《【銃】の暗殺者》奴隷市場

「シェリー、今日は奴隷市場に行くぞ」

家の建設を注文した翌日、特にやることもないのでダラダラと2人で晝まで眠った後、晝食を食べながら俺はそう言った。

奴隷市場は水の都でもあったが王都にもある。というか大きな街には大抵ある。食っていくに困った人が自分から奴隷になって首で繋がれる代わりに食事を恵んでもらおうとしたり、生活に困って娘を売ったり、逆に自分を売って家族に金を渡したりする人達が毎年一定數いる。借金奴隷や犯罪奴隷と違って契約奴隷はそれほど悪い扱いはされないからだ。

ともあれ奴隷市場に行くと告げたらシェリーはパッと顔を上げて大泣きしながら飛びついてきた。

「ごめんなさい、お父さん。シェリーはワガママ言いません。ご飯もいりません。いっぱいいっぱい殺します。だから捨てないで。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。捨てないで。捨てないで。捨てないで。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

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飛びついてきたシェリーは俺の足に泣きながらすがりつく。グリグリと顔を足にり付けて足を舐めんばかりの勢いだ。

「ん〜、よしよし。大丈夫だぞ、シェリー。お前を売ったりしないから。落ち著け落ち著け」

俺は頭をでながらシェリーをなだめる。シェリーは自分が用済みになったから捨てられると思ったのだろう。

「、、、、本當?」

「ああ、勿論だ。奴隷市場に行くのは新しい奴隷を買うためだ。今度家を買うが俺もシェリーも家事が出來ないだろう?いつまでも外食だと食費も嵩むしな」

「、、、うん」

シェリーは納得したのかべそをかきながら晝食を再開した。

そんな一幕はあったが午後、俺たちは奴隷市場に向かった。奴隷市場は西區の歓楽街近くだ。

奴隷を売っている區畫はどの街でも構造は変わらない。大通りに近いところに契約奴隷、奧に行くにつれて借金奴隷、犯罪奴隷となっていく。

奴隷を売る區畫はかなり盛況だ。もしかしたら街の中で1番賑わっているかもしれない。というのも契約奴隷達が買ってもらえるように自分を大聲で売り込むからだ。

契約奴隷は自分を売って金銭を得ることが目的である場合が多いので出來るだけ高く買われたい。高く買われれば支払った金額分無駄にしたくはないので丁重に扱われることが多いのだ。

もう一つ、契約奴隷にも売り込み期限がある。それは各奴隷商人によって違うが期限に売れなければ二束三文で買い叩かれて過酷な鉱山などの労働奴隷になるのだ。

「契約奴隷はないな」

「うん」

俺達は契約奴隷の呼び込みの中を奧に向かって進んでいく。

契約奴隷は奴隷というよりも従業員を雇うという方が近い。多強制力はあるが行をあまり縛ることができない。つまり俺達のようなを抱えている人間には向かない。

借金奴隷も俺達の狀況を考えるにあっていない。借金奴隷の扱いはほぼと一緒だ。だから行の全てを縛ることができる。しかし契約時に決める賃金率で借金分の働きを行なった場合、奴隷から解放されるのだ。奴隷の期間はを厳守させても、借金返済が終わったら行を何一つ縛ることができない。

「となると俺達が買えるのは犯罪奴隷なんだよなぁ」

犯罪奴隷は一生解放されることはないのでを厳守できる。生殺與奪権すら握っていると言えるだろう。

「問題は質が悪いことなんだよなぁ」

「うん。犯罪奴隷は良くないよ、お父さん」

そう、犯罪奴隷はその名の通り犯罪を犯したものがなるのだ。犯罪を犯す奴は大抵が人生からドロップアウトした奴だ。生まれが悪かったという理由もあるかもしれないが一度盜賊にを費やした奴が使えるかといえばそうでもないだろう。

「でもお父さん、時々いいのがいるよ?」

「ん〜、そういう奴は訳ありが多いんだよなぁ」

犯罪奴隷でも使える人材がいることもある。だけどそういう奴は訳ありだ。例えば敗戦國の元王族とかどこかの部族の長の娘とか。

「奴隷になる前のいざこざに巻き込まれるのは困るよな」

「うん。困る。殺せばいいけど、殺したら面倒になる人もいるもん」

「それな。貴族とかが死ぬと騎士団がくからなぁ」

俺達が宰相を暗殺した件でもまだ騎士団が調査している。依頼主が國王だったこともあって普通よりはきが鈍いようだがそれでも國の中樞の人間が王都の中で殺されて調査がなければ逆に問題だ。

「いいのいなかったな」

「うん。難しいね」

夕方までじっくり見て回ったがこれといっていい奴はいなかった。奴隷商人達も俺もシェリーも見た目が子供なので聲をかけてくることはなかった。

「これは闇市に探しに行くしかないかな〜」

「闇市はどこでやってるかわかんないよ?それに紹介がないと行けないんだよね、お父さん」

「まぁ、紹介は闇ギルドに言えば問題ないだろう」

闇市っていうのは表では売れない奴隷や品を売っているところだ。盜品だったりが多い。そこで売られる奴隷は一律犯罪奴隷だが犯罪を犯したわけではなく、人攫いにあって強制的に奴隷にされた人達が売られることになる。

「あそこで買うなら慎重に選ばないとダメなんだよな」

「うん。人攫いにあった人だと仲間が助けに來ることがあるって聞いたよ」

「ふぅ、今日はもう買えるか。別に急がなければいけないわけじゃないしな」

「うん!」

家ができるまでの2週間で見つかるといいけど

そんなことを思いながら帰路に著いた。

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