《村人が世界最強だと嫌われるらしい》妖狐の國に來ちゃいました 6

「そんなに驚くことかの?」

「「當たり前だ!」」

「何を二人して怒っておる? 次期じゃぞ、次期。今はまだ母上がいるから王ではないぞ?」

「馬鹿か!? お前の行一つで國中がくんだぞ!? それ分かってるのか!?」

キュウは、そんなこと知らんとばかりに尾を用に九本もフリフリしながら答える。

「わかっておるわい。そこまでもアホじゃないのじゃ」

「お前……とりあえず、今からお前の母さんの所に屆けに行く。いいなミーシュ?」

「え、ええ。わわわ、わかってるわ。わわ、私、犯罪者じゃないものね」

「話通じてるのか!? 訊いてることにたいしての答えがハチャメチャだぞ!?」

それもそのはず、なんてったって今目の前にいるのは國で一番偉い方の子供。そんな人だと知れば、誰もが同じような反応になるだろう。

「ま、まぁとりあえず行くぞ。道を教えてくれ、キュウ」

「良いぞ~」

キュウは烈毅の肩まで登り「しゅっぱーつ!」と可い聲で言う。烈毅は、何故かつい數時間前までキュウを乗せていた時よりも何倍もの重みをじ、今までにないくらい意識を集中させる。

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誰かに狙われてないか。キュウはしっかり自分の肩に摑まっているのか。々な事を頭の中で考えすぎて、正直前など見ていられなかった。

「おいご主人、歩幅が三センチもないぞ? うんこでも我慢してるのか? なんだか汗も凄いし。下痢か?」

「いや、それ以上のものだ……」

「下痢以上じゃと!? それは何だ!?」

「お前だよぉ!」

!? はうんこじゃないぞ!?」

天然なのかわざとなのかわからない。というか、この際もうどうでもいい。

「あぁ、もういいや! こうなったらもう勢いだ!」

らすのか!?」

「だからうんこじゃねぇぇぇぇえ!!」

それから烈毅とミーシュは、キュウの案道理に進んで行く。レデモンの中心にある城は、かなり遠い。歩いても何週間とかかってしまう。まだ歩き続けて一時間だが、それを知らされた烈毅とミーシュら白目を向けていた。

「なぁ、本當に歩いていくのか?」

「當たり前じゃろ? だって歩いたんじゃ。同じ思いを背負ってもらわねばな」

「それに私達をまきこまないでぇ……」

「よし。こうなったらあれで行くか」

烈毅は口角を釣り上げ、ニヤリと笑う。その顔を見たミーシュは「あ、これはまずい」と真顔で呟き、急いで逃げようとする。何が起こるかわからないキュウは「あれとはなんじゃ?」と可い顔をしている。

逃げようとしたミーシュはとっ捕まえ、キュウを右脇に、ミーシュを左脇に抱える。ミーシュは必死に「離してぇぇぇぇえ!」とぶが、烈毅の拘束から解かれることなどない。

「キュウ、どの道をいったら近道なんだ?」

「そりゃ空じゃろ。だって真っ直ぐ進むだけなのじゃから」

「ほうほう。君は頭がいいよキュウちゃん。褒めてあげよう」

「ナデナデしてくれるのか!?」

「後で死ぬほどしてあげよう」

「やっほいなんじゃ~!」

満面の笑で喜び、嬉しさを全力で表現するキュウ。だが、キュウはまだ知らなかった。空を飛ぶよりも恐ろしい事が待っていることを。

そしてミーシュは知っていた。これからとてつもなく恐ろしい事が起こると。

「それで烈毅、どうやって空を飛ぶのじゃ?」

「殘念ながら俺は空を飛ぶ能力は持ってません」

「ならどうするのじゃ?」

「屋の上をピョンピョンと全力で走って行こうと思います!」

「…………離せ」

「それでは、暫くのアトラクションをお楽しみくださ~い!」

「嫌なのじゃあぁぁぁぁぁあ!」

「もー、どーにでもなれー。私は知らなーい」

キュウは先程までの笑顔など欠片もなくなり、今は必死な顔して烈毅から離れようとする。もう離れる事を諦めたミーシュは、全の力を抜いて、だら~んとした格好で烈毅に抱えられている。

烈毅は足に力を込める。地面を壊さないように、周りに迷をかけないように全力で地面を蹴る。

音もなく空を飛び、あとから烈毅がいた場所に突風が巻き起こり、近くにいた人は思わず飛ばされそうになる。

何百メートルも上空まで飛び上がった烈毅は、そこから見える景を覚えた。

「おいめちゃくちゃ綺麗だぞ!! レデモンって本當に馬鹿みたいに広いんだな! 城が見えねぇ!」

「當たり前じゃろろぼぼぼぉ!?」

キュウが喋ろうとすると、その瞬間地面に向かって猛スピードで落下していき、口に風がってキュウは上手く喋れなくなる。ミーシュは、だら~んとしすぎて、口からでた涎が、空中をお散歩していた。

「ちゃくちぃぃ! そしてすぐにジャーーンプ!」

心から楽しんでいる烈毅は、何時間もレデモン上空を飛び続けた。キュウは途中で恐怖のあまり失神し、ミーシュもだら~んとしていたら本當に失神してしまった。

そしてそれから二日後。漸く城が見えてくる。

「あれが城か~。でっけぇ壁に囲まれてるところを見るとそうだろうな」

二人は相変わらず失神しており、到著寸前だということに気づいていない。

さらに數時間の後、漸く城へと到著した。

空から突然現れた烈毅達を見て、城を守っていた守護兵二人が思わず驚愕の表を見せる。

「き、貴様何者だ!?」

裝備していた槍を二人の守護兵に向けられ、烈毅は慌てて誤解を解こうとする。

「待て待て待て! 俺はキュウを屆けに來たんだよ!」

そして、その守護兵二人が目にしたのは、目から涙を、口から涎を流しながら気を失っているキュウの姿だった。

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