《村人が世界最強だと嫌われるらしい》舊友に會いに行こうと思います 4

「もう一度そいつの名前を教えろ」

烈毅は、こわばった表になって、ナーシェに問いかける。

「フィルレって名前だ」

「噓だろ……」

「なんだ知り合いか?」

「…………俺の命の恩人だよ」

その言葉を聞き、皆ご飯を食べる手を止め、烈毅の方を見る。

「俺のレベルがまだ百の頃だよ。俺がモンスターの大軍に襲われそうになっててさ、もう死ぬってところでそいつが助けてくれたんだよ。偶然な」

「……強かったのか?」

「ああ、めちゃくちゃな。そいつはさ、世界でも結構有名な冒険者でさ、二刀剣の鬼とまで呼ばれてたんだよ」

皆俯いてしまう。烈毅は、悲しいとら怒りのが混ざり、殺意が剝き出しになる。徐々に殺気がれ出していき、それはその場を支配する。

それに気づかない烈毅の手の甲に、ルノが優しく手を置く。すると、烈毅の殺気は自然と落ち著いた。

「すまん。取りした」

「それ程までに大切だったんだな……」

「ああ。その後もレベル上げ手伝ったりしてくれてさ。武を持てない俺からしたらかっこよく見えたわけよ。その後も一緒に酒飲んだりいろいろな……」

當時の烈毅は、ロクなスキルも無ければ、戦闘力もない雑魚だ。當時の強さで言うと、レベル一の勇者に勝てるか勝てないかの強さだ。

今はユニークスキルや経験のおかげで、このレベルまで來れている。

「それで、俺のレベルが三百に到達した時だよ。突然姿を消したんだ。丁度ルノと會ったのもその時くらいだ」

「ルノ、見たことある?」

「ないかな?」

「ないと思うぞ。俺がルノに會ったのはフィルレがいなくなってから數日後だ」

「でも、それなら可笑しくない?」

「ああ、おかしい。俺とルノが會ったのはこいつが七歳の時。それから十年以上経った今に出てきた事がおかしい」

「でも、そんな変な報聞かないけど……」

「それを探しに行くんだよ、これから。それに、多分前日の事件と関連があるかもしれん」

「前日って?」

「ああ、ナーシェさんは知らないですよね。何週間か前に、一人のフードを被った変な男の人が、変異種とかいうモンスターを作り上げて攻めてきたんですよ」

「そんなことが!?」

「ああ。最悪だったよ」

「その時、ルノが殺されそうになってブチ切れた烈毅が、とんでもない殺気を世界中に放ったんですよ?」

レーナがちょっかいを出すじに言う。その言葉に、烈毅は顔を隠して下を向く。

「あ、あの時は本當に……!」

「こら! 烈毅にちょっかいだすなタレパイ!」

「なっ……! 誰がタレパイよ! このぺちゃぱい!」

「いーえー! 私こう見えてCはあるんですぅー! あんたのはよっぼよぼのババアの六千倍は垂れてるわよ!」

「それじゃあ地面付いちゃってるじゃない!」

二人の取っ組み合いで、その場の暗かった雰囲気が明るくなる。烈毅も、笑顔を取り戻す。

ミーシュは、話の長さに呆れて寢てしまっていた。

その後、旅の疲れで寢てしまった一同を、テントに移させ、烈毅は一人見張りをする。

「なんでだよ……なんでフィルレじゃなきゃダメなんだよ……」

その獨り言は誰にも屆かない。

こっそり起きて聞いていたナーシェは、烈毅に肩を貸そうか迷ったが、そっとしておくことにした。

翌日の朝、事件は起こる。

「ない……ないないない!」

「どうしたのルノ? 朝から騒いで……」

「私の……私のパンツが無い!」

「「「烈毅ね。殺しに行きましょう」」」

そう言いながら袖をまくり、レーナ、ナーシェ、ミーシュは烈毅の元へ行く。だが、外にいるはずの烈毅はどこにもいない。

「あいつ、パンツ持って逃げたわね!?」

「最低! せっかく信用し始めてたのに! 見損なったわ!」

「私のパンツ盜めば良かったのに……」

「「えっ!?」」

「あっ、ちがっ……これは……」

「ナーシェさん。あなたは勇者ですよ? 選ばれし者なんですよ? そんな方がパンツを盜んでしいだなんて……」

「お前ら朝からなんの話してんの?」

「あっ! 現行犯よ!」

テントの裏からひょっこり現れたその右手には、純白のパンツを握っている。

「烈毅最低!」

それを見てレーナが辛辣な言葉を投げかけるが、烈毅は「待て。これは取り返したの。俺は悪くない」と言って、左てに持ったものをドサッと雑に地面に置く。

「こ、これって……」

「そうです。こいつが犯人です」

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