《村人が世界最強だと嫌われるらしい》二難去ると、次は災難が起こります 12

「デルノゼ……ハッ、そいつは魔族よ! みんな気をつけて!」

デルノゼを知っていたルノが真っ先に聲を上げ、その聲の荒げぶりと、どこか恨みを持ったような表のルノを、皆は初めて見た。

そして、直ぐに武を構える。だが、ナーシェは武を持たず外に出て來てしまったため、素手で戦うしかなかった。

「まずい……聖剣があれば……」

また思ってしまった。烈毅の言ってることは確かだった。それを痛しながらも、今は仕方がないと割り切り、戦闘態勢を取る。

「ナーシェさん、私の武を使って!」

「え、いや、でもレーナが……」

「実際、私が剣を振るうよりも、ナーシェさんが剣を持って戦った方が絶対に良いわ!」

「…………わかった! 全力で守って上げるから、そこで大人しくしてなさいね!」

「おやおや……私は別に戦いに來たわけでは無いのですがねぇ……話を聞く気には鳴らないのですか?」

戦闘態勢を萬全に整えたナーシェ達は、その言葉をも聞く耳すらもたず、ただ殺気に満ち溢れた目をしてデルノゼを睨んでいる。

Advertisement

「やれやれ……これは最後の手段だったんですがね……仕方がありません。力盡くで行かせてもらいます!」

そう言い、狂笑を上げながらデルノゼは地面を蹴る。

最初に的を絞られたのはレーナ。武を持たず、レベルがこの中では一番低いと察したデルノゼは、一目散に駆け出した。

だが、それをナーシェがさせるわけでもなく、デルノゼの進路の前にり、鋭い一振を頭にお見舞する。が、その攻撃は腕で防がれ、デルノゼはバックステップをして距離を取る。

「流石わ勇者。今のスピードに追いつきますか……」

「べちゃくちゃ喋ってんじゃないわよ!」

すると、レーナの橫で構えていたミーシュは、余裕を見せるデルノゼに、魔法攻撃を放つ。その魔法が被弾する前に、デルノゼは間一髪の所で避ける。

「ほう……神聖魔法……貴方は賢者なのですか?」

「魔族とわす言葉なんてないわ!」

「いや、それ言葉わしちゃってるから……」

橫でレーナがツッコミをれるも、その聲はミーシュには屆かない。というより、ミーシュもミーシュで、初めて使った魔法があんなに上手く発するとも思わなかったのだ。

「魔族対策にと思って本を読んでたけど、まさかこんなにも早く実戦で使えるとは思わなかったわ」

「これは面倒臭い。非常に面倒臭い。ならば……來なさい! 新型変異種!」

「変異種! 気をつけてみんな! 変異種はとても……!?」

変異種の存在を知っていたルノは、聲を荒らげるも、突然何者かに背後から毆られ、地面に顔を埋める。

その衝撃で、皆はルノの方を向き、そのおぞましい姿の変異種を見て、絶句する。

「その新型はまだ試作段階なのですがね……とうとう五種類のモンスターの配合に功したのですよ!」

離れた場所から流暢に喋るデルノゼは、手を広げて再び狂笑を上げている。それが気に食わなかったナーシェは、全力で地面を蹴り、デルノゼに切りかかろうとする。だが、新型変異種がナーシェを超える速度で現れ、腹部に強烈な一撃を食らわせられる。

「ガバッ……!」

かなりの勢いで吹っ飛んだナーシェは、ミーシュの足元の地面にぶつかり、激しい音と共に、その場に半徑一メートル程のが出來る。

「―――――――――」

狂った様子を見せるその変異種は、ナーシェに攻撃を與えてからはかなくなる。

「おや、やはりまだ不合が多いですね……ですが、試作段階でここまでけば良いでしょう。本來の目的は、貴方達のうち誰かを攫って実験臺にしようと思いましたが、それもまた今度にしましょう。それでは、またどこかで」

「まちなさい!」

ミーシュが魔法を発させるも、その時にはもう既にその場からデルノゼは消え去っていた。新型変異種も居なくなっており、皆はただ一方的にやられただけに終わった。

ルノは気を失い、ナーシェはあまりのダメージに、その場に蹲っている。ミーシュ、レーナは、その悲慘な有様に、言葉も出なかった。

そして、レーナ、ミーシュはそれぞれ倒れていた者を背負い、拠點へと帰還する。すると、そこには先程までは無かった無數のが、口の向かいの巖盤に出來ていた。

「ちょっと、ファイア? 烈毅? あの向かいの巖盤にあった……ひぇ!?」

そこには、先程まで戦っていたはずのデルノゼが立っており、その向こうには、オーラを纏い、あからさまなまでに殺気を放出している烈毅がいた。ナーシェとルノは、その姿を見て、思わず聲を上げてしまった。

「おや、また會いましたね。し挨拶しようと思いましてね」

「デルノゼぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」

狂気。そう言われても可笑しくは無いほどの雄びを上げ、荒れ狂う烈毅は、ただただそうぶだけであった。

「これ以上いると不味い。今度こそ帰らせてもらいましょう」

そういい、影の中へと消えていったデルノゼ。その瞬間、烈毅はオーラを完全に解いたと思ったら、その場に崩れて泣き出した。

「ちょ、ちょっとファイア! これはどういう狀況なの!?」

『…………こればかりは何も言えん。お前らは先に部屋で寢ていろ』

「はぁ? こっちだってさっきの奴に襲われてたのよ!? 教えてくれたって……」

『いいから部屋へ戻っていろ!』

そう怒鳴られ、訳もわからず怒られたと思ったミーシュは、し足音を荒らげながら部屋へと戻っていった。そして、部屋へる直前、ミーシュは確かに聞いた。

「俺は……俺は魔族もこの世界も神も何もかもをぶち殺す。必ずだ」

    人が読んでいる<村人が世界最強だと嫌われるらしい>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください