《村人が世界最強だと嫌われるらしい》妖狐の國に來ちゃいました 1

窟で暮らしてから一週間、烈毅のユニークスキルで造られた生活品が猛威を振るい、家の様な安心でそこに暮らしていた一行は、今日も修行のため外に出て、激しい特訓をしていた。

魔法を一定領域に掛けてあるため、誰かがここにってくる事は絶対にないし、外からこちらを視認する事も不可能。ミーシュがいてくれて本當に助かっている。

先日の一件があってから、前もかなり特訓する気持ちがあったのだが、それ以來更にやる気になり、今では食を忘れるくらいに沒頭して特訓に打ち込むようになった。

頑張ってくれるのはいい。でも、頑張りすぎてを壊すことだけは避けてしい。烈毅はこっそり、そんな事を思っていた。

ルノは、相変わらず戦うことはできない。今、ファイアが召喚したモンスターと向かい合っているが、剣を持つまでは出來る。だが、そこからが中々進まない。烈毅も、何度か手助けをしようと試みるが『これは私の問題だから、烈毅はレーナ達に付いてあげてて』と言い、斷られてしまう。

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だが、ルノは一生懸命自分と向き合っているんだと思い、言われた通りに烈毅はく。

レーナ、ナーシェ、ミーシュ、ファイアは、四人でひたすら実戦形式で特訓をしていた。レーナはファイアと。ナーシェはミーシュと。烈毅も混ざりたいが、三人から『烈毅が相手だとやる気無くすからやめて』と言われ、絶賛ボッチなう狀態なのだ。

波が巖に當たる音を聞きながら、烈毅は一人寂しく水平線を眺めていた。

「はぁ……なんか寂しい……俺に一生ベタベタしてくれる可い従者がいればなぁ……」

馬鹿みたいなことを呟く。寂しさのレベルが積み上がると、ここまでなってしまうのだ。話し相手がしい。烈毅は心から今そう思っている。

「晝も過ぎて、ここから夕食まで長いし、造るものなんてほぼ無いし、こうなったらこっそり外に出てやる!」

ついに一人が嫌になってしまった烈毅は、今まで使ってきたフード付きのマントを羽織り、しっかりと奧までフードを被ったら、誰にも見られないよう靜かにき、幻魔法の一定領域から出る。

「……ん? 今のじは……」

一定領域から何者かが出た事を、特訓中にじとったミーシュは、つい戦いから目を背けてしまう。その瞬間、ナーシェの強烈な蹴りが落にる。

もろに食らったミーシュは、思わずその場に蹲り、そこにナーシェが「大丈夫!? よそ見したから思わずチャンスと思って、おもいっきり蹴っちゃった」と、舌を可く出しながら謝ってくる。

ナーシェに起こしてもらい、ゆっくりと深呼吸をしながら、息を整える。痛みはし殘っているが、もうけそうだ。

「いや、いいのいいの。悪いのはよそ見した私だから! さっ、特訓を再開しましょ!」

「そうね」

ミーシュは、どうせ烈毅が勝手に遊びに行ったんでしょ。くらい軽い気持ちで外に出たと思い、もうその事は考えないようにした。そして、脳を一気に戦闘モードに切り替える。

「さてさて、外に出てきたのはいいけど、左を向けば海、右を向けば森、前を向けば一本道、どこへ行こうか迷うな」

烈毅は、ぶつくさと獨り言を言いながら歩いていると、足元に細い枝が落ちているのを発見し、それを拾う。

「そうだ、これ投げて枝先が向いた方向に進もう」

いつかの小學生時代に良くやった遊びを思い出しながら、烈毅は空に枝を放り出す。

枝が烈毅の足元に落ちると、コスという小さい音が鳴り、そして枝先が向いた方向は、森の方だった。

「森か。一応マーキング的なのをしながら行こうかね、迷うと面倒だし」

烈毅はつま先を森の方に向けてから、ゆっくりと歩き出す。一本道が続いてた數十キロ先まで木が並んでいたのを考えると、どうやらこの森はかなり広いらしい。その事を踏まえた上で、烈毅は歩みを進める。

數十分歩いた烈毅は、その森の広大さに改めて気持ちを引き締める。數キロ先まで同じ景が見える森は、烈毅にとってはし恐怖だった。

というのも、つい一週間前までは、名前もない島にいて、森を歩いても同じ場所に辿り著くという事があったためだ。

だが、その考えは一時間後には払拭される。同じ場所には戻ることは無かったからだ。

森に大きく傷を付けながら歩いてきた烈毅は、時々見つける木の実などを拾いつつ、今晩の夕食のメニューを考えていた。

「さて、今日は何料理にしようかな~? 木の実のスープ、木の実の炒め、それから……」

周りを見渡しながら木の実を探していた烈毅は、突然視界に映りこんだ・し・い・姿・の・・を見て、ポツリと呟く。

「キツネ鍋…………ん? 狐?」

視線を一度外した烈毅は、もう一度その存在を確かめるべく、その方向を向く。

そこには、野生の狐と呼ぶにはし人間のような姿をしたそれが倒れており、近くで見るとその存在は明白になる。

頭頂部から生えた二つの獣耳。綺麗でサラサラとしてそうな橙と金が綺麗に混ざった髪。顔は小さくまだい。長は小學三年生の平均くらい。は見とれてしまうようなしさを放った白。おには、九本もの尾があり、そのどれもがふさふさしていて気持ちよさそうな、鮮やかな橙をしている。

「まさか……九尾?」

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