《村人が世界最強だと嫌われるらしい》越えなければならない壁が大きくて 3

『君はさ、自分が付いていて仲間を傷つけられるのが嫌なんだよ。あの九尾の子の時もそうだ。自分が守れると思っていた。だけど出來なかった。それで怒り、こうなった。わかるよね?』

「それは……」

烈毅は、何も言い返せなかった。正直な所、神の言っていることは図星だ。烈毅は、仲間思いな所は良いが、全て自分で守らないと、即ち守りきれると思っていた。

絶対に守りきれるという慢心が烈毅のどこかにある。それをまず斷ち切らなければならない。それに、いついかなる時も、烈毅達は狙われている。そんな毎回傷つけられただけで怒っていたのでは、見てはいられない。

『優しいのは否定しないし、むしろばすべき長所だ。だが、優しいからキレて我を失うなんてのは阿呆のする事だ』

「わかってる。でもそれはゼウスとやらが書き換えたからであって……」

『違う。それは言い訳に過ぎない。では何故、それを知っていて我を失った? スキルは把握出來ていたはずだ。それはきっと、どこか大丈夫だろうと思った君の過ちだ』

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全てを見かされていた。全員にそれが知られなかったのは烈毅が、表に出さなかったから。どこか信用してなかったから。

『だから、君には苦渋の選択を迫られた時に、味方を殺せるか殺せないのか、そしてその行を起こして耐えられるようになるまで、ここからは返さない』

「…………味方は選べるのか?」

『選ばせる訳が無いだろう。相手はルノ君だ。君が最も大事にしてる子であり、一番長く付き合っている子でもある。そんな彼を、君は殺れるかね?』

「くっ……」

烈毅は、拳をギュッと握り、目を瞑って考える。

いち早く彼達の元へ帰らなければならない。だが、バッドステータスを直し、尚且つ刻印を刻んでもらい、ステータスの改善をしなければならない。だが、そこまでの道のりに立つ巨大な壁を、烈毅は目の當たりにして止まっている。

『この試練は、正直君にとっては最も辛いものになるだろう。だがそうしないと世界は救えない。君は、世界が神や魔族に侵食され、腐った仲間の死を見たいかね?』

「見たくない」

『ならば、簡単だ。乗り越えろ、その壁を』

烈毅は一度深呼吸をし、自分の頬を二回軽く叩いてから、目を見開いて意志を決める。

「……わかった。やろう、そして乗り越える」

『うん。その意気だ』

「俺はやるぞ、何度も」

『やめたくなっても私は辭めさせないよ? どんどん次に行かせるから!』

「邪神め」

『いいジョークだ。さて、早速一回目だ!』

神が指を鳴らすと、烈毅の視界は見覚えのある町の風景になり、周りには何人もの村人が右往左往している。聲が聞こえ、匂いが鼻をつつき、風がでる。

「ここは……あの時の……」

「烈毅! こんな所にいたんだ!」

自分を呼ぶ聲が後ろから聞こえ、その聞き覚えのある懐かしくじる聲に、後ろを振り向くと、そこにはルノが手を後ろに組んで立っていた。

「どうしたの、そんな顔して? 眠いの?」

前屈みになって下から覗き込んでくるルノは、とても甘い香りがする。ダボッとした服の元から見える綺麗な膨らみに、小さくて可い顔。全てがルノそのものだ。

「どうしたんだ、ルノ?」

「え? いや、烈毅がご飯に行こうって言ったから……」

「そう、だったか……そうだっけな」

「しっかりしてよねー! ほら行こ!」

元気な笑顔を見せ、烈毅の手を引っ張って町を進むルノの背中姿を見て、烈毅は安堵した。それと同時に、目的を半分忘れかけていた。

店にると、そこの雰囲気はとても良く、こんな店もあったなと烈毅は思い出に浸る。ルノは、メニュー表を見て、「何にしようかな〜?」などと子供みたいな表で言っている。

「なんだよ、神のハッタリか……」

「ん? 何か言った?」

「いいや、何も。ほら、さっさと頼むぞー」

「えー! まだ決めてない!」

「ったく、早くしろよなー」

「わかってるって」

烈毅が、完全にその場の雰囲気と時間に目的を忘れさせられ、ルノといるこの時間を楽しもうと思った次の瞬間、烈毅の目の前は歪み始める。

「なんだ!?」

突然の事態に烈毅は立ち上がるが、何も見えない、何もじない、分かるのは自分がそこにいる事だけだ。

そして數秒後、辺りは一変して火の海の中に烈毅は立っており、よく見てみるとそこは今さっきまでいた町だった。そして、その空にはこの火の海を作った元兇が腕を組み、攻撃を続けていた。

「おいやめろ! 何してんだテメェ!」

烈毅は地面を蹴り、空で人を焼いて楽しむその人に接近し、蹴り落とそうとしたその直後、振り向いたその人の顔を見て、烈毅は蹴ることを躊躇い、逆に攻撃を貰い地面に叩き落とされる。

「なんで……どうして……」

「烈毅、ごめんね……でも、こうでもしないとみんな殺されちゃう」

「みんなって……何を言って……あぁ、そういうことか」

そこで、烈毅は目的を思い出した。これは現実では無く夢だ。だが、ただの夢ではない。自分の意思でき、解決しなければならない。

「烈毅も……死んで」

空に飛ぶそのよく知っては、烈毅に向かって超巨大な火の玉を放つ。烈毅は、くことすら出來ずその攻撃を食らって丸焦げになり、神の前で意識が戻る。

『ほらほら、二回目だよ』

「中々きちぃな、これ」

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