《村人が世界最強だと嫌われるらしい》とりあえず特訓だ! 8

さて、こいつをどうしたものか……。

「貴様には、懸賞金がかけられており、さらにお前を倒せば姫と結婚できるんだ。俺はお前を意地でも殺す」

「どっちが悪者か分かったもんじゃないな……」

「黙れ。お前はこの剣の最初の餌食にしてやる」

「お前持ってるのもしかして魔剣だったりしてな!」

「ふざけるなぁ!」

その一言が頭にきたのか、リバイスはいきなり斬りかかって來る。

そのスピードはあまりにも遅く、そして貧弱な攻撃だった。

烈毅はため息をつき、がっかりした顔でその攻撃を人差し指で止める。それ程に弱すぎる一撃なのだ。

「なっ!? この我の攻撃を指で……ありえない!」

さらに貧弱な攻撃は続く。いいところを狙うのはいいが、その一撃は本當に弱い。くだらなさすぎる。

「ほらよっと」

烈毅はし力を込めて剣を毆ると、その剣は々に砕かれる。

「な、なんでだっ!?」

「お前さー、アホすぎるよ。まず一つ目に、エクスカリバーはしか持てない。二つ目に、勇者はお前みたいに弱くない。三つ目に、お前のレベルだとまず勇者には選ばれない」

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「ふざけるなぁ! 俺は鍛えて五十までレベルを上げて、ダンジョンに潛ったら突然目の前に神が現れ、この剣と力を貰ったのだ!」

力? ファイアの言っていたこと、こういうことだったのか……。

怒りで我を失うリバイス。みるみるうちに、黒いオーラを纏い、が黒く染まっていく。

「おい、そこまでにしろ。それ以上力取り込んだら人間に戻れなくなるぞ?」

「構うものかぁあ!」

リバイスは黒いオーラに完全に呑み込まれる。牙が生え、角が生え、翼が生え、あらゆる所が変異する。

「もう、手遅れか……」

すると、リバイスの後ろから、ようやくここにたどり著いた冒険者達が、リバイスの姿を見て足を止める。

「おいお前らー! そこから一歩も近寄るなよー! 死ぬぞー!」

その言葉には耳を貸さず、冒険者は皆恐る恐るリバイスに近づいて行ってしまう。

「まずいっ!」

リバイスが近寄ってきた冒険者を攻撃しようとし、それは流石に見逃せないと思った烈毅は、腕が振り下ろされる前に、リバイスと冒険者の間に瞬間移する。

その攻撃を片腕でガードしようとするが、思いもよらぬ威力に、烈毅は飛ばされてしまう。

だが飛ばされても數メートル。再び地面に著地したと同時に同じ所へ戻る。

次は、烈毅がリバイスの腹部に毆打をれる。その一撃にリバイスは吹っ飛ばされ、數十メートルも飛んで行く。

烈毅は後ろに振り向き、大聲でぶ。

「早く逃げろ! 死にたくなけりゃ今すぐ山を降りろ!」

し殺気を込めて言ったため、冒険者達はそれにビビって走って逃げていく。

「ちくしょう。これでまた俺の評価が下がるな」

短くため息をついて前を向くと、目の前にはリバイスの拳があった。

その距離はほんの數センチ。だがその攻撃を屈んで避け、立ち上がる勢いで顎に強烈な一撃を與える。

その一撃で宙に飛ばされるリバイス。烈毅はさらに追い打ちをかけようと、同じ高さの所まで飛んでいく。

「お前は、ここで死ね」

道を間違えた者に、戻る道など無い。あそこで踏みとどまれば、戻る事は可能だったのに。

烈毅は渾の一撃を腹部にれる。

地面に落ちた頃にはもうただの片となり、無殘な姿となる。

多分、この先も騙されてしまう者は多いだろう。勇者なんて、そう簡単になれるものでは無い。

死ぬほど努力しても、勇者に選ばれないものだっている。俺はそいつらを知っている。

どんだけ勇者になると口にしても、どんなに優しくても、選ぶのは神だ。素質が無いなんてのは論外だ。

だから、勇者になれずに挫折した者は、戦うことを辭めてしまうのだ。

「さて、ファイアのところに行くかな」

その夜は、あまり眠れなかった。

翌日、一件の事を話した。隠しても無駄だと思った。

『やはりか……おかしいと思ったのだ』

「まぁ、勇者だと思うのも無理はないな。聖剣紛いのを持ってれば誰だってそう思う」

「でも、勇者だって騙すのは酷すぎる……誰だってそう言われれば嬉しいし信じちゃうよ……」

「ルノの言う通りね。私も、多分そう言われれば信じちゃうもん」

「私は魔法一筋だから意味無いわね〜」

「お前、賢者目指さないの?」

「いやよめんどくさい。本読むより、かして覚えた方が楽しいわ」

「そ、そうなんだ……」

「それで、今後の方針はどうするのよ?」

「それなんだが……」

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