《村人が世界最強だと嫌われるらしい》最善策 10

時は戻り、烈毅は。

「はぁ〜〜! 疲れたぁ〜!」

あの後何時間も戦い続け、ようやく敵も無理だと察したのか、一時撤退して行き、目の前に転がっていた無數の過激派達を擔ぎ、どこかへ去っていってしまった。それと同時に、塔の天辺で異彩を放つ存在を知出來なくなり、行く宛が無くなった。

烈毅は、今は疲れ果ててその場に寢っ転がっている。力の回復は徐々にしていっているが、ここまで消耗したのも久しぶりだ。

「さてさて。俺も一時撤退といこうかな。あいつらがどうなったのか気になるし。その前に、今のにここら辺を散策しとくか」

塔の天辺で待っていた存在が突如いなくなった今、ここはもぬけの殻と言ってもいい。そう簡単に割り切って捨てられる場所でもないとも思えるが、烈毅はし気がかりなまま進んでいく。

幾つもの巨大な倉庫を調べたが、それらはどれも生活施設だということが分かった。これと言って何かを実験していたという訳ではなく、ただ生活のみられる場所なだけだった。

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「この倉庫に何人れるんだ? 見たじざっと二萬人くらいれるぞ」

ほぇ〜、という聲を出し心していると、上ばかりを見ていたせいで、足元に注意が言っておらず、その場に転がっていた握り拳よりもし小さめの石を蹴っ飛ばし、その先にあった鉄製のトランクに大きめのを開けてしまう。

「やべ……べ、別に、力をれて蹴ったわけではなく、偶然足に當たってしまって、それがたまたまあのトランクに當たってしまっただけだ……俺は悪く……ん?」

そのトランクを見ていると、の空いた所から、何か見覚えのあるようなないような曖昧なを見つける。烈毅は、それに近寄り、中を確認する。

「これは……うっ、臭っ!」

鼻を刺激するような酷い臭いについ鼻を抑えてしまい、目を瞑りながらその場から退いてしまう。

「なんだあれ!? なんだか人が死ん後のような臭いが……」

その事を口にしてから烈毅は気づく。それは、紛れもなく『死』なのだと。そして、それは全てい子供のものばかりだった。

「何だよこれ……なんで子供の死があるんだよ……」

理由なんてものは烈毅には到底わからない。過激派に逆らった者の子供を殺したのか。はたまた、そこら辺から拾ってきて過激派に無理矢理れさせようとした子供なのか。

他にも、そのようなは幾つもあり、全てが子供の死が敷き詰められており、中には脳みそを抉り取られた者や、目玉をくり抜かれた死があり、正直耐えられるようなものではなかった。

「子供にまでこんなことしてんのかよ……許せねぇな」

烈毅は、靜かに怒り始める。いつもなら、後先考えず相手を追うのだが、今回は冷靜さを保っており、その行にはでなかった。

「殘るは、あの塔だな……」

「その塔には行かせられないねぇ、人間」

背後から聞こえたその聲に、烈毅は驚きと焦りを同時に味わい、冷や汗が止まらなくなる。

気づかなかった。いや、"気づけなかった"。

両手を後ろで組み、その場に背筋をばして立つ存在は、今まで見て戦ってきたどの妖狐達よりも違うものをじ取った。

し老いたような顔つきで目は赤く、長もかなり小さめ。誰もが見ればかわいいと言えるサイズだ。それでいて目つきは鋭い。両耳のうち、右の耳はなく、また顔には幾つもの傷がある。フサフサとしたは、老いのせいかし白が混じっている。そして、何よりも変わっているのは、尾が一本も生えていない事だった。

「お前がファンウか?」

「おぉ、私をご存知でしたか。最近の人間は報が早いのかね……いや、それとも、引き込むのが上手いと言った方がいいかね?」

「バレてたのか」

「あんなに大っぴらに戦っていたら誰でも気になるでしょう? まぁ最初からこちらにつく気が無かったようですが」

「だから家族を人質にして引き込んだのか?」

「その通りです。お見事です」

笑ってるのか普通の顔なのかわからない表で拍手をするファンウ。正直、相手の報が『シェルドより強い』ということ以外何も無いため、迂闊には手を出せなかった。

「お前も、引き込むのが上手いんだな」

「おっほっほ。これは一本取られましたね。人間、名前は?」

「人村烈毅」

「あ・な・た・が・……」

「ん?」

何かボソボソと呟いたように見えたが、烈毅はそれを聞き取れなかった。

「名前を教えてくれたお禮に、私の尾が何で無いかを教えてさしあげましょう。どうやら気になるようなのでね」

「…………」

烈毅は、焦りをじた。背後にいると言っても、烈毅は倉庫最奧、ファンウは倉庫の口にいる。距離的には何百メートルとある。その立ち位置の中、烈毅の視線を正確に見抜かれていたのだ。

「これは、何年かな……もう何百年と前の話になるね。私の全盛期と言ってもいい時代、私はべーテルと共にありとあらゆる場所に行っては領土を拡大させていた」

べーテル……もう一人の強敵だ。

「そんなある時、一人の魔族が私達の前に現れた」

「……は?」

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