《村人が世界最強だと嫌われるらしい》 4

食事の席に付き、出てくる料理の一つ一つが新鮮で、味わい深いものばかりで、皆話題の事を一瞬だけ忘れかけていた。だが、それも烈毅から出された言葉によって引き戻される。

「さて、シェルド。早速本題なんだが、お前はエルフを知っているか?」

楽しそうに食事をしていたシェルドの手は、エルフという種族名を聞いた途端に止まる。それは、ネキツも同じだった。

「なぜ、エルフを知っている?」

「知ってるのは俺だけだ。他の奴らは全く知らない」

「……まぁ知っているという事は特に問題じゃない。問題なのは、何故エルフに興味があるのかだ」

「簡単に説明すると、さっきもネキツさんが言った通り、俺は半分どころか八割方理を失っている。それを治せるかもしれない薬をエルフが持っていると聞いた。だからエルフの國へ行きたい」

「うむ……そういうことか……」

「協力してくれるか?」

「…………無理だ」

その答えに、楽しそうに食事をしていた皆の手が止まり、顔をシェルドの方へ向け、疑問の眼差しを向ける。

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「……何故?」

「エルフは……エルフはな、先日にとある二人の男達に襲われ、壊滅狀態らしい」

「なっ……!?」

その話に、一同は騒然とし、それと同時に希を半分失いかけた。

「何故襲われたのかは分かっているのか?」

「それが全く分からない。突然その知らせをけた。だけど、正直まだ信じられない」

「それなら、それを確かめるって名目も付けて行くっていうのは……」

「無理や、烈毅はん」

そこで、橫でずっと聞いていたネキツが斷言する。

「なんでダメなんだ?」

「理由は二つ。一つ目は、その正もわからへん奴らがまだ潛伏してるかもしれへんから。二つ目は、エルフの國へ行く前に死ぬ確率が非常に高いから」

「死ぬ確率が非常に高い? それはどうして?」

「エルフの國へ行くには、必ず渡らなければならない渓谷があるんよ。渓谷自はさほど気にせんでもええ。ただな……」

「ただ、なんです?」

「彼処に潛む奴らが厄介や」

「厄介?」

「そこからは俺が話そう」

そこで、シェルドが突然話に割り込んでくる。と言っても、ネキツはその話をしようとした途端、急に顔が悪くなり、話せそうな狀態では無くなってしまったからだ。

「あそこには、亡霊が潛んでいてな……必ず渡らなければならない橋があるんだが、そこを渡ろうとすると必ず現れるんだ」

「亡霊?」

「そうだ。しかも、唯の亡霊では無い。魔法や理攻撃をしてくるかなり強力な亡霊だ」

「ふーん……別に、俺たちなら落とされても問題はないと思うけど?」

「問題ない、か……そう甘く見れる程、容易いものでは無い」

シェルドは、何かを思い出すかのように空を見上げ、一度目を瞑り、深呼吸をしてから再び話し出す。

「その渓谷の名は道連れの渓谷。落ちたら最後、底の無い谷に永遠と落ち、そしてそこは魔界に繋がり食われる。それがその渓谷の恐ろしい所だ」

「魔界に繋がる? 永遠に落ちる? 全く理解ができない……本當にそんなのあるのか?」

「ある。俺達はこの目で見ている。落ちていった者の悲鳴がずっと聞こえ、突然聞こえなくなったと思ったら目の前に亡霊として現れた」

それを言った途端、シェルドもネキツと同じく顔を悪くし、水を一杯飲み込み、さらにもう一杯水を飲み干し、し顔が回復すると、烈毅の方を向き、質問を投げかける。

「この話し方じゃ、なんの問題もないと思うのは仕方ない。ただ、そこを渡らなければエルフの國へは行けない。それでも行くか?」

正直、烈毅はそのシェルド達の様子を見て行くのを躊躇った。

過去にかなり酷い事があったのだろうと察しは付くが、それがどれ程のものなのかを烈毅は知らない。もしかしたら、自分の大事な人達が落ちるかもしれない。それを考えた時、烈毅は鳥が止まらなかった。

「その亡霊を倒すことは可能なのか?」

その烈毅の問いに、シェルドは首を橫に振る。

「奴らにれることは出來ない。さらに、魔法も當たらない。そして奴らの戦闘能力は馬鹿げたように高い。烈毅でも苦戦すると思うぞ」

「苦戦するだけであって、通り抜けれる事は通り抜けれるんだな? 俺なら」

「無理だ。お前には仲間もいるだろ? 彼達を疑う訳では無いが、正直俺より弱いものばかりだろ? この俺でも通り抜けるのが無理だったんだから無理だ」

「いやいや、だから、俺・一・人・な・ら・通・り・抜・け・る・な・ら・問・題・無・い・って」

「何を言っている! 死にたいのか!?」

そこで、聞き分けのない烈毅に痺れを切らしたシェルドが機を叩き、立ち上がる。

「シェルド、落ち著きぃや。烈毅はん、何か考えがあるんやろ?」

そこで、顔が先ほどよりも良くなったネキツがシェルドを抑制し、烈毅の方を向く。

「ある。これなら確実に行ける。あとは行ってみないとわからない」

「ふふ、ホンマにおもろいなぁ……なぁ烈毅はん。もしその気があるんなら、ウチのキュウと結婚せぇへんか?」

「へ?」

「「「「「は!?!?」」」」」

『おぉ、これはこれは……』

「烈毅、モテモテだな」

「俺のキュウは渡さんぞ!?」

「シェルドは黙ってて」

「はい……」

「どうや、烈毅はん?」

「うぅ…………」

キュウは、驚きのあまりかなくなり、他の者達も同じく直狀態に陥った。

「考える時間を……」

そう言って、烈毅はその場から逃げ出した。

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