《ひねくれ魔師が天才魔法使いよりも強い件について》第11話 降

打撃による痺れがじわじわと塡のを蝕んでいく。

刀を杖のようにして立ち上がる塡に容赦なく敵が襲いかかる。

?「大人しく寢てろよ。」

腹部に襲いかかる拳をギリギリで避け、カウンターに移ろうとするが、左側から襲いかかる拳が頭に直撃してしまう。

塡「・・・まず」

?「終わりだ。」

このままラッシュによってリタイアしてしまう未來が見えたが、予想は大きく外れて、橫からの攻撃により敵は後進を強いられた。

舞「塡!」

塡「來んな。邪魔だ。」

頭に拳をけたせいもあり、思ったように立てない塡はふらつきながらも、敵を見據える。

舞「ボロボロの癖に何言ってんの。」

ため息をつきながら駆け寄ってくるを振り払うことすら出來ない塡は、けなくじながらも、次の行を考える。

塡「・・・・・・二人でやるぞ。」

舞「最初からそうすればいいのに。」

塡「うるせぇ。」

の回復魔法によって痺れが引いたことを確認した塡は、再度刀を構え直し、目を合わせずに言葉を投げかける。

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塡「俺が正面から戦う。お前は裏を取れ。」

?「聞こえてるぞ。」

塡「・・・それとあいつの報を知りたい。」

舞「あんた同級生のことも覚えてないの?」

呆れたようにする舞は自と塡に強化の魔法をかけながら、敵となる年の報を淡々と告げる。

舞「同萬時徳、學年順位は常に上位の優等生よ。」

塡「同萬時徳・・・」

徳「さてと」

回復をしている間にいつの間にか両手持ちの槌を持っている徳は、ゆっくりと腰を落とし、加速の準備を取る。

塡「任せたぞ。」

舞「うん。」

対抗するために自も腰を落とすが、塡が踏み込むよりも先に徳が地面から足を話していた。

塡「舞!避けろ!」

ボォォンという音と共に砂煙が視界を覆う。

周りの狀況が分からないため、一秒でも早く砂煙を抜けたいところだが、迂闊にいて徳の槌が頭に直撃すれば、今度こそリタイアすることになる。

塡(どうする。舞は無事なのか?)

考えて見れば分かる事だったのだが、周りが見えないとしても武を振り回せば直撃しないとしても、當たる可能は大いにある。

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塡や舞がそれをしないのは、もし仲間に當たってしまえば面倒なことになるからだ。

だが、一人で行している徳にその心配はない。

つまり、視界に見える槌はもう既に加速しきっている狀態である、そのため當たれば

塡(・・・!)

即リタイア。

だが、そう簡単に當たることも無く、ギリギリでかわした塡は槌の方向から徳の居場所を特定する。

塡(一時の方向。気付かれていないなら有利にける。今しかない。)

刀を構え直し、地面とスレスレの狀態から踏み込んだ塡は、視界に頼らずに、覚だけで突っ込んで行く。

塡(見えた瞬間に振る。)

だが、これはあくまで戦い。

魔法を使わないというルールはない、つまり、砂煙が一瞬で晴らされ、強風により減速した塡のに槌が叩きつけられるのはありえないことでは無い。

塡「ッ・・・!」

徳「もう一発。」

を回転させアッパーカットの要領で槌を振るうことで、塡のは空中に投げ出される。

塡「ッ・・・!」

徳「痺れでけないだろ。終わりだよ。魔師。」

舞「忘れてない?私がいること。」

橫からの炎は塡と徳の境界線を作り、塡への追撃を阻む。

徳「お前から潰してやる。」

容赦なく襲いかかる槌は舞を一発でリタイアさせるために加速し続ける、が舞のに到達しても舞が吹き飛んだり、リタイアになったりはせずに、まるで優しくキャッチされたかのようにピタリと止まった。

