《【銃】の暗殺者》道中

「ふわあぁぁああ」

俺は大きくあくびをした。アイシスを出てから丸一日が経った。俺はまだ馬車で揺られている。アイシスから次の街までは馬車で5日、それまで野営の時以外はずっと馬車で揺られている。

「ジョンさん、暇ですかな」

「ああ、ティグさん。すいませんね」

「いえいえ、お暇でしたら次の街のことを紹介でもしましょうかな」

「是非お願いします」

そう言ってティグさんは次の街について説明してくれた。

次の街は水の都イース。街の中を無數の水路が走り街の中の移に小舟を使うことが多いそうだ。街の周囲に川が多いのでその水を引っ張って來ているのだそうだ。

そのおかげで川魚が富で海岸沿い以外で唯一新鮮な魚介類を食べられるのだそうだ。魚か、、、川魚ならそのまま塩焼きが一番うまいな。

それにしても水の都ねぇ。俺はそこでは仕事はしたくねぇな、火薬が気っちまう。その街とは相が悪いだろう。サッサと通り過ぎたいね。

ティグさんの説明も終えてまた暇な時間を過ごすことになる。暇を持て余し過ぎて持ち合わせのリプの実でジャグリングの練習でもすることにした。將來宴會蕓をやるつもりはないが暇つぶしなので役に立つかどうかなどどうでもいい。

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こちらの世界に來て自然の中で生きてきたせいかがよくくし運神経や反神経もよくなった気がする。ジャグリングも簡単にできるようになった。

パチパチパチパチ

「お?」

ジャグリングをしていると向かいの席から拍手が聞こえた。母娘の娘の方、10歳にもなってないような娘が目をキラキラさせて拍手をしていた。

「おやおやこれはどうも、そうだ、1つ食べるかい?」

拍手の禮にとジャグリングをしていたリプの実を1つ差し出す。の子は嬉しそうな顔で手をばしかけたが慌てて手を引っ込めてリプの実と母親の顔を互に見ていた。

「リン、ちゃんとお禮を言うんですよ」

「うんっ、お兄ちゃんありがとう」

「どういたしまして。貴もお1つどうぞ」

お母さんの方にも1つ差し出す。

「え?でもそんな」

「まだありますからお構いなく」

「そ、それでしたらありがとうございます」

申し訳なさそうにお母さんの方もけ取った。俺は殘った1つに齧り付きの子にニヤッと笑ってやる。そうすると嬉しそうにの子もリプの実に噛り付いた。

そうこうして仲を深めながら道中を進む。

アイシスを出て4日目、明日の晝にはイースに著くというところで俺はずっと気になっていたことを聞くことにした。

「ティグさん、ずっと気になっていたんですがティグさんの部下の腕にある黒いのは何ですか?」

ティグさんの部下の半數くらいに何か黒い刺青みたいな線がぐるっと腕を一周するようにあるのだ。両腕の二の腕と手首の計四箇所だ。

「アレは奴隷紋です。ご存知ありませんか?」

奴隷、、、流石異世界。奴隷がいるのか。

「いえ、すいません。知りません」

「まぁ、アイシスには奴隷がおりませんからな。あそこは魔の森と接する最前線、奴隷にかけてる金があれば強くなれという風ですし、何より辺境伯が大の奴隷嫌いであられる」

「なるほど。、、、すいません奴隷について聞いてもいいですか?」

「ええ、もちろん」

ティグさんから説明を聞く。次の街について聞いた時もそうだが商人というのは多くのことを知っている。この世界のことを知るのには々聞いておくのがいい。

奴隷についてだが奴隷は3種類いる。

1つ目が契約奴隷。

これは奴隷と言うほどではなく、要するに職に困った人が自分を売り込むのだ。普通の従業員よりは多給料は安くなるが職に困っているのでそれでも有り難いのだそうだ。普通の従業員よりも優れている點は殆どの要求に否がないことらしい。因みに酷い扱いはけないそうだ。アルバイトといったじの扱いだ。

2つ目が借金奴隷。

これは借金をしたが返済できなくなった人がなるものだ。契約奴隷よりも待遇は悪く強制的に働かせられる。契約の際に時間あたりで給料が決められ、どんな過酷な仕事でもその給料が渡される。その渡された給料も全額借金の返済に充てられ、食事は與えられる僅かなものだけ。その生活が借金返済完了まで続く。

3つ目が犯罪奴隷。

犯罪を犯したものがなる奴隷で何をやってもいい。生殺與奪権すら主人が握る。解放されることは殆どない。唯一首にも奴隷紋がある奴隷で一度なれば死ぬまで奴隷だ。誰も何も言わないが犯罪者ではないものもいる。例えば亡國の王族だったりかなりの訳ありだったり。

奴隷にはそれぞれ契約奴隷なら契約奴隷の犯罪奴隷なら犯罪奴隷の契約を強制的に守らせる隷屬魔法というのがかけられている。それ故に奴隷が主人を傷つけるということはないのだそうだ。

本當の意味で奴隷らしい奴隷は犯罪奴隷だけということだ。

そうして一行は水の都に辿り著くまでな最後の夜を迎えた。この5日間でコンソメの偉大さを學んだ。毎回スープを作るのだが基本的に塩スープだ。旨味の凝されたコンソメが懐かしく思う。再現してみようかとも思ったがそもそもこんそめが何でできているのかも知らないので諦めるしかなかった。

こうして思い返すと魔の森から出た當初はまともな飯だけでも泣けてきたのに今では味に文句をつけられるようになっている。どうやら味覚が戻ってきたようだ。

同乗者の母娘とは明日お別れだ。母親がアイシスの生まれでイースの旦那のところに嫁いだのだが実家の親が病だということで見舞いに行ってきたらしい。死ぬほどの病ではなかったそうでホッとしていた。

夜が明けて最後の一踏ん張りと力をれて馬車に乗り込む。もう馬車の揺れによるケツの痛みには慣れてしまった。まぁ、痛いのは當然である。道は舗裝されていないし、馬車にはサスペンションもないし、座る部分も木製でクッションもない。ケツを痛めつけたいとしか思えない三段構えである。

最初はかなり痛かったが目の前のの子がなんともないような顔をしているので意地を張ったのだ。くだらない意地だとすぐに気づいたがなんかやめたら負けのような気がしたのだ。

ケツの痛みと格闘しながらついに水の都イースにたどり著いたのだった。

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