次の日。

「ねぇナーシェ、烈毅知らない？」

「いいや、知らないけど……部屋にいないの？」

「それがいなかったの。私が朝ご飯を屆けようと思って部屋に行ったんだけど、ノックしても返事が無くて。それで勝手に開けて中を見たら烈毅はいなかったの」

「さぁ、私は見てないわ。ミーシュとかファイアとかなら知ってるかもしれないわ」

「そう、ありがと！」

ルノは、駆け足にミーシュやレーナ、ファイアへと尋ねてみたものの、一人として烈毅の事を見たものはいなかった。

「どこいったの……烈毅」

冷めきった朝食を機へ起き、各自特訓へと行くのであった。

同時刻、烈毅は―

「お前らのはれられなかったけど、せめてもの償いだ。これで許してくれとは言わない。ただ、安らかに眠ってしい」

そこには、巖を削って作られた墓石に、烈毅の友人のそれぞれの名前を掘ったが置いてあった。烈毅は、それぞれの墓の前で手を合わせ、心の中で謝と謝罪をする。

墓參りが終わり、烈毅はゆっくりと立ち上がると、足早にその場から立ち去り、ある目的地へ向けて行くのだった。

時間はお晝時、ナーシェ達は―

「ルノ、結局烈毅は見つけられたの？」

「それがいなかったのよね〜。もうそこら中走り回ったのに気配すらじなかったわ」

「きっと気分転換に行ってるんだわ。々あったし、今はそっとしといてあげましょ」

「そうね。あっ、でも外に変ながあったのよ」

「変な？」

「そう！　巖で作られたってのはわかるんだけどね、見た事もない形で見たことも無い字が書かれていたの！」

「何それ、変なの」

「多分烈毅が作ったんだと思うんだけど、あれはどういう意味なんだろ？」

「そんなの、烈毅が戻ってきたら聞けばわかるわよ〜。さ、特訓に戻りましょうか！」

「そうね！」

皆が特訓へ戻る中、ファイア一人はじっと座っていた。

「ファイア〜、ぼーっとしてないで、とっとと始めるわよ〜？」

『ああ。先に行っててくれ』

「は〜い」

ナーシェは、頭の後ろに手を組んで歩いて行く。そんな中、ファイアが考えるのは烈毅の事だった。

『烈毅、お前のその行はさらに事態を悪化させることになるんだぞ……』

同時刻、烈毅は―

「なぁ、ちょっと聞きたいことがあるんだがいいかい？」

「なんだい？　見たじ冒険者だが、なにか質問でもあるのかい？」

「ここ最近で死刑された人がいたろ？　彼らは今も見れるのかい？」

男達は、顔を見合わせ大聲で笑い出す。

「ああ見れるとも！　最も、魔族側にくっつこうなんざ考えた者の死なんて笑い者にしかならねぇがなぁ！」

「そうかい……ありがとう」

「いいって事よ！」

フードを被り、如何にも下級の冒険者を裝った格好をし、報収集をしつつ彼らの死をこの目に焼き付けようといた烈毅は、人混みの中を掻き分けて行く。

メルクリアでは、々な報がりじっていた。先程の様に、魔族に絡んだことでの死刑や、反逆者に加擔したせいでの死刑、過去に重罪を犯した罪での死刑など、理由は様々だった。

他にも、いい報は多く手にった。いつかは未定だが、ここ數週間以に、人村烈毅一行の一斉捜索が行われること。全國に検問が置かれる事。冒険者育協會の設立など、様々だ。

それならこちらも対策を立てればいいだけの話だが、まずは特訓第一に考え、その他はまた後だ。烈毅は、ある程度の報が手にれた後、目的の場所へと向かった。

目的地手前になり、足取りが重くなる。顔をあげられない。このまま何も見ず、引き返したくなる。だが、それを彼らは許さないだろう。烈毅は、一度深呼吸をし、顔を上げ、歩き出す。

目的地に近くなるにつれ、人が多くなる。それと共に、嗅ぎなれた匂いが鼻に微かにってくる。

「すいません、通してください……すいません」

そして、柵がられた一番前まで來た烈毅は、その目の前の彼らを見て、息が詰まる。

首から下は地面に転がり、そして首は木製の機の上に置かれている。上にはハエが飛びい、が首から下のを突いている。

もう喋る事のないその首。目が開くことはない首。それなのに、烈毅は目が合っている気がし、何かを訴えられているような気がすると同時に、何か託されているような気がした。

「お前らに會えた事を、俺は今でも昨日の事のように鮮明に覚えている。お前らの仇は絶対に取る。だけど、お前らはきっとこう言う。『それは、お前のするべき行じゃない』って。だけど……だけど俺は、お前らをこうした奴らを許さない。だから、今だけは許してくれ」

目の前にいるハエやに、烈毅は強烈な殺気を放つ。その殺気に當てられたハエは落ち、は泡を吹いて気絶する。

烈毅は、フードを深く被り直し、を翻して第二の目的地へと向かう。

この行を、ナーシェ達が許さないのは分かっている。だから言わなかった。なら何故やるのか、やらなければ良いだけではないか。そんな事は百も承知。だが、今・の・烈・毅・に・は・、抑えられるような事では無いのだ。

烈毅は、に付けていた裝備を捨て、著々と準備を進めていくのであった。