《村人が世界最強だと嫌われるらしい》抜けられずの島 6
ダークドラゴンは、みるみるうちに力を貯めていき、島全で地震が起きるほどに力が集められていた。それをいち早く察知した烈毅は、次に繰り出される攻撃を予測し、お世話になっているユニークスキル"防結界陣"を発させる。
「お前ら、絶対この中から出るなよ! 出たら死ぬぞ!」
四人は力強く頷き、烈毅の安全を、手を組んで祈る。強く、強く、心の中で必死に祈る。
『そんなショボイ結界など、我が魔法で砕いてみせるわぁ!』
その言葉の直後、空中に無數に魔法陣が出現し、それは烈毅達を覆う形で配置されている。逃げ場などどこにも無く、どの角度からも當たるだろうその攻撃は、烈毅を久々に恐怖させる。
「これまじぃなぁ……もしかしたら無事じゃいられねぇかも」
"完全魔法耐"があるとはいえ、もしかしたらそれを看破するだけの能力を持っているのかもしれない。そうでないのなら大丈夫なのだが、正直全くわからない。
『死ねぃ雑種。我が魔法の前に灰となれ』
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そして、その魔法陣からは、同時にビームの様な形をした魔法が高速で飛んでくる。目の前をその魔法で覆い盡くされた中、微かに間から見えたのは、ダークドラゴンの勝ち誇った笑だった。
魔法は烈毅に直撃。激しい音と発、風を巻き起こし、辺りにあった死は吹き飛び、で染まった砂浜は元の姿になっていた。
砂煙が舞い、結界の中からでは烈毅を確認する事はできない。
「れ、烈毅……」
レーナが寂しそうに呟く。それに続いて他の者も烈毅の名前を呼び、數秒待っても返事が無いことに、四人はその場で膝を付き、顔を下げてしまう。
「そんな……あの烈毅がこうもあっさり……」
『ふんっ。我と邪神様のいを無礙にしたのが悪かったのだ。貴様みたいな人間風が、神を甘く見るなどもっての他なのだ。我に殺された事を誇りに思うが……』
「うるせぇよべらべらべらべら。神だ人間だ関係ねぇんだよ」
その聞き覚えのある聲に、結界にいた四人はバッと顔を上げ、砂煙の中をじーっと凝視する。
「ったく、おめぇらもそんなけねぇ聲出してんじゃねぇよ。死んでねぇっつの」
『馬鹿な!? 今ので殺せない人間などいない! どうなっている!?』
砂煙が晴れていき、その中から、ぼろっぼろになった服を著て、肩を何回も回し、ダークドラゴンを睨みつけている烈毅の姿があった。
「ただの魔法じゃねぇかよ。見かけだけのゴミ魔法じゃん。俺には魔法は効かねえってんだ」
「烈毅……無事だったのね!」
「だから言ってんだろ? 死んでねぇって? 何、お前ら俺を殺したかったの?」
ルノ、ナーシェ、レーナは極まり、その場で手を繋いで飛び跳ねていたが、ミーシュだけは見逃してはいなかった。烈毅の口元から、たらりと垂れていく赤いを。
烈毅は強がってはいるが、正直今の狀態は全くもって良くはない。寧ろ瀕死に近い。
『邪神様の加護をもってしても倒せない……だと? そんな馬鹿な事が……』
ダークドラゴンも、烈毅の演技に騙されているが、その加護が、烈毅がんではいなかった一番のものだった。
烈毅もつ"完全魔法耐"は、普通の冒険者や、魔族が放つ魔法なら絶対にダメージがりはしない。だが、ダークドラゴンが持っていた加護、"邪神の加護"は、ありとあらゆる魔法強化、特殊能力(この場合はユニークスキル)を無視してダメージを與えられるという、まさにチート能力を持っている。これが無ければ、烈毅は無傷ですんだ。だが、そうはいかなかった。
今も立っているのがやっとで、ユニークスキルの中に"自回復"があるが、これは時間経過でが回復していくものであり、その回復を待っている余裕などない。
先程まで舞っていた、砂煙の中で、"異次元アイテムボックス"の中にしまっておいた回復アイテムの、パーフェクトケアポーションを使用したのはいいが、まだ全回復には至らない。そのため、傷が塞がってはいなかったのだ。
「さて、ダークドラゴン。お前の攻撃は俺には通用しなかった。ここは引き時なんじゃないか?」
烈毅は、なんとか時間を稼ぐために、ダークドラゴンとの話し合いに持っていこうとした。だが、そう上手くいかず、再び最悪の狀況は起こる。
『それでは邪神様がお怒りになる。せめて貴様だけでも殺すか連れ帰るまでは戻れぬ!』
魔法がダメだと思い込んだダークドラゴンは、理攻撃で攻める手段に切り替える。今の烈毅では、はっきり言ってしまうと勝つことは到底無理。回復アイテムをもう一本だけ使えれば、完全に力が戻るが、そんな時間は無い。
そうこう考えているうちに、ダークドラゴンは距離を詰めてくる。目の前に、突然ダークドラゴンが現れたように見えた烈毅は、反的に距離を取ろうと、凄い後ろまで下がってしまう。
その行は今の狀況では、最もしてはいけないもの。十メートル以上結界から離れてしまった烈毅は、その事に気付かない。
そして、烈毅の発させていた"防結界陣"は、解除されてしまう。
「しまった!!」
四人の前には、殺気に満ち溢れたダークドラゴンが立ちはだかり、その存在は四人にとっては、烈毅よりも恐ろしい存在に思えるほどだった。
ピクリともけない四人は、恐怖のあまり聲も出せず、腰を抜かしてしまう。ガクガクと震えるその足が、その恐ろしさを語っていた。
『結界が消えた……?』
それに気づいたダークドラゴンは、ニヤリと嫌な笑を浮かべ、無言のまま腕を大きく振り上げた。
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