《村人が世界最強だと嫌われるらしい》とりあえず特訓だ! 6

魔法をかけた今、近寄ってくるものはいない。その為、再び家に戻ってやり過ごすことに決めた。

「それで、なんで俺に會いたかったわけ?」

「う〜ん、まぁはっきり言うと、冒険者って所に飽き飽きしてたのよね」

「なんでだ? そんな悪いものでもないと思うけど?」

「私って結構顔が広くてさ、よくパーティーにわれたりしてたのよ。最初の頃はそりゃ嬉しかったよ? でも、途中から不満言われたり、私が意見出すとなんか言われたり、もう散々だったわけよ」

「あんた、それなりに強いのに何でそうなるんだ?」

「多分、期待してるのよ。私、巷じゃ漆黒の魔なんか異名で呼ばれたりしちゃってるわけよ」

「なんだそのいかにも悪そうなやつみたいな名前……」

「本當の名前はミーシュって名前なの。ミーシュ・ルージュ。貴方は?」

「俺は人村烈毅。ここら辺じゃ珍しい名前だろ?」

「確かに」

ミーシュ・ルージュ。多分、年齢は二十代前半。長はレーナと同じくらいで、スリーサイズではレーナもルノも勝てないほどの完璧なライン。顔はし大人びていて、人な人だと烈毅は思った。

「だからさ、私は先日の恐ろしい殺気が世界中でじ取られたっていう事件で、その犯人が村人って聞いてビビッと來たわけよ。もしかしたらそっちに付いた方が面白いかとってね」

「そうだったのか……」

この人は、多分みんなと仲良くやっていけるだろうと、烈毅は確信した。

「改めて聞くけどさ、俺の仲間になりたいって事でいいんだよな?」

「それでいいわ。と言うより、一生のパートナーと言ってほしいのだけれど?」

「養われるやつがパートナーなんて言えねぇよ!」

「あら、それもそうね」

「つか、なんで金無いんだよ……レベル高いなら金くらいあるだろうに」

「ああ、それは先日裝備を一式新調したからお金がないの。レベル三百記念にね」

「三百か。まぁまぁってところかな」

「もっと驚いてもいいと思うのだけれど……それで、あなたの事も教えてくださる?」

「ああいいよ。ただし、この事はオフレコで頼む」

「わかったわ」

それから、自分の事をある程度話す。最初は驚きながらも、最後はしっかりと信用してくれた。素直でとてもいい人だ。

「じゃあ、貴方はもしかして大先輩って事になるの?」

「そうだな。別に、タメ口でいいよ。俺堅苦しいの苦手だし」

「それなら良かったわ」

そうこう話していると、魔法が切れたのか、レーナとルノが目を覚ます。

「お、目が覚めたかな?」

「其方の方は?」

「ああ、こっちの馬鹿みたいな顔のヤツがレーナで、可い顔のヤツがルノ。仲良くしてな」

「誰が馬鹿みたいな顔よ」

「か、可いだなんてそんな……」

「よろしくね。私のことは、ミーシュって呼んでね!」

その後、狀況説明をしてもらい、この軍の目的や、指揮が誰なのかを知ることが出來た。

「まさか、この軍に勇者が混ざってるなんてな〜」

「この世界で十といない勇者の一人が、この軍を結したのよ」

勇者。まさかその存在に、こんなところで會えるとは思わなかった。

そして、その勇者を生み出し、俺をここに送った神の存在。それも気になる。

「勇者のレベルは私と同じくらい。ただ、聖剣を持っているし、神の加護とやらでステータスが跳ね上げられているから、覚悟はした方がいいわ」

「大丈夫だろ」

「ほほ〜う? その反応、勝てるとでも?」

「確かに強いけど、たかがレベル三百で勇者を語られちゃ面白くない。せめて五百くらいにはなってもらわないと」

「何言ってるの!? 烈毅、お前はわかってないだろ!? レベル上げの大変さを……」

「いやいやレーナたん。俺は村人だよ? その俺がレベルマックスよ? その俺が、レベル上げの大変さを知らないわけがない」

「そ、それもそうか。すまない」

素直でよろしい! 可いとこあるじゃない!

「それで、烈毅くん。これから先はどうするの?」

「とりあえず、ここから去って、ドラゴンの巣を目指す」

「ドラゴン!?」

その作戦に、さすがのミーシュも驚きを隠せず、聲を上げてしまう。

「ああ、俺の友達。そしてこいつらの先生」

「あ、あなた達ドラゴンと友達なの……」

「私、あの人手加減しないから嫌いです」

「そう? 私は好きだよ? 烈毅が好きなものは全部好きよ!」

「いや、別に好きじゃねぇよ?」

「そうなの? なら嫌いね」

「ファイア、それ聞いたら拗ねるだろうなぁ……」

「呑気ね……」

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