《ひねくれ魔師が天才魔法使いよりも強い件について》第64話 練習

生い茂る木々の中で1つ、風よりも速く移する影があった。

影はいきなり木の後ろに飛び込み向こう側を覗き込む。

塡(見つけた、承だけか・・・いや、罠の可能もある、今は見逃すか・・・)

1分もせずにまた影は風よりも速く移を始める。

塡(舞と合流しねぇとな・・・『盜賊スキル・千里眼』)

千里眼とは盜賊スキルの中でも序盤の段階で會得出來るスキルである。

一時的だが跳躍的に視力を上げ、遠くのが鮮明に見えるようになるスキルだ。

だだし、視界が狹くなるという欠點があるので基本的に安定した場所から索敵などに使うだが、塡が移中に使えるのは奇跡に近いものだろう。

だが、それも長くは続かず、突如橫からの衝撃で塡は木に叩きつけられる。

塡「ぐはっ!・・・満か」

辺りには誰も居ないが塡はそう確信していた。

100m離れた森にて

満「當たったかな」

満は弓を撃った後の様な構えをしながら目を細め遠くを見ていた。

満「さて、移するか」

と口を開いた瞬間

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ヒュンッ!

その音の後に満の頬には切り傷と目の前の木にはナイフが刺さっていた。

とっさに後ろを振り向き、剣を構えるがそこには誰も居なかった。

満「いるんだろ?出て來いよ」

3秒後、返事の代わりに無言のナイフが降り注ぐ。

満「くっ!」

満は剣士スキルの『盾シールド』を頭上に発し、ナイフを防ぐが幾つかれたナイフにが傷つけられる。

し下がるが、すかさずナイフが撃ち込まれる。

満「フン!」

満はを捻りナイフを避けるが、やはりまたナイフが撃ち込まれを傷つけられる。

満「クソっ!何処に居やがんだ!」

?「ここよ!」

聲が聞こえた方を見ると満の予想を上回る事実が飛び込んできた。

満「ま、舞?!」

舞「塡と思った?殘ねーん私でした〜」

一瞬の間が空いた後、同時に2人がく。

満は一気に舞との距離を詰め、剣を振りかざすが、すかさず舞はを捻り避ける。

一気に後ろに跳躍し、弓を放つが軽く満に弾かれる。

更に満は距離を詰めるが自分のにも関わらず何故か舞との距離を離す。

そして、その答えはすぐに現れた。

満「・・・塡。」

塡「あーあ、バレちまったか」

満「さっき『風の矢ウィンド・アロー』が當たった時に俺の魔點を付けておいた。この範囲になれば分かるさ」

塡「そうか」

舞「よそみして大丈夫?」

その言葉に警戒し満は剣を構えるが何も起こらなかった。

満「噓かブラフか」

塡「いいや、本當だ」

瞬間、四方八方からナイフと矢が満を目掛けて撃ち込まれる。

とっさに上に跳ぶ満だが、ナイフと矢は急な方向転換で満に追い付き満に傷を付ける。

満「グッ!」

だが、何故か満の口角はし上がっていた。

満「『剣士の反撃カウンターペイン』!」

と言う聲と同時に満は剣を振ると塡と舞の中に傷跡が出來た後、2人のに痛みが走る。

塡「グッ・・・グハァ!」

舞「あぁぁぁぁぁ!!!」

悶絶する塡に対して悲鳴をあげる舞の姿は戦意喪失をだった。

満「悪いな、俺はあんまり・・・優しくないんだよ」

と言いながら2人に近付き、舞に向かって剣を振り上げる。

塡「そうかよ」

突然、何もない場所から聲が聞こえたと思ったら數秒後に満の右腕に痛みが走る。

満は大きく後ろに跳び、あたりを見渡すが塡と舞は先ほどの場所でまだうずくまってんでいた。

満(・・・この空間の中では痛みはじない。『剣士の反撃カウンターペイン』でのあの反応は気にとめなかったが、あの右腕の痛み・・・)

満「なるほどな、幻か」

塡「・・・よくわかったな」

満「俺だってそこまで馬鹿じゃねぇよ」

塡「いや、馬鹿だろ」

と言葉が発せられた瞬間に満の四肢にナイフが撃ち込まれる。

すぐに『盾シールド』を展開するが背後からもナイフが撃ち込まれ満の肩にナイフが刺さる。

満「クッ!・・・『式破りマジックブレイク』!」

しかし変化はなく、ただ無言のナイフが撃ち込まれるだけだった。

塡「お前、式の原理分かってやってんのか?」

満「幻じゃねぇのか?」

塡「それは原理じゃなくて種類だ」

満「じゃあ知らん 」

塡「そうか・・・やっぱり馬鹿じゃねぇか」

言葉と同時に『ヒュンっ!』と音がした。

そして、塵は風に飛ばされた。

ただし、それは満ではなく、満の腕が塵と化しただった。

その原因は直後に現れた。

満「承!」

現れた承の手には手品師マジシャンの杖ステッキが満を守る様な形で握られていた。

承「・・・『式破りマジックブレイク』!」

言葉が響いた後に鳶とびの形をしたが飛び回り、何も無い場所から塡と舞の姿が現れた。

塡「まずい!」

承「『手品師マジシャンスキル・テレポート』!」

舞「『型崩しスキルブレイク』!」

スキル発エフェクトが起きたが舞から発せられた青いが承のを飲み込み、2人はその場に留まったままだった。

塡「『波砲ウェーブキャノン』!」

満「『盾シールド』!」

塡から放たれた波を剣士スキルの盾シールドで防ぐが『パリッ!』という音が聞こえた後に、盾シールドが激しくり4人の視界を明るく染める。

が止んだ時にはその場に4人の姿は無かった。

200m離れた森にて

塡「はぁ・・・はぁ・・・何とか逃げ切れたな。」

舞「まぁ思いっきり木にぶつかったけどね。逃げ切れただけ良かったよ」

塡「だな」

舞「・・・で、どうするの?」

塡「まぁ、策がねぇわけじゃないけどな」

舞「何かあるの?」

塡「・・・俺が何で満にバレたか分かるか?」

舞「満が『風の矢ウィンド・アロー』で満の魔點を付けておいて、近くに來た時に知出來るから、だよね?」

塡「そうだ」

舞「で、それが何?」

塡「あいつが思いつく事を俺が思い付かないと思ったか?」

舞「まさか・・・」

塡「あいつに撃ち込んだ何本かのナイフに俺の魔點を付けておいた、だからあいつの位置がわかる。しかも、盜賊スキルと組み合わせれば逃げ場はねぇよ。」

と、塡がを張って説明しているのを舞は「おー!!」と子供の様に見る姿は戦いと言う威圧を消しされる程の雰囲気だった。

だが、それもつかの間ので先程までを張って説明していた塡がいきなり腰を低く落とし「來るぞ、構えろ」と舞に呟く。

一瞬揺した舞もすぐに理解したようで下に置いてある弓矢を拾い、弓を構える。

塡「舞、1回下がれ。」

舞「え?」

塡「いいから・・・聞け」

舞「う、うん」

構えていた弓を戻し、塡に背中を向け森を駆け抜ける舞を視界の端に捉える塡の口角は上がっていた。

塡「さて、勝利の方程式を解くとするか。」

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