《村人が世界最強だと嫌われるらしい》舊友に會いに行こうと思います 2

「お願い連れてって!」

「いやだって、お前が率いてる軍って俺を倒すために組織されてるんだよ?」

「そ、それは……」

「そんなところに出てったら、さしもの俺も本気を出さざるをえませんよ?」

「貴様が本気を出したら私まで死ぬだろぉが!」

「だからもうお前は連れていかないようにしようかと……」

「いやだぁぁぁあ!」

「泣くな!」

「頼むよ……」

念話だからいいものの、これがもし面と向かって會話していたら、多分烈毅でもナーシェの可さに圧倒されていただろう。

「じゃあ何とかしてその軍から抜け出して」

「何とも難しいなぁ……と言うか、なんで私を連れていこうと思ったの?」

「ああ、それなんだけど、昨日の何者かに勇者だって騙されてさ、魔族の力を貰っちゃってたやつがいたんだよ」

「何それ……酷すぎる」

「うん。でさ、多分今後もそういう奴が増えると思うんだよ。で、俺今さ、弟子が二人いるんだけど……」

「弟子だと!? それは男かか!?」

「いやだけど……」

「おんなぁぁぁぁぁ!?」

「うるせっ! ……で、続けるけど、その弟子二人は今はあまり強くないんだよ」

「その二人を守るのは大変だから、一緒に守ってくれと?」

「そう。勇者だって騙されたやつかなり強いよ。俺が吹っ飛ばされたし」

「私でもかせなかったのに!? それは厄介な敵だな……」

「だろ? まぁ油斷してたってのはあるけど……お前の力を借りたいんだよ」

「わかった。何とかしてこの軍から抜けよう」

「頼む」

そこで念話は終了し、目を開けると目の前にミーシュの顔があった。

「何してるの?」

そう訊くと、ミーシュは顔を真っ赤にしながら外へ出ていってしまった。

「なんなんだ?」

烈毅は立ち上がり、今ここに本の勇者が率いる軍が來ている事を伝えに、ファイア達の元へ行く。

「ファイア〜、ルノ〜、レーナ〜、集合〜」

その掛け聲に、三人は集まり、外へ出ていったミーシュも集まる。

それから事を説明し、勇者が新しく加わることをしると、ファイア以外の全員がそわそわし始める。

「わ、私勇者様に會うのは初めて……」

「私もよ……」

「流石に私も見たことはないわ。ちょっと楽しみ」

『そんな大した奴でもないぞ?』

「うん。しかも、あいつめちゃくちゃ人見知りだし? 俺なんて助けた時さ、手を差し出したら毆られたからな?」

「なのに仲がいいの?」

「いや、なんかその後はやたら俺の後に付いてきてさ、そのくせに喋ろうとしないんだよ。あれは最強の人見知りだよ」

ルノ、レーナ、ミーシュは、「うわ〜、こいつわかってねぇ〜」と小聲で呟く。ファイアも、短くため息をつく。

「まぁそういう事だから、ちょっとファイアの巣に潛ってて。俺ここで迎え撃つから」

「迎え撃つって……」

「まぁまぁ。さっさと中にったった」

そう言われ、ファイア含め四人は中にって行く。四人は仲良く中で待つことにした。

それから數時間後。

「お、見えてきた」

森の中から、軍が見えてくる。

「先頭に立つのがナーシェか……」

すると、先頭に立つナーシェが急に剣を上空に突き上げた後、剣をこちらに向けて何かんでいる。

「ねぇ、それってまさか……」

それが合図なのか、ナーシェ以外の全員が雄びを上げながら突っ込んでくる。

「まじか」

この數はさすがに本気を出さざるをえない。烈毅は、どうするか必死に考えて、考えて、考え抜いた結果がこれだ。

「よし。気絶させちまおう」

烈毅は誰にも視認不可能な速さで、冒険者達の首裏に手刀をれて気絶させていく。

それが見えるならまだしも、一秒にも満たないそのきでは、冒険者には捉えることは不可能なのだ。

何百っていた冒険者達は、その場で白目を向いて気絶してしまった。立っているのはナーシェだけ。

「よっ! これならお前一人だけ抜けられるぞ?」

「…………やりすぎだぁぁぁ!」

「ええええええ!?」

「當たり前だろ!? こんなことしたらまたお前の評判が下がるだろ!?」

「下がる所まで下がったなら、あとは登るだけさ」

「地下深くまで突き刺さってもう抜け出せないよ!」

「それはつまり覆らないってこと?」

「そうだよ馬鹿!」

「俺、泣きそう」

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