徳「・・・!」

舞「遅いよ。」

吸収した衝撃を手のひらから放出し、舞の筋力からは想像できない威力の掌底が繰り出され、徳のはくの字に曲がり痺れがじわじわと進行していく。

痺れをじつつもを無理矢理かした塡は、その數秒の隙を見逃さずに徳を背中から蹴りつける。

先程飛ばされたせいで刀がどこかに行ってしまったため、一撃で屠ることは出來ないのだが、ラッシュに持ち込むことが出來れば充分に勝機はある。

それは雙方わかっているためだろう、自分のを巻き込む形で風を発生させることで、塡諸共近付けさせない。

著地などにより結局痺れは蓄積していくのだが、ラッシュにより無抵抗でリタイアなんて事にはならない。

徳「・・・魔法使いは厄介だな。」

思ったより時間がかかっていることに々の焦りをじている塡は、決著を早める為恥を忍んで舞に言葉を投げる。

塡「舞、時間稼ぎ頼む。」

舞「・・・!」

驚いた顔をしたがすぐさま頷くことで返事をし、覚えている魔法を全活用して時間稼ぎを始める。

舞「時間稼ぎって所が塡らしいけど。」

出現した魔法陣の効果だろうか、徳と舞を囲む形で地面から壁が現れる。

半徑二十メートルもないであろう囲いの意味は足止めなどではない。

舞「私でも出來るって見せてあげる。」

その決意の表れがこの囲いである。

もちろん、舞は決して弱い訳では無い。

むしろ、魔點の量や使える魔法の數に加え、知っている魔法の數や瞬時的な判斷力は年相応とはいかず、天才と呼ばれる訳が分かるのだが、如何せん塡や満と言った

自分が戦えばいいと思っている人間と一緒にいるためか、戦闘に関しての自信が薄れて來ているのである。

舞「・・・」

徳「・・・」

魔法使いの戦法は中距離からの魔法連が基本であり、近距離で敵と遭遇したならば即刻の退避行を取るのが一般的だ。

つまり、自分から近距離に持ち込むのはひねくれ者か塡のような魔師に限るという訳だが、舞はそのどちらでもない。

では何故囲んでしまったのか、それは舞ゆえの行だったのだろう。

舞(私の・・・武。)

それは、超人的な魔法作能力。

簡単に言えば大規模範囲の魔法を一點集中で発出來たり、超な魔法狙撃が出來たりと、特筆した作力からこの戦場を作り出したのだろう。

舞(私なら、自分を巻き込む形じゃなくても大規模範囲の高威力魔法をこの狹い場所で使える。)

もちろん、徳はそんなことを知らない上に先程から近接メインで戦っている徳を見た後に、狹い戦場に引きずり込むという行為を馬鹿にしているのだが、特攻してこない理由は罠の可能を疑っているのだろう。

決してそんなことはないのだが、その數十秒は舞が戦闘の準備を終えるには十分な時間だった。

魔法の詠唱を終えた舞は一瞬で六重の魔法陣を出現させ、ひとつの魔法を発させる。

舞「『大規模範囲氷結魔法ニヴルヘイム』」

魔法陣が回転を始め、描かれた文字が次々と発していく。

中心の円から吹き出た空気は周囲の溫度を下げ、空気中の水分を氷結させていく。

最後の魔法陣が発し、全ての水滴が氷へと変わる。

囲いの上部分から強風が吹き、更なる水蒸気を運んでくる。

運ばれた水蒸気はまた氷化し・・・といったようなサイクルを繰り返す事で、舞が立つ地面以外が一瞬で凍りついてしまう。

徳「・・・!それは上級魔法だろ!なんでお前が!」

舞「見て覚えた。」

あっけらかんとした舞の態度に驚きが隠せないのは魔法使いなら誰でもそうだろう、何せ上級魔法という格付けがしてある以上、中學生が簡単に取得できるほどの魔法ではないということである。

徳「もうちょっとマシな噓を付けよ。背びがバレバレだぞ。」

信じられないのも當然なのかもしれない。

その一例に徳は信じることが出來ずに、下位魔法を強化して発したと思っているのである。

結果として徳は拘束されているため時間稼ぎとしての仕事は充分にしているわけだが、生憎と舞の格は負けず嫌いな為トドメの一撃を準備する。

念の為防式を突き破るほどの威力まで底上げした魔法を一瞬で発させる。

舞「『一點集中高威力魔法・雷ライトニング・ブレイク』」

眩く発した瞬間、音が鳴り響き一本の雷が徳を貫いた。

周囲溫度が急激に上昇し、白いモヤにより視界が埋め盡くされる。

舞「・・・やっぱり塡要らなかったじゃん。」

囲いはどんどんと崩れていき、砂煙が戦いの終了を知らせる。

パタリと座り込んだ力が戻るまでのしの間だけと目をつぶり大地に寢っ転がってしまった。

何が起こっているか知ることも無く。

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