《村人が世界最強だと嫌われるらしい》理不盡な戦爭 11
正直思い切った行をしてしまった。これで、また烈毅の評判は下がる一方だろう。それに、もう戦爭やるよみたいな返事をしたも同然な為、烈毅はちょっと反省する。
そんな事は些細なことで、今はファイアの巣にいるルノ達の元へ全速力で駆ける。ベルム國の奴らがどれくらいの人數いるかはわからないが、そんな事は今は考えなくてもいい。手を出そうとした奴を片っ端から止めればいい。
それから數十分走り続けていると、目的地が段々と見えてくる。その事を確認したのと同時に、いくつかの視線をじ取り、急ブレーキを両足でかける。百メートルくらい行った先で完全停止し、そのブレーキ痕は、人間が通ったあととは思えないほどに抉れていた。
「出てこい! ベルム國のヤツら!」
その言葉を発して數秒もしないうちに、視線が何倍にも増し、數で言うと百人くらいに囲まれていることがわかる。だが、人影らしきものは視認出來ない。恐らく、不可視の魔法を使っていると思われる。
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烈毅は相手の出方を伺いつつ、どこから飛びかかってこられても大丈夫なように、戦闘態勢になる。正直、こんな所で時間を取られたくはない。今すぐルノ達の元へ行きたいと思ってる分、早くしてくれと心の中で呟く。
だが、相手はその聞こえもしない呟きを聞いていたかの如く、く気配が無い。それもそのはずだ。相手だって時間を稼ぎたいに決まっている。
「チッ……お前らがそのつもりなら、こっちにも考えがある」
そう呟き、烈毅は拳に力を込める。力を込めた右拳には、白い靄のようなものが纏わりつく。その纏っていたものは闘気。込められ力が現化したものと思ってくれればいい。
そして、烈毅は自分の足元を全力で毆りつける。その瞬間、隕石が落ちたかのようにその場にクレーターが出來、衝撃波によって周りにいたベルム國の冒険者達は、時速百キロは出てるんじゃないかという速度で飛んで行く。
クレーターの深さは測り知れず、またその直徑も測り知れない。その中心にいた烈毅は、ゆっくりと立ち上がり、周りから冒険者がいなくなったことを確認した後、もう一度全速力で走り出す。
だが、それはすぐに阻止される。
走り出そうと一歩目を前に出した時だった。突然背中に気配をじ取り、すぐに後ろを振り向く。すると、目の前には、鋭く銀に輝く洗練されているであろう剣が振り下ろされていた。
刃と鼻先の距離は一センチ。時間にしてコンマ一秒もかからない距離。だが、烈毅にはコンマ一秒あれば躱せる。
「貰った」
そう呟きながら振り下ろされた剣は空を斬る。手応えが無かった事に驚く彼は、すぐに顔を上げ、一瞬にして數メートルの距離を取る。
「あとし遅かった切れてたよ。中々気配を隠すのが上手いじゃん?」
烈毅は、心から思った事を素直に伝えた。だが、彼は嬉しそうな顔などせず、寧ろゴミを見るような目付きで烈毅を睨み、舌打ちをする。
「貴様とわす言葉など無い。さっさと切られて死ねい」
「そう言うなよ。俺だって今のは正直反応出來なかった。周りの奴らとはし違うじだけど、お前もしかして勇者だろ?」
図星なのか、そう烈毅が言うと、眉がピクリとく。烈毅はそれを見逃さなかった。
「いつ頃から勇者になったんだ?」
「…………」
あくまでも俺を無視するつもりか……。なら、こちらから答えながら探っていこうかね。
「俺が予想するに、多分二年前くらいだろ?」
再び、相手の眉がピクリとく。彼の癖はすぐに分かる。さらに、烈毅の弾丸トークは続く。
「レベルは三百っていったところだな、さっきのきからして。多分、俺が見てきた中で最速のきかな? ……いや、本気のナーシェと同じくらいかな」
「ここの勇者と同じにするな。我々は鍛え方が違う。私の方が上に決まっている」
「あ、そこには反応するのね……つか、一応ここの國の勇者のこと知ってるんだな。心したよ」
「相手の報は持っておくべきだろ。まぁ、調べたところで何も変わらないがな」
「ふ〜ん。その報が正しければね?」
二人の間に、暫くの沈黙が訪れる。
烈毅もこう言ってはいるが、正直なところまだ実力は計れていない。もしかしたら、何か強力なユニークスキルを持っているかもしれない。何か、狀況を覆せるほどの魔法を持ってるのかもしれない。そのため烈毅は、一秒たりとも気を抜かない。
そう思った次の瞬間、ベルム國の勇者は、足にグッと力を込め、烈毅の元へ飛び込む。一般の冒険者からしたら、そのスピードは脅威でしかない。だが、烈毅にとってはし速いな程度にしか思えなかった。
相手の間合いにはらないよう、烈毅は絶妙な距離を保ちながらバックステップをして下がっていく。ベルム國の勇者も、さらに加速すべく、地面を幾度も蹴り、勢いが増していく。
聖剣の能力がわからない以上、烈毅にとってはあの剣は脅威。破壊しようにも、迂闊にはれられい。距離をとりつつ作戦を練っていると、ベルム國の勇者は突然距離を一瞬で詰めてくる。
「なっ……!」
烈毅も、思わずそれには驚きの聲を上げる。そして、聖剣が勢いよく振り下ろされる。
間一髪で避けた。烈毅はそう思った次の瞬間、烈毅の服が大きく斜めに裂ける。には傷はない。
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