《村人が世界最強だと嫌われるらしい》崩壊 6

「何故貴方がここに……!」

王の姿をみたシデルとライは跪き頭を下げる。クルルは、驚きのあまり冷や汗を垂らし、自然に拳に力がる。

「そんな事は今は良い。それよりクルル、何故その者の仲間になりたいと申した? 理由を述べよ」

「それは……」

「言えないのか? このベルム=ヘキレウスの命令が聞けないと申すのか?」

ベルム=ヘキレウス、ベルム國の王。腰まで屆きそうな長い白髪、皺の多い顔、屈強な戦士のような目、びて纏まった白く染まった顎髭。年老いた風貌の中に、どこか若々しい力をじる。ヘキレウスが著る全を覆う白いローブは、ベルム國の紋章が描かれている。

「私は……私は、この人村烈毅なる人が悪い者とは思えませんし、それに我々と同じ人間です。悪事も働いていない彼らを殺すことなど出來ません」

「ちょっ、クルルお前っ!」

「よい、シデル」

「はっ!」

「……クルル、お前は何故その者が善人だと申す? 其奴がこの國に何かしたか?」

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「この國の者でない私が、烈毅がこの國にした事は分かりません。ですが、なくとも町を破壊したり、人間を殺したりする様な事はしておりません」

「愚かな……其奴は多大な迷を掛けておるではないか。それも世界的な規模で」

「そのような事は……!」

「無いなどと口を抜かすな? 人村烈毅という人は、この世界を危険に脅かし、國民に多大なる恐怖を與えているではないか」

「そ、それは……」

「分かるだろ? あの日、其奴が振りまいた濃な殺気によって國民が恐怖した事を」

「それだけの事で……」

「それだけの事で十分なのだよ、奴を殺すには。この國、世界に、絶対的な恐怖という存在が居てはならないのだ」

クルルは何も言えなくなり、下を俯く。その隣で聞いていた烈毅は、腕を組み、ただ話を聞いている。

「それでは困るのだよ。恐怖に怯える國民など見たくはない。それに、彼らは毎度毎度言ってくるのたまよ。『この國から魔王の子供を排除しろ!』と。知っておろう? 勇者である其方なら」

「……はい」

「その為にこうして敵國とも和解し、手を組み合っている。そうでなければ倒せないからだよ、その人を。人村烈毅という人を」

「その通りでございます國王!」

「私もそう思います!」

「ですが……それでも私は……!」

「口説い。いい加減理解しろ、クルル。貴様は我が國の勇者だ。我の命令に従い続ければ良いのだ。指名を忘れたのか? 勇者としての指名を」

「私は……」

「なぁ、ちょっといいか?」

これまで橫で聞くだけだった烈毅が、突然手を挙げて會話へする。

「あんた、さっきから國民がどうのこうの言ってたけどさ、そんな事微塵も思っちゃいないだろ?」

「何を言うかね? 吾輩は國民をし、國民を信用している」

「口ではなんとでも言える。だが、俺を殺したいのは別に理由があるからじゃないのか?」

「別の理由などありはしない。我は國民の願いを聞いているだけだ」

「國民が言っている、というのを理由にしていてるだけなんじゃないのか?」

「人村烈毅! 貴様、王になんて事を!」

「よい、お前は何も言わなくていい」

「ですが……」

「下がっておれ。それで、人村烈毅。その拠は何処にある? 吾輩がいつそのような事を申した?」

「だって、あんた此処にってきた時からずーっと殺気を隠してるよな? だけど隠しきれてないぞ? 殺したくて殺したくて堪らないって面してるぜ?」

それを言った途端、王は何も答えなくなり、次には高らかに笑い始めた。突然笑い始めた王を前に、三人は微塵もかなくなり、ただ王を見つめるだけだった。

「やはり、貴様にはバレバレだったか……流石は特異點だ」

「特異點?」

「貴様は我々の計畫の邪魔になる。今ここで殺す!」

先程までの口調は跡形もなくなり、王族の裝をぎ捨て、腰に攜えた二本の剣を裝備する。

「お、王……? 何を……」

「この時をどれ程待ちんだか……貴様を殺せる日が來るとはなぁ!」

ヘキレウスの風貌がみるみるに若返っていき、細かった腕には筋か付き、長い白髪は短髪の黒髪になり、そして皺が消えて付きの良い顔へと変貌する。その姿に、その場の全員が呆気に取られ、けないでいた。

「お前は一……何者なんだ?」

「貴様に教えることなど一つもない。ただ痛みと苦しみを味あわせてやる事だけだ!」

次の瞬間、ヘキレウスは瞬間移の様な速さで烈毅との差を詰め、二本の剣で切りかかる。それに反応が遅れた烈毅は、咄嗟の判斷で"負け知らずの最弱"を発し、剣をけ止める。

「な、何が!?」

突然目前から消えた王の姿に、シデルとライは驚愕の表をし、クルルは下を向いたままピクリともかない。

烈毅は、剣をけ止めた勢からヘキレウスの橫腹に蹴りをれようとするが、それをヘキレウスは足で防がれる。烈毅が、そのまま押し切ろうと蹴りに力をれるが、微塵もかないヘキレウスは、フッと笑う。その次の瞬間、魔法陣が目の前に現れる。

「なっ、魔法!?」

距離は目と鼻の先程しか無く必中の距離。ユニークスキルがあるとは言え、それが唯の魔法かどうかがわからない今、烈毅は迂闊にその魔法を喰らえない。

そして、烈毅は一か八かの賭けに出て、その魔法を顔面から食らう。

その風に巻き込まれまいと、ヘキレウスは魔法を放った瞬間に再び瞬間移並のスピードで元の位置に戻る。

「そんなものでは無いだろ、人村烈毅」

烈毅の顔面からは黒い煙が出ている。そして、呆気に取られたシデルとライは口を開いたままかない。クルルは、顔を上げ、烈毅の狀態に息を呑む。

「ああ、こんなもんじゃない…………」

烈毅は、煙を払い、首を二回左右に傾け骨を鳴らしたら、口角を上げ笑みを浮かべる。

「楽しくなってきたなぁぁあ!」

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