《村人が世界最強だと嫌われるらしい》抜けられずの島 3
「閉じ込めた? これは魔法とかの類じゃないんだろ?」
「いえいえ、正真正銘私の魔法ですぉ? もしかしてぇ、島の特とかお思いになられましたぁ? そんなものあるわけないでしょぉ?」
「噓をつくな? こんな島を覆えるほどの魔法なんて使える奴はそういない。それに、時間が経過しないとなるとさらにだ」
「それが私なのですよぉ? 滅多にいない存在なんですねぇ、わたしぃ?」
顎をりながら、を張って自慢したげな顔をしている。正直、うまくペースが摑めない。このままだと、また何かされるのかもしれない。
「魔族なのか? それとも人間なのか?」
「魔族ですよぉ、わたくしぃ。それもぉ、かなり上位の者でしてねぇ? デルノゼ君を知ってるでしょぉ? 彼ぇ、私と同じチームでねぇ、頼まれてずっと監視していたんですよぉ?」
そう言われ、時々じた視線の事を思い出す。もしかしたら、こいつが見ていたのかもしれない。それを確かめるべく、烈毅は聞かずにはいられなかった。
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「お前だったのか……時々殺気を放ったり、ずーっと見ていたのは?」
「はてぇ……私は視線をじさせるようなヘマはしませんよぉ? だってぇ、気づかれたら終わりですからぁ」
それはそうだ。烈毅は納得する。なら、あの視線はもっと別の者なのか? そんなことはさておき、今は目の前の魔族に集中する。
「さてぇ、長話も飽きてきましたからぁ、ちょっとお手並み拝見といたしますかぁなぁ?」
そう言うと、指を鳴らす。その途端、突如海の方から無數の殺気を知する。それらは、凄い勢いで、その無數の反応が近づいてくる。
そして、それは姿を表す。現れたのは、幾匹もの変異種。全て、魚類のモンスターをえており、中には人間を混ぜたものもいた。
「また変異種……お前らは何が目的なんだ?」
「目的ですかぁ……まぁ、簡単に申し上げるならぁ、世界征服ぅ?」
「世界征服だと? なぜお前達はそんな事をしたいんだ?」
「さぁ? 私はただ魔・王・様・に従うだけなのでぇ」
その名前に、烈毅達一同は、を震わせる。
「あぁ、そう言えば、魔王様に頼まれてる事があったんですよぉ。烈毅さん、あなたぁ、私たちと共に世界征服しちゃいませんかぁ?」
その突然のいに、烈毅は思わず言葉が出なくなる。さも平然とした顔でそう言う。
「あれれぇ? 言葉の意味がわかりませんでしたかなぁ?」
「……嫌だと言ったら?」
「まぁ、力盡くで持ち帰りますよぉ。本當は無傷で連れて來いって言われてるんですけどねぇ……」
「ほう? なら、俺は無傷で尚且つお前らを撤退させるとしましょうかね?」
「おやおやぁ、この數を相手にそんな大口を叩けるなんて大したお方ですよぉ。私、尊敬をお送り致しますぅ。申し遅れましたがぁ、私はヘール。魔王様に仕える下僕でございますぅ」
ヘールは、再びハットを取り、深々とお辭儀をする。そして、ハットを被るとすぐに、指を鳴らす。それが戦いの始まりの合図となり、後ろで控えていた無數の変異種達が襲いかかってくる。
右から、左から、上から、正面から。四方八方から襲いかかってきた変異種の目は、人殺しよりも恐ろしい目付きをしており、そして、放たれる殺気は禍々しかった。
それに応戦すべく、烈毅は瞬きよりも早く変異種を毆りつける。ナーシェは、目の前の敵にだけ集中し、一薙で、いくつもの変異種を葬る。ミーシュは、後ろの方からゾロゾロ來る変異種に、範囲魔法を放つ。レーナは、し周りとは劣っているものの、それをじさせないような剣さばきで、変異種を屠る。
何十という変異種が飛沫を上げ、その場に不様に転がり落ちる。が、休む暇は無い。次から次になだれ込んで來る。
ルノを庇っている分、烈毅はし行範囲が狹められるが、拳圧でも変異種を木っ端微塵にすることが出來るため、そこまでハンデはじられなかった。
そして、真白く輝いていた砂浜は、ものの數分でので染まり、変異種の死で砂浜など見えはしなかった。
すると、それを見兼ねたヘールは、ため息を付きながら指を鳴らす。すると、変異種のきが一斉に止まった。
「はぁ……変異種が使えないのは分かっていましたがぁ、ここまで使えないとはぁ……ため息が止まりませんよぉ」
更に何度もため息を付く。その場からこうとはせず、唯ひたすら同じ行を繰り返す。すると、何もされていないはずのレーナが、突然力なく倒れる。続いてルノ、ミーシュ、ナーシェ。その狀況に、烈毅は困する。
「…………まさか魔法!?」
「やっと気づきましたぁ? 何故貴方に効かないのかはわかりませんがぁ、そこの四人は回収させていただきますぅ」
そう言われた瞬間、烈毅はユニークスキル"防結界陣"を発させる。
「ほぅ? 貴方魔法が使えたのですねぇ? 村人だから魔法が使えないとお伺いしていたのですがぁ……楽しませてくれますねぇ?」
魔法と勘違いしてくれたのはありがたい。そうなればきっと、烈毅が使えもしない魔法に警戒してくれるという事だから。それなら、しはきやすくなる。
烈毅は首をコキコキと二度鳴らし、靜かに呟く。
「いっちょ派手にやりますか」
【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
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