《村人が世界最強だと嫌われるらしい》最善策 13

「人間。この狀況でまだ戦うつもりか?」

「そうだ。俺とファンウの二人とまともに戦って勝てるものなど、俺は一人しか知らん」

「なら、お前は今日知ることになるよ。お前ら二人とまともに戦える二人目の人の存在を」

こうは言うものの、後ろに守らなければならないミーシュとキュウが寢ている狀況で、ファンウもべーテルも近寄らせないなんて事は、到底難しいものだ。

後ろにはミーシュもキュウが寢てる……逃げるのが一番いいんだが、流石にあいつらからは逃げきれない。なら、ここで倒すか? いや、無理だ。

「だから言っただろ、考えすぎだと」

先程と全く同じ詰め寄られ方をされ、烈毅はガードを作れておらず、ファンウの攻撃をモロにけたら致命傷になりかねない。だが―

「殘念、それは悪手だ」

「な……っ!?」

ファンウが來ることは分かっていた。二度も同じ手は食らわないのが、烈毅の強さでもある。

左肋付近を蹴られたファンウは、飛ばされることはなくとも、烈毅の攻撃のダメージにし足元が疎かになる。

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「ここっ!」

「させるか」

烈毅が、ファンウを足ばらいし、倒れさせようとしたが、べーテルがその攻撃を阻み、烈毅の背後に回られる。だが、べーテルの方が実力は下なため、烈毅からしたら余裕で対処ができる。

右拳で毆りかかってきたべーテルを、殘像を殘しながら背後を取ったべーテルの背後を取り、一瞬の間に背中を十発程毆りつけ、骨が砕ける音と共に、べーテルは吹き飛ぶ。

そして、ファンウのいた方へ目を向けた烈毅は、その場にファンウがいない事を確認した瞬間、背中に強烈な痛みが走った。

蹴りの破壊力は凄く、烈毅の肋骨にヒビがる。烈毅は吐し、やり返そうとすぐに後ろに振り向き、その振り向きの勢いを乗せたままファンウを毆る。

その攻撃を顔面にけたファンウも吐し、烈毅の右拳にが付著する。

更に攻防は続き、ファンウと烈毅の強烈な攻撃のやり合いは留まることを知れない。

そして、お互いの力が限界寸前になった所で、一旦二人は距離を取り、お互い元いた位置に戻ってくる。べーテルも、ヨタヨタ歩きながらファンウの後ろに到著し、暫く沈黙が流れる。

その沈黙を破ったのは、息を切らしながらも喋り出したファンウだった。

「人間、貴様はそのガキの力を知っておるか?」

「何だ急に? 今関係無いだろ?」

「いいや、ある。大いにある」

言っている意味が理解出來ず、烈毅は思わず首を傾げる。

「まぁいい。ワシらを倒したところで、結局殺される事になるのだから」

「はぁ? 意味が―」

「意味なんて理解しなくていい。ここで死ね」

先程よりもスピードが格段に上がったファンウに、烈毅は思わず反応できず、気づいた時にはもう毆られた後だった。

烈毅は吹っ飛ばされる。すぐに勢を立て直し、慣の法則など無視するかのようにすぐに地面を蹴り返してファンウの元へ行く。

そして、目に映ったその景に、烈毅は猛烈に怒りをこみ上げ、怒鳴り散らす。

「やめろっ! そいつには手を出すなぁ!」

「これが、九・尾・の・力・だ・よ・。篤とご覧あれ!」

ファンウはそう言い放ち、手を鋭い刃の様な形に指を閉じ、キュウの腹目掛けて手を突き刺し、貫通する。

「あっ……」

するキュウ。貫通した腹から溢れ出すと臓

烈毅の頭の中は真っ白になり、その狀況を見て「ふっ」と鼻で笑ったべーテルの元へ星のような速さで移し、顔面を摑み、と頭をそれぞれ反対の方向へ引っ張り引きちぎる。

その瞬間、首からが大量に吹き出し、首から下はただの塊となり、だらりと崩れ落ちる。首を鷲摑みにした烈毅は、両手顔を覆い、風船でも割るかのように簡単に握り潰す。

「べーテル!! 貴様ぁぁあ!!!」

長らく共に戦ってきた友をあっさり殺され、ファンウはキュウを投げ捨て、怒り任せに烈毅に飛びかかる。

この戦いの中で最も早く、最も殺気を込め、最も力を込めた右拳を、烈毅の顔面に向けて振りかぶる。だが―

その作一連が、今の烈毅には止まって見えた。

ユニークスキル"憤怒"

このユニークスキルは、発條件が限られており、その條件とは『人村烈毅が、怒りで我を忘れた時のみ自』というものだ。

この効果は、五分間、烈毅の理を完全に喪失させ、防力を失う代わりに、自分の攻撃力と敏捷を二倍にするものだ。しかも、これは"負け知らずの最弱"に重ねがけすることが出來る。

つまり、今の烈毅は、"負け知らずの最弱"が発している上に、更に"憤怒"のユニークスキルを発しているという事になる。

烈毅は、ファンウの攻撃をあっさりと避け、ファンウがキュウを摑んでいた時と同じように摑み、同じ手の形をさせ、同じ様に腹にそれを突き刺す。

「貴様……クソ……」

ファンウからは力が抜け、だらんとしたり人形のようになる。腸が床に散らばり、烈毅はそれを無言で踏みにじる。

烈毅は、ファンウを投げ捨て、キュウの元へユタユタと手をぶら下げながら近寄って行く。

そして、もう目の前へと來た時だった。

キュウが突然宙に浮き出し、傷がみるみるうに修復されていく。それを、理の喪失した烈毅が見ても、何もわからなかった。

キュウは、傷が癒えてもそのまま宙に浮いており、數秒後、キュウのが突然に覆われ始める。

"負け知らずの最弱"の制限時間まで、殘り三分。

"憤怒"の制限時間まで、殘り三分。

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