《ひねくれ魔師が天才魔法使いよりも強い件について》第69話 敗北

対面する

絡み合う作戦は相手の首に蛇のように巻き付いていく。

先に締めた方の勝ちのこの勝負で4人のはそれぞれ思う事がありながらも相手に向かって武を構えこうぶ。

4人の「絶対、勝つ!」

大會本番では無いが、確かに4人には大會以上にこの勝負で思いをぶつけていた。

1人は更に1歩踏み出すため。

1人は過去を完全に乗り切るため。

1人は自分を超えるため。

1人は己おのが目的の為に仲間を強くするため。

似たようで違う思いは飽くまでも仲間に、飽くまでも人に、飽くまでも親友にぶつける。

そこに意味がある。

その時4人の目は見開かれ、3人は前へ踏み出していた。

満「まず、舞を倒す!」

承「りょーかい!」

塡「お手並み拝見といくかな。」

真っ直ぐ突き進む2人を見つめ、塡は式を組み立てる。

塡としては詠唱や印、魔法陣、魔道等は細かい作を行う補助であり、必要ではない。

そして、満の程圏に塡がった瞬間、満と承は完全に石にり果てた。

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塡「・・・こんな所か」

舞「・・・・・・・・・『小さな王バジリスク』?」

し離れた所から石化の原因への疑問が飛んで來た。

塡は心しているのか澄ましているのか分からないような顔で口を開く。

塡「惜しいな。」

舞「じゃあ『同一の王コカトリス』。」

塡「そうだ。」

舞「魔法陣は無しでやったんだよね?」

塡「まぁな。」

舞「にしても綺麗すぎる気がする。」

塡「?・・・あぁなるほどな。もっと近くで解析してみろ。」

言葉通りに舞は石化した2人に近づいて行き解析の様なものを始める。

傍から見ればただジロジロ見ているだけだがれっきとした解析である(多分)。

塡「・・・なぁちょっと聞いていいか?」

舞「なに?」

塡「お前、いつから式の解析なんて出來たんだ?」

舞「え?」

塡「お前は式の解析を簡単にやってたからそれが當たり前だと"認識"していたけど、そんな簡単に出來るもんじゃないだろ。」

舞「そんな事無いよ。」

塡「そんな事ある。並大抵の人間じゃ無理だ。」

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舞「いや、でも、ほら、うちの學校一応天才校だからさ、他にもいると思うよ?」

そう、舞の言う通り塡達の通っている中學校は、創立4年にして天才ばかりを集めている天才校である。

この國の學校には大きく分けて3種類の學校がある。

1つ、通常の道徳力や社會、最低限の知識や魔法を小學校で教え、中學校、高等學校で専門的な知識を教える。

2つ、魔法使いを育する學校。小學校での試試験があり、主に筆記、実技の2つの試験で行われる。

3つ、小學校からと中學校の推薦で進學する學校。基本は魔法學校だが、極小數の學校は魔法以外の知識を教える學校もある。

そしてそのどれでもない學校。

それが塡達の通っている學校である。

それは、學校長の一方的な推薦。

小學校からの推薦は要らず中學校の校長だけが推薦する學校。

それが塡達の通っている學校である。

だからこそ、創立4年にして、創立50年の學校を公式な大會で破る事が出來たのである。

つまり、舞その他諸々は學校長である、『長波蝶波おさなみちょうは』からの推薦をけて學しているのである。

だから一応、塡と話している『藤原舞ふじわらまい』も天才という事になる。

塡(・・・にしても、式の解析から魔力作マナコントロールまで、もはや化けだな。)

舞「今度は私が質問していい?」

塡「・・・なんだ?」

舞「この式、どういう原理なの?」

塡「どこからが聞きたいんだ?」

舞「『同一の王コカトリス』だから石化したのは分かるんだけど、どういうを"誓約"なの?」

誓約とは、魔を使う上で知っておかなければならない事。

まず、魔には2つの種類がある。

式・魔法

の様な手順で魔法を再現するもの。

誓約の中で魔法とは全く別の力をるもの。

塡「そして、今回俺が使ったのは」

舞「魔式でしょ?」

塡「そう。」

舞「でも、なんで、二人とも石化させることが出來たの?」

塡「いいか?今回使った式は、主に『小さな王バジリスク』の石化條件を使ったものだ。バジリスクとコカトリスは同一視されてる事が多い。それに、ほとんどの魔法使いは神話や逸話は知らないだろうからな。」

