《これが純粋種である人間の力………ってこんなの僕のぞんでないよぉ(泣》年と王子様の心得

自分の部屋にカバンを置いて著替えた僕は、食堂に來ていた。

そこにはすでにミラとミナがおり、僕がいつも座る場所の両隣に座っていた。

「遅いですよ? にいさま」

「遅いですよ? あにさま」

「「レディを持たせるのは王子様失格ですよ?」」

ふたりはそういうと、小首をかしげて見つめてくる。

「あ、あぁ……それは悪かった。でも、この場合はミラとミナが早すぎるんじゃないか……?」

これでもカバンを置いて著替えてで數分しかかけていない。

それよりも早い二人の方が早いと言えるだろう。

「いいえ、にいさま?」

「いいえ、あにさま?」

「にいさまを待たせるなんて、ミラには考えられませんもの」

「あにさまを待たせるなんて、ミナには考えられませんもの」

そういうと二人は微笑む。

「そ、そうか。……ってそれじゃあ僕は、二人より早く來れないことになるじゃないか!?」

そうである。

僕を待たせることが考えられないということは、僕より早く來るということであり、僕に自分たちより早く來ることを要求するのは矛盾している。

「いいえ、にいさま?」

「いいえ、あにさま?」

「ミラは心構えのことを言っているのです」

「ミナは心構えのことを言っているのです」

「……王子としては待たせるのが當たり前だと思いますが」

「王子様としたら待たせないのが良いと思いますの……」

そう言うと二人は頬を赤くした。

「なるほど……ね。確かにの子から見た王子様だったら、待たせてはいけないのかもしれないね……」

僕は二人の言葉に納得を覚えた。

コンコン

「夕食は出來ているでしょうか……? あら? ミラ様、ミナ様、ラン様まで……。ミレイヌはおじゃましてしまいましたでしょうか?」

僕がうんうん唸っていると、ミレイヌさんが食堂にってきた。

このミレイヌさんは、エルフである。

同じ寮生なのだが、年上である。

60才らしいのだが……エルフは心が育つのが遅いため、人間の年齢に換算すると、同い年の6才になるらしい。

ただ、は大人なので……たまに無防備過ぎて困ることがある。

「あ、ミレイヌさんこんばんは。大丈夫ですよ? 一緒に食事をしましょう」

僕はミレイヌさんを席にうながす。

「ミレイヌさん、こんばんは」

「ミレイヌさん、こんばんは」

僕の挨拶に続けて二人が挨拶する。

「良かったです。ミレイヌは安心しました」

ホッとした様子のミレイヌさんは、僕の向かいの席に座った。

「今日の夕飯はカランが用意してくれたそうです」

「そうなのですか? では、期待できますね」

「えぇ、楽しみです。……そろそろかな?」

「失禮します。お食事をお持ちいたしました……」

ちょうどタイミングが良かったようで、カランが食事を持ってきた。

さすがカランで、ミレイヌさんの分も用意できているようだ。

「本日の料理は鳥のソテーとスープスパゲティです。お飲みは紅茶になります……。どうぞお召し上がりください……」

テキパキと料理をテーブルに並べ、メニューの説明をしてくれるカラン。

すべてが終わると待機するように僕の後ろに立った。

「それじゃ、いただこうか? いただきます」

「「「いただきます」」」

僕たちは料理を食べ始めた。

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