《村人が世界最強だと嫌われるらしい》最善策 14

「うっ……うぅ、痛ったい……ここは?」

気づいた時には床で寢ており、見覚えのない場所に混する。そして、突然視界の端にってきた眩しいの方に顔を向ける。

すると、そこにはぼーっと突っ立ったままこうとしない烈毅と、謎のの球があった。

「烈毅……?」

起き上がろうとするも、酷くボロボロにやられてしまった為、立ち上がるだけで時間がかかってしまう。

「烈毅のアイテムボックスから盜んどいた回復アイテムを……」

ミーシュは、自分のポケットに隠しておいたビンを取り出し、ゆっくりと飲み干す。その瞬間、全に力が漲り、傷もすっかり塞がって文字通り完治する。

あれだけの激しいやられ方をしたにも関わらず、ビンが割れていなかったという所は、今のミーシュには考える余地もない。

「この格好……ちょっとエロすぎるかしら」

自分の格好を見てそう思ったミーシュは、服に修復魔法を掛け、一瞬の間に服が元通りになる。出も無くなり、恥ずかしくない格好になる。

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ミーシュは、烈毅の元へ歩いて近寄り、聲をかけようと肩に手をばす。すると、の球が膨張を始め、みるみるうちにそれは、直徑十メートルほどの球になる。

「な、何あれ……」

そして、そのが弾け、中から現れたのファイアほどの大きさの"狐"だった。そして、その姿を見てミーシュは察した。

九本の尾。見覚えのある並み。鋭くはあるが、優しいをした瞳。それが、キュウだと言うことを。

「キュウちゃん!? 烈毅、どうして……ちょっ!?」

ミーシュが慌てて聲を掛けようとすると、烈毅は変わり果てたキュウを見るや否や、見えない速さでキュウの顔面を毆りつけに行ってしまった。

ミーシュではそれは目には追えず、突然巻き起こった突風にただ耐えるのみで、前を見ることすらできない。

そして、一秒を立たないうちに、目の前で大きな音が鳴り響き、地面に大きな亀裂がる。

風が止み、そこを見ると烈毅がうつ伏せに倒れていた。

「烈毅!?」

何が起きてるのか全く分からないミーシュは、く事が出來なかった。

烈毅は、すぐに立ち上がり、再びキュウの元へ最接近する。激しい音が空中で鳴り響く中、消えたり現れたりする烈毅の速さと、考えなしに突っ込んで行っている烈毅の行に、疑問を持つ。

「烈毅、前よりも早くなってる……? だけど、あんな鉄砲玉みたいな突っ込み方してたっけ……?」

無駄に分析を開始するも、それが無意味だと悟り、ミーシュはその考えを捨てる。それよりも、どうしてキュウと烈毅が戦う事になったのかを考えなければならない。

「キュウゥゥゥゥ!!」

びを上げながら、烈毅の速すぎる攻撃に用に尾で応戦し、激しい戦いを繰り広げるキュウ。これが、あの小さくて可らしくて優しいキュウだとは、ミーシュには到底思えなかった。

「もう、何が何だか……」

すると―

「あら、ミーシュはん……やったか?」

「貴方は……ネキツさん!? どうしてここに?」

「突然嫌な気配をじてなぁ。瞬間移して來てみたら案の定えらい事になってたわぁ」

「しゅ、瞬間移……?」

「ウチの魔法でなぁ。キュウのおる所なら何処へでも行けるっちゅうすぐれものやぁ。今度教えたるわぁ」

「は、はぁ……って、そんな事は今は良くて、あれですよ!」

「わかってます。……全く、可哀想に」

「可哀想? どうして……」

「あれは九尾にしか使えへん特殊能力"獣化"。しかも、あれは無理矢理発させられてるなぁ」

「無理矢理ですか? どうやって……」

「一度殺されてるんやなぁ」

その言葉を聞いて、ミーシュの顔は青ざめる。それと同時に、その時気を失っていた自分に腹が立ち、苛立ちが募る。

ネキツは、ただ上を見上げ、キュウと烈毅の戦っている様子を眺めている。ミーシュも、ただそれを見守る。何事も起こらないようにと願いながら。

そして、その時は來る。

この無意味な戦いが始まってから三分くらいが経過した頃だった。突然、烈毅が纏っていたオーラが霧散し、きがピタっと空中で止まる。その瞬間を見逃さなかったキュウは、烈毅を激しく地面に叩きつける。

「烈毅!」

ミーシュは、烈毅の元へ一目散に走り、様子を確かめる。全だらけで、目を瞑っていた烈毅を抱きかかえ、大きく揺さぶりながら聲をかける。

「烈毅、烈毅ったら! 目を覚ましなさいよ!」

烈毅との戦いが終わった途端、キュウは方向転換し、口を大きく開き、魔力を貯めている。そして數秒後、その魔力は一直線にビームの様に放たれる。遙か彼方まで放たれた魔法は、大発を巻き起こし、町を破壊する。

「何で……!」

「今のキュウに理は無い。ウチらの事も分からへん狀態や。仕方あらへんなぁ」

ネキツも烈毅の元へ來て、そう言うと、地面に人一人がれるほどの小さな魔法陣が形される。

「ネキツさん?」

「あれを止められるのはウチだけ。なら、やるしかあらへんなぁ?」

おっとりとした喋り方をしてはいるが、瞳には強い意志を持っている。きっと、自分の娘がこれ以上暴れて、自分の町を破壊するのは見たくないはずだ。

「おおきに、ミーシュはん。そして、烈毅はん」

それだけを言い殘して、ネキツも同じく"獣化"を使用し、巨大な狐の姿となる。

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