかく進もうよ」
「そうね、ここで立ち止まる必要はないわ」
平然としているレインとレヴィアは、驚き固まる一行を置いてどんどんと奧へ進む。
二人が部屋の中央まで到達したあたりで、恐る恐るではあるが全員が部屋にってきた。
(まぁそうなるよな。僕だって日本にいた頃にこんな部屋を見てたら、即トラウマレベルだし・・・ん?)
レインは近くにあったいくつかカプセルを眺めているうち、その中が普通ではないことに気づいた。
(うわぁ・・・)
四肢を引きちぎられたものや全が異様に変質し大化したもの、しまいには頭部すらないもの・・・そのあまりにも慘い姿は、レイン・・・ですら怖気をじるほどである。
「うっ・・・」
後ろでは、しゃがみ込むレイの背をアリサたちがさすっていた。
「こんなん・・・あり、かよ・・・」
いい年したおっさんでさえ堪えている。
「ここは早く出た方がいいね・・・」
「うん・・・長居はしたくない」
レインたちはできるだけ下を向きながら歩き出す。一人イグラッドだけは大して何もじないのか、欠などしながら歩いてはいるが。
「・・・なにをしてるのかは私にも分からないけど、これで分かった?【名欠けネイムレス】がどんな奴か」
レヴィアの言葉に、アリサたちは無言で頷くことしかできなかった。
「・・・あ、出口かな?」
レインが指さす方向には、いたって普通な鉄製の扉が見えた。
「あぁやっとかよ・・・」
「――あらぁ、喜んでるところ殘念だけれど、全員は行かせないわよぉ?」
突然背後から聞こえたの聲に、よって、出口が見え安堵が広がっていた一行に一瞬にして張が走る。
「よりによってここで中ボスかよ・・・」
ため息じりにレインはそう零す。
レイン達がいやいやながらも振り向くと、赤いドレスにを包んだ仮面のが悠然と立っていた。
「おいおい・・・あいつ、つえーぜ?」
相手の戦力を看破するスキルを持っているのか、冷や汗をかいたおっさんが直ぐに先頭態勢をとる。
「ひぃ、ふぅ、みぃ・・・七人ね・・・じゃあ私の相手は二人かしらぁ・・・あとは先に進んで構わないわよぉ?」
「・・・は?何言ってんだ?」
おっさんは訳が分からないと首をかしげる。
「はぁ・・・馬鹿ねぇあなた。私は只の人數削りをしに來ただけよ。あなたたち全員を相手になんて、できるわけないじゃない。このくらい、暗男でも分かるわよ?」
はおっさんを馬鹿にするように、手に持つ扇子をパタパタさせる。
「ほぉ・・・言うじゃねーか?」
馬鹿にされたからか、目に見えてキレるおっさん。
「いいぜ、相手してやるよ。俺が馬鹿じゃねーってこと、をもってわからせてやる」
意気揚々と宣言するおっさんを、は鼻で笑う。
(隨分と簡単な挑発に引っかかるもんだな)
「・・・いいの?一応仲間なんでしょ、あれ」
レヴィアはレインの隣で眉間を押さえている。
「・・・放っておこう…ともいえないか」
そうして盛大なため息とともにおっさんの隣で剣を構えた。
「ふふ、これでちょうど二人ねぇ。じゃ、後はどうぞお好きに、進んでいきなさいな」
「・・・えっと、普通こういうのって誰も行かせないものでは・・・?」
「まぁ、向こうがいいって言ってるなら、二人に任せて僕たちは進もうか」
おどつくアリサだが、レインにそう言われるのと同時にこの部屋のことを思い出したのか、最早何も言わなかった。
「あぁそうだったわぁ。あなた、アリサですっけ?一つ助言してあげるわ・・・助けたいなら、急いだほうがいいわよ」
「え?どういう・・・」
いきなり言われたのであまり聞き取れなかったらしいアリサが聞き返そうとするが、相手はもう一度言う気はないようである。
「グレスティア君・・・頼んだよ」
「・・・頼んだぜ」
レヴィアとおっさんの言葉を合図に、レインとイグラッドは出口へと歩き出す。
殘って戦うべきか悩んでいたアリサたちもまた、それに続いた――――
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