《村人が世界最強だと嫌われるらしい》妖狐の國に來ちゃいました 3

「意味わからなくないじゃと? そのまんまの意味じゃぞ?」

「なんで家出したかの経緯を教えろよ……」

「あぁ、そうじゃったな。失禮失禮」

おじさんみたいな口調で謝り、一度咳払いをすると、中空を見て、何かを思いふけるような顔をして、キュウが話し始める。

「あれはじゃな、つい先日の出來事なのじゃ。朝起きて、は甘いが食べたくなったのじゃ。だから、母上に『何か甘いものをくれ!』と、頼みに言ったのじゃが『朝からはダメよ。晝に食べなさい」』と言われたのじゃ。それでな、は嫌じゃ嫌じゃと駄々をこねたわけじゃ。そしたら母上が『うるさい、出てけて』と言ってきたから、家出したのじゃ」

「つまりはお前が全面的に悪いってことでいいわけね。じゃ、あとは頑張れ」

「待て! を置いていく気か!?」

「いや、だってお前が全部悪いんじゃん。だから、俺は関係ないからもう帰る」

「頼む! を一人にしないでくれ! 一人は寂しいのじゃ!」

Advertisement

「……じゃあどうすりゃいいんだよ」

が來た道を案するから、それに一緒についてきてくれ!」

「やだよめんどくさい」

「お願いじゃ!」

「はぁ……付いてくだけだからな?」

「やったぁなのじゃ!」

そして、今に至るのだ――

今は森の中を歩いているが、先程は聞こえてはなかった波の音が微かに聞こえてくる。

「もうすぐで海じゃ。そしたら、が魔法を使うから、ご主人は一緒に海にるのじゃ」

「待って聞いてない」

「言ってないからな!」

烈毅の肩の上でエッヘンとを張り、誇らしげな顔をしている。何も誇らしくもなければ、寧ろ自分勝手すぎて毆りたくなる。

「海からは自分で帰れ。一人で來たんだから、帰りも一人で行けるだろ?」

「無理じゃ」

「なんでだよ!?」

キッパリと言い切ったキュウに、烈毅は思わず本気のツッコミをれてしまう。

には、帰りに使うだけの魔力が足りん。だから、お主の力を借りないとならないからじゃ」

「無理だよそんなの。人の魔力を使うなんて話は聞いた事が無い」

「それはそうじゃろ。だって、その力はだけの力じゃからな!」

「まじかよ」

「まじじゃよ?」

そう。キュウにはユニークスキルがあり、その名は"魔力作"。他の人間にれ、そのれた対象の人間の魔力を、自分のとして自由に使う事ができる、という能力だ。

「いやでも、俺はジョブは村人だ。だから、使おうにも俺には魔力が無いから意味無いぞ?」

「それは本當か!?」

「本當だよ」

森を抜けた直後、烈毅は歩みを止め、キュウと見つめ合い、數秒の沈黙が流れる。

「……何とかならないのか?」

「今回ばかりは無理だな……」

キュウが次第に涙目になり、顔から元気が無くなっていくのがわかる。さすがに、烈毅も申し訳ないと思い、何か方法がないかと考える。すると―

「なら、私の魔力を使えばいいわ」

聞き覚えのある聲の聞こえ、烈毅はその方を向くと、そこにはミーシュが両手を腰に當てながら立っていた。

「それは本當か!?」

「ええ、本當よ」

「ミーシュ!? 何でここがわかった!? 特訓はどうした!?」

「會えたのは偶然よ、歩いてたら見つけた。特訓は今日はもう終わりにして貰った。あんたを探すためにね」

「いやいや、悪いって! 強くなるために頑張ってるんだから、何も特訓をやめてまで來なくても……」

「馬鹿ね。特訓も大事だけど、それよりもあんたの方が大事なのよ」

目線を下に向けながら言うミーシュの頬は、し紅くなっている。

「そんなに……そんなに俺を大事に思ってくれてるなんて……烈毅くんは嬉しいです!」

「おいご主人、もお主の事を大事に思っておるぞ?」

「ああ、お前はいいや。さっさと帰して、俺は俺の生活に帰る」

「ひどいのじゃ!」

「それで烈毅、その子は誰? 尾が生えてるようだけど、その子はモンスターなの? それとも魔族なの?」

「いや、そのどちらでもないよ。こいつは九尾って言って、表の世界の人間じゃないんだよ」

「ん? ……待って、表の世界の人間じゃない? どういう事?」

この疑問は最もだ。『表の世界の人間じゃない』って聞けば、この世の誰もが同じ疑問を抱くだろう。表って何なのか。必ずそこに考えが行くだろう。

「ああ、えぇとだなぁ……」

どう話そうか考えるが、中々上手く説明できそうにない。表だの裏だのと話したところで、まず信じては貰えない。烈毅は必死に悩むが、言葉が詰まる。

「はぁ……まぁ、簡単には説明できないって事ね。面倒っていうのだけは何となく分かったわ。とりあえず、今やる事を教えて」

「すまないな、助かるよ」

「いいわ、別に。ただし、あんた今度私との特訓に付き合いなさいよね?」

「ああ、なんでもやってやるよ」

ミーシュは優しく微笑み、そしてまた、烈毅も優しく微笑む。それを烈毅の肩から見ていたキュウは、自分を蚊帳の外にされた事を嫌に思い、プクーっと膨れて、烈毅の髪のを摑む。

「いててててっ! 何すんだよ!?」

を無視するな! 主従関係の仲じゃろ!?」

「どんな仲だよ!?」

「えっ、烈毅を従者に……見損なったわ」

「まて、何か誤解をしてるぞ!?」

    人が読んでいる<村人が世界最強だと嫌われるらしい>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください