《神々に育てられた人の子は最強です》たちの思い

そしてそのシルエットから現れたのは六人の男だった。

「主様ー、どうして俺たちを使ってくれないんだー」

「そ、そうですよ、私たちもいるんですから」

「凍篭華だけ使うなんて嫉妬しちゃうよー」

「わたくしたちもお願いします〜」

「主殿、ちゃんと我らをお使い下さい。じゃないと暇で暇でしょうがない」

六人中五人が喋り、一人のは首を縦に振っている。恐らく、も彼らと同じ意見という意味だろう。

が大きいマッチョな男から喋り、ハクとルナよりは大きいがい黒と白の姿の雙子の男人のお姉さん系の、生意気だが雪のように白いの子、そして無言で首を振るの子。

ハクとルナとネルはもう寢ている。つか、さっき眠りにつこうとしていたのにもう寢るなんて、寢つき良さ過ぎだろこいつら。ネルは別のベットで、ハクとルナは俺に抱きつきながら寢ている。

「あの、貴方達が誰だか知らないけど、もう夜遅いしみんなも寢てるんで靜かにしてもらっていいですか?」

「む、そうか。では明朝にまた」

そうマッチョ男が言うと、六人全員が細かなの粒子となって消え、その粒子は古の王國アトランティスに吸い込まれていった。

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「何だったんだろ。ま、いっか。明日は早起きしてここ最近修行してなかったし、久しぶりにやろうか」

そう思い、俺はルナのもふもふの耳と尾をりながら眠りについたのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆

日が昇り始めている時、俺は目を覚ましたので、くっついているハクとルナを離し外に出た。

まずは修行の前にストレッチ。怪我をしないために大切なことだ。

久しぶりの世界樹ユグドラシルの木刀を持ち、上段の構えから振り下ろす。木刀が通った道は三日月の形になり、高速で振り下ろされたため風の鋭い刃を作り飛んでいく。飛んでいった方向にある木はどんどん斬られていく。

振り下ろされた風圧で、草木は揺れる。同じことを繰り返し、中段、下段、斜めから、下段から上段、あらゆる面から素早く剣を振るう。一度振り下ろすたびに、汗が昇っていく日に照らされてキラキラと輝く。

一つ一つの作を丁寧に、剣の進む道がぶれないように、神経を研ぎ澄まし、集中力を高めていく。より強く、より速く、より綺麗に、と。

それを一時間ぐらい繰り返す。

終わったのでし汗を拭う。そして周りを見てみると、辺りの木々が切り倒されていた。

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「あれ?やりすぎたか」

俺はそう呟いて次の修行にる。

次に走り込み。重力魔法でこの星の100倍の重力を自分にかけ、に負擔をかける。重いかしながら周りにある山の一つに全速力で走っていく。山に著くとそこをまた全速力一回りして小屋に戻る。それを100回繰り返し、山にいる魔を食料にするため討伐。

地面を見てみれば戻ってきた場所が凹んでいる。

走り込みが終われば筋トレだ。無限収納インベントリにれている多くの魔を一度だし、重りにするため自然魔法で木の縄を作り、一纏めにしてからそれをで背負う。死んでいるからと言って大型の魔が多いため、それなりの重りになる。だが々足りないため、また重力魔法をかける。々な筋トレ方法を行い、幹も鍛える。

全てやることが終わった時には、太が昇っていた。俺はシャワーを浴び朝食を作るため小屋にった。

その時、ちょうどみんなが起きてきたようだ。

ベットから出てきたのはハクとルナだ。

「ほら二人とも、歯磨くからおいで」

目をりながらこちらに來る。木でできた歯磨きで優しくでるようにした。終わると水魔法で口の中をゆすぐ。

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ネルは幸せそうに眠っている。本當に気持ちよさそうに。ネルが寢ている場所はってきており、綺麗なネルのピンクの髪を照らしている。ここまで気持ちよさそうな顔で眠っていると、起こしづらい。なので、俺は起こすことを諦め先に朝食を作ることにした。

「ご飯まだかなー」

「ちょっとは靜かに待とうよハク。楽しみなのはわかるけど」

「そうだぞ嬢ちゃん達。ガァハッハッハッハッ」

「お前も靜かにするのです。筋ゴリラ」

「誰が筋ゴリラだ!?」

おっと今変な聲が聞こえました。可いハクとルナの聲でもなく、ネルが寢言を言った訳でもなくて、昨日の夜に聞いたことのある聲だ。

「主、早く飯をくれ!」

「黙れゴリラ!つかなんでお前ら普通に居るんだよッ!」

「明朝にまたと言ったではないか、主よ」

「まず名前を名乗れ!」

そう、自然と居たのは昨晩いきなり現れた、六人の男。今は二人、筋ゴリラと生意気な

「ねぇねぇ主様。こっちにも居るよ?」

振り向くと、殘りの四人が揃っていた。

「何者だ?一般人に俺が後ろは取られない筈だが」

「俺たちは一般人じゃない。人間でもない」

そう言ったのは雙子の男の子の方。

人間でもない?それはいったいどういう意味だ?

そんな疑問が浮かぶのは當たり前だろう。だが、その疑問の答えはすぐわかった。

「どういうことだ?まず、俺はお前らの主じゃないぞ?」

「いいや、貴方は俺たちの主様だ。自己紹介をしよう。俺の名前は黒龍神ノ剣・龍刻天」

「私の名前は白龍魔ノ剣・白夜

「主殿、我の名前は神刀タケミカヅチ」

「わたくしの名前は雷魔ノ神槍・ロンギヌス」

「俺の名前は破水ノ斧・プロメテウスだ!」

「わ、わた、わたしの名前は雙頭龍ノ銃・ウロボロスです」

片膝を地面に著きながらそう言った。

全員の名前を聞いた時、俺はどうしてこいつらに主と呼ばれているのか、めちゃくちゃ聞き覚えのある名前でどうして俺のことを知っているのか、全てがわかった。

こいつら、絶対神ヴァイヌス様からいただいたチート武達だ。

「その様子だと、わかったようだね、主様。そう、俺たちは絶対神ヴァイヌス様から創造された武だ」

「そうか、何で俺の前に現れたんだ?」