《ひねくれ魔師が天才魔法使いよりも強い件について》第66話 殘

森を駆ける影はふと5分前の事を思い出していた。

5分前

塡「いいか、この作戦は自分の実力がモロに出る作戦になる。舞の実力があれば簡単に満を倒せる。」

舞「・・・でも」

塡「不安なのは分かるけどお前が要かなめだ、やらないはないぞ。」

舞「わかっ・・・た」

塡「・・・大丈夫、俺がいつでもバックアップはする。それに・・・今は練習だ本番で失敗しないためのな。今全力でやれ、失敗したらそれを直せばいい。分かったな?」

舞「・・・うん!」

塡「よしじゃあ作戦のおさらいするぞ。」

周辺の落ち葉を手で払い、丁度いい長さの木の枝を拾い何かを描き始める。

塡「いいか、今の俺らの位置をこことして満の位置はここらへんで承の位置はここらへんだ。」

舞「うんうん」

塡「距離は約600m、承に距離は関係ないけど満には大有りだ。『手品師マジシャン』のスキルにはそんなに詳しくは無いけど多分目に見える範囲なら『テレポート』出來るんじゃねぇかなって考えてる。」

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舞「うんうん」

塡「て事は承の視界を潰して、満と合流させなければ俺らの勝ちだ。」

舞「はいはーい、質問!」

塡「なんだ?」

舞「何で合流させちゃダメなの?」

塡「あいつらの戦略的には満が攻めて承が援護、ある程度ダメージを與えるかけるかすれば瞬時に『テレポート』で逃げて回復って言う戦略だから合流させなければ個々の戦力は俺らで充分相手出來るから合流させない方がいい。」

舞「でもその2人の戦略だったらいつか魔點が切れるんじゃ・・・」

塡「確かに魔點は切れるだろうな、だがそれまで耐え切れる自はあるか?向こうは『共有リンク』で位置報や魔點、力と神狀態が全て共有される。位置報何かは本人以外なら見方も分かんねぇもんな。」

舞「それなら満の位置は分かるんじゃないの?」

塡「位置が分かった所で結局は視界にはっていない、だったら『テレポート』のしようがねぇよ」

舞「そっか」

塡「・・・続けていいか?」

舞「あ、うん」

塡「とりあえず、承の視界を潰す係は俺、満を潰す係は舞がやれ。」

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舞「・・・」

塡「不安か?」

舞「・・・うん。」

塡「確かに不安なのは分かる。俺も承のトリッキーな技を抜けて視界を潰せる自信は無い。」

舞「・・・」

塡「でも俺は不安じゃない、自信は無いがお前がいるから不安じゃない。」

舞「・・・」

塡「それに、別に失敗しても誰も責めはしねぇよ。失敗する為の練習だろ?」

舞「でも・・・」

塡「自分で責めてしまうって?」

舞「・・・」

塡「・・・いいか、舞。自分で自分を責める理由はそこに自信があるからだ。これは俺の意見だが失敗して落ち込む奴は自信を持っていたから。まぁたまに居るどうせ僕には出來ないって言ってる奴が失敗してさらに沈んでるのはそこに希があったから。要するに自なんか捨てろだがやる気は捨てるな、やる気まで捨てたらそいつは敗者になっちまう。」

舞「・・・」

塡「・・・だからまぁ・・・気楽にやれ。気張る必要も無いし頑張る必要も無い。ただただ全力でやりゃいい。分かったか?」

舞「・・・・・・」

塡「・・・じゃ、行くぞ」

舞「分かった。」

塡「この紙に満のおおよその位置がリアルタイムで記される。後はまぁ頑張りたかったら頑張れ。」

舞「・・・うん!」

塡「じゃあ作戦開始!」

そして現在に至る

舞(・・・塡があそこまで言ってくれた。失敗しても良いって言ってくれた。敗者になるなって言ってくれた。頑張れって言ってくれた。だから・・・だから・・・満に勝つ!)

そして約200m後方の森にて

塡「・・・やっぱり染ってるな。」

承「何が?」

塡「・・・てめぇには関係ない」

承「何でそんなに冷たいの?」

塡「お前・・・大會がくだらないって言ってたな?」

承「もちろん、賞金なんかに釣られて擬似でも人を殺すなんて・・・反吐が出る!」

塡「・・・怖いんだろ?擬似でも人を殺すのが。」

承「・・・っ!」

塡「ゴブリン騒の時、お前らは出部隊の一つにっていた。目的は『狩人ハンター』本部への報告。だが田中と舞がいなくなった所で隊長の指示に従い帰還。その際、道を塞いだゴブリンは全て蹴散らしたと聞いた。その後ちょっと気になる事があってゴブリンを調べてたんだ。すると、意外な事が分かった。お前らが通った道にいたゴブリンは全て命に別狀はない傷を負っていたよ。」

