《村人が世界最強だと嫌われるらしい》この世界は、何もかもがおかしすぎる 5

黒いフードを被った奴が出した依頼……多分、同一人かその手下。ただ、アイツが手下を持ってるなんて思わないし、なぜこのタイミングで接して來たのか気になる。ルノの事も覚えてるだろうに。

「おい烈毅、お前さっきから難しい顔をしてるぞ?」

「ん? ……まぁ、このクエストの依頼人がし怪しくてなぁ……それに、敵の強さもわからんと來た。これはあれだな、無理ゲーだな」

「さっそく諦めるな!」

「でもなー、そうは言っても場所の指定が曖昧なんだぞ? どうやって探せばいい?」

「それはそうだが……」

「ま、最悪の場合はなんとかするさ。どんどん行こーぜー!」

「あ、おい待て!」

それから二人は、目的地までひたすら歩く。走ってもいいのだが、絶対にレーナが付いて來れないため、今は徒歩で向かっている。

來る途中、所々でモンスターに出くわしたが、全てレーナが片付けてくれた。剣を使ってるから、剣士と言うのはわかるが、流石にし剣の振りが大きすぎる。

だが、烈毅が教えようとしても、なかなか頑なに拒否される。どうやら、師匠の教えを守りたいらしい。

「なぁ、お前の師匠の名はなんだ?」

「超上級の剣士、ソー・リードルだ。お前など足元にも及ばないお方だったんだぞ!」

「いや聞いてねぇよ」

つか、そいつと剣えてっからな俺? 敢えて言わないけど。それに、そいつに剣教えたの俺だからな? 敢えて言わないけど。

「師匠は、突然の病で死んでしまった。師匠は本當にいい人だった……逞しくて、誇り高くて、自慢の師匠だった」

「そうか。そりゃ良かったな、いい師匠に出會えて」

「師匠は毎日こう言っていたんだ。『もし私が死んだら、一人では無理せず、他人を頼るんだ。特に、私に剣を教えてくださった方に會ったら、その人に付いていきなさい』と」

「そうか……」

ったく、あの野郎。俺と年そんな変わんねぇ癖にカッコつけやがって。ま、俺は二十三から年數えるの止めたけど。

「な、なんか暗い話になってしまったな! っと言うか、ここクエストにあった場所じゃないか?」

「ん? おお、そうだな! じゃ、ここらへんをグルグルと……」

烈毅がそう言った次の瞬間、烈毅の危険察知能力が働き、大きく後ろへ飛び跳ねる。それに気づけなかったレーナは、一人取り殘される。

「えっ?」

「しまった!」

口に出してももう遅い。突然空から、長五メートルはあるだろう巨が現れる。そのモンスターは変異種。何らかの形で姿を変え、普通のモンスターの十倍以上もの力を持ち、複數のモンスターが混ざりあったモンスターの事だ。今回は、ウルフとオークとリザードマンの組み合わせだ。

変異種は、狼のような聲で泣きわめき、レーナに飛びかかる。

「へっ……助け……」

レーナは恐ろしさのあまり涙し、腰が抜ける。うまく立てなくなり、ただひたすら泣く。

もう食いちぎられるかと思ったその時、そのモンスターの首はも吹き出さずに消え去る。

更に、首からしたのは、微塵になるまで何者かによって砕かれる。

「えっ……?」

「おい、大丈夫か!?」

「モ、モンスターは……?」

「もう倒した。すまんな、ちょっと助けるのが遅れた」

「こ、怖かっだぁぁぁあ!」

「おお、泣け泣け。流石に今のは怖いわなー。待て、なんでも俺の服で鼻をかむ? 涎も! 涎掛けじゃねーんだぞこれ!? る、ルノに殺される……」

「もう、離れないでぇぇぇえ」

「わかった、わかったから。とにかく、落ち著けって」

『そんな余裕を見せていると、殺されますよ?』

ゾクッ!!

後からの突然の聲に、思わずが反応してオーラを纏ってしまう。

やべっ! こいつにバレる!

「おい、烈毅今のは……」

「……話はあとだ。今はアイツをどうにかしなきゃな」

『お久しぶりですね〜? 最初にあったのが、何年前でしたっけ?』

「覚えてねぇ。っていうか、今更何の用だ?」

「烈毅、こいつを知っているのか?」

「昔ちょっとな」

『あの時小さかった子も、すっかり大きくなってましたね〜?』

「その口ぶりからして、お前直接ルノにこの依頼を出したのか?」

『そうですよ。ただ、あの時は気配を変えていたので、私だとは思わなかったでしょうが』

「そんな事は今はいい。何の用だって聞いてんだ」

『そうそう。私、し実験をしていましてね? ぜひ村人さんに協力願いたいのですよ』

「斷固拒否する」

「まて! 村人? こいつが村人だって!?」

『あら? 知らないんですか? 彼は、この世で最も下級ジョブの村人ですよ?』

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