舞「なんで?解析出來たら簡単に解除出來るのに?」

塡「基本、魔法使いは魔を危険視していない。こいつら2人も飽くまで"俺"に注意はしていたけど、俺が使う"式"には意識を向けていない。々『波』にだけ意識を向けていたぐらいだ。」

舞「それで?」

塡「魔法使いも知っている有名な話。ゲームや漫畫、小説やアニメなどに出てくる事はあるだろうバジリスク。そして、その設定のほとんどが"バジリスクの目を見ると石になる"というものが多い。」

舞「ふんふん。」

塡「この式は飽くまで『同一の王コカトリス』であり、『小さな王バジリスク』ではない。満の認識の中にあるコカトリスの定義の中には"コカトリス?バジリスクと似たようなものか?"ってものがあった。」

舞「そこまでは分かるんだけど、なんで2人一緒に石化出來たの?」

塡「お前の今の姿、なんだと思う?」

舞「塡。」

塡「そう。姿や聲が瓜二つならただ並んでおけばどっちがどっちか分からなくなる。が、今回は前後に分かれた。あの2人からしたら『弓士アーチャー』の舞が後衛に行くのは當たり前、そこで認識は途切れた。と、本人は思っていた。が、頭の奧で絶対に思う事がある。"奧に居るのは、もしかしたら塡なのでは?"ということ。」

舞「なるほど。」

塡「つまり、満も承も俺ら2人を一瞬だけ、"塡"と認識する。後は定義の問題だ。」

舞「・・・目を見ると石化する、という定義から『塡の目を見ると石化する』という認識に変えて、満と承の2人が私と塡の目を見ることで『塡と目を合わせた』っていう思い込みになるってこと?」

塡「まぁそんなじだ。」

?「つまり簡単に言うと、2人になった塡と目を合わせたから石化した、というものか?」

塡「・・・・・・!下がれ!」

長い説明のせいで塡には見逃していた事があった。

石との間に僅かな隙間があったこと。

自分の癖で何かと式を略式にしていたこと。

そして、舞と同じ様にこの2人も天才だと言うこと。

塡(・・・!まずいっ!)

満「俺から一言アドバイスをくれてやる。説明は30文字以に収めること、だ!」

塡「それじゃ説明出來ねぇだろうが!」

舞「そこじゃなぁぁい!」

承「ほんと、馬鹿みたい。」

世間的に言う、しょうもない會話を繰り広げながら、4人は著々と相手の首に何本もの刃を突き付けていく。

満は自由なを取り戻すと瞬時に全ジョブのスキルである、『武常備』を発させ満の長ぐらいまである、両手剣を取り出し、両手剣の側面を塡に叩き付ける。

を取る準備を始めようとするも塡の予想は外れ、空中へ投げ出される。

塡「・・・!」

満「もういっちょぉぉ!!」

投げ出された塡に向かって飛んでいきもう一度、両手剣を振り下ろす。

舞「『矢の雨アローレイン』!」

承「させない!」

弓から放たれた1本の矢は空中で分裂し、32本の矢に増え満へ飛來する。

しかし、矢が満へ到達する前に炎が矢を薙ぎ払う。

舞(『発宣言スタートスペル』無しでの発・・・。これが塡が苦戦する理由。)

塡「舞!」

舞(はっ!承に気を取られた!すぐに塡の援護を・・・)

考えると同時に舞は弓を構えるが、すぐに聞こえて來る聲にかき消され、頭が真っ白になった。

塡「引け!」

舞(・・・へ?)

意味が分からないの領域じゃなかった。

考えると言う行為を全面的に否定された。

だから、すぐに行に移れなかった。

承「『権限発・魔法強制裂・獄炎・ヘルブラスト』!」

隙を付かれた、避けることも、破壊する事も出來なかった。

最後に一矢報いてやろうと思ったが、思うだけで終わり。

舞は負けた。

塡(元から援護なんて求めるもんじゃねぇな。)

塡「『波』」

満「『斬撃』」

先程の出來事を反省しながら攻撃に移るが、満のスキルによって掻き消される。

塡(遠距離攻撃が通じないなら、近づくだけだ)

塡「『波流加速・全速力フルスピード』」

満「『斬撃』」

鉄の剣つるぎから発せられるは全速力で突っ込んでくる塡の肩に傷を付ける。

さらに、をひねって回転させもう一度斬りかかるが塡の超至近距離での『全速力フルスピード』と『鎌鼬かまいたち』により一度なくなった筈の右腕を吹き飛ばす。

満「承!」

承「分かってる!」

その呼応が聞こえたと同時だ。

隙があるとは思えなかった。

なのにだ。

俺のは真っ二つにされ、俺の意識は薄れていった。

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