承「それがなんだっていうのよ!」

塡「満と秋にも聞いたぞ。」

承「なにを!」

塡「お前がゴブリンを殺さないように速攻で行って拘束してたって。」

承「黙れ!」

それは疑問と言うよりも威圧と言った方が簡単に理解出來た聲だった。

だが、その威圧は々空気を張詰める位の効果で相手を怯ませる程ではなかった。

それでも、この空気のなか通常なら口を開こうとした奴は居ないだろう。

なんせ今口を開けば心臓を一撃で撃ち抜かれるのだから。

たが、そんなの気にも止めずに塡は口を開き承の逆鱗にれる。

塡「・・・『延長スターチング』」

承「・・・!」

塡「対象のを延長、つまり引きばす魔法。そして、この魔法の最大の特徴と言えば」

承「やめろ!」

塡「『自己的式オリジナルマジック』だって所だ。」

承「やめろ!」

塡「何で隠してたんだ?」

承「・・・」

塡「何で噓をついたんだ?」

承「黙れ」

塡「避けられると思ったからか?」

承「黙れ」

塡「誰も寄り付かないと思ったからか?」

承「黙れ!」

空気が張り詰める。

先程まで威圧だったがどんどん殺気へと墮ちていく。

それでも年は口を開く。

塡「・・・3年前」

承「・・・!」

塡「小學六年生の頃、ある事件があった。」

承「や・・・めろ」

塡「と言っても魔警側は飽くまでこれは魔法が暴走した事故として片付けた。」

承「もう・・・やめて」

塡「被害者は1人の男の子・・・『骨骨 骸こつぼね むくろ』。」

承「やめてよ」

塡「死に方は心臓の中心を何かで撃ち抜かれ死亡。」

承「やめ」

塡「魔警も原因は分からずとりあえず魔法の暴走と片付けこの事件の幕を閉じた。だが、事件は終わってなかった。犯人を見ていたあるの子が犯人を名指しでしかも、全校で黙禱を捧げていた時に泣きながら宣言した。【私、犯人見ました。つ、つ、承ちゃんが骨骨君が死んだ時に魔法発してた。】ってな。」

承「・・・」

塡「信憑が低い為、魔警はその証言はただの勘違いと片付けた。で、どうなんだ?実際殺したのか?」

承「・・・事故なのよ、魔警が片付けた通り魔法の暴走。なのに私は1年間の間屈辱の日々を送った。私が悪い訳じゃないのに私はただ魔法を見せてって言われたから発したら暴走してそれで・・・」

塡「殺した・・・か」

承「違う!殺そうとして殺したんじゃない!それに発しろって言ったのはあのであいつも発してた!なのに!なのに私は1年間、1年間いじめが行われてお母さんに言っても自業自得としか言われない。・・・1年間!みんなに無視されて、殺されかけて・・・うぅ!」

トラウマ。

承は小學六年生の頃を思い出しうずくまって口を押さえていた。

そしてそこへめでは無い言葉を投げ掛ける年が口を開く。

塡「・・・6年間」

承「・・・?」

塡「俺は6年間の間なにもして無いのにいじめにあっていた。理由は魔師だから。そんな理由で俺の小學校生活は地獄へと化した。なんでなんだ?俺はただ産まれてきただけなのになんでいじめられなきゃいけない。だがそんな俺にも心の支えがいた。隣の家の子高生だった。面倒見がよくていつも泣いて帰って來る俺をめてくれた。」

承「あんたには心の支えがあるだけいいほうよあたしには・・・」

塡「だが」

承「・・・!」

塡「その支えがある日ぽっきり折れた。小學二年生の頃だ。理由は魔人からのプロポーズ。しかも家側がそんな機會二度と無いと無理矢理結婚させた。そして俺はその日から魔人になる事を誓った。魔人になってその人を救い出すと誓った。それが俺の6年間だ。」

承「だからなによ。確かにあんたの方が苦しかったかもしれない!でもそれがなによ!俺の方が苦しかったからそんなくだらない過去なんか捨てろって言いたいの?!」

塡「そうだ」

承「・・・」

塡「過去なんか捨てろ、持っていていいのは過去から出た願いと野とやる気だけだ。」

承「・・・」

塡「・・・お前の苦しさなんか知らねぇよ。お前が1年間苦しい日々を過ごしたとしても確実にそこに支えがあった。無ければならなかった。」

承「そんなもの無かった・・・あるわけ」

塡「ほんとに?ほんとに無かったのか?」 

承「・・・・・・満。」

塡「・・・ほら居たじゃねぇか。最悪の日々を裏から支えてくれた人が。」

承「うぐっぐす・・・うわぁぁぁぁん。」

森に泣き聲が響き渡る。

そして殘年はまた更に、を勇気づける為に口を開く。

塡「かかってこい、その支えてくれた人の為に俺と戦え。今からその恩を返せ。」

承「・・・・・・・・・・・・言われなくても今から潰してあげる!」

そうして殘年と悲劇のの戦いが始まる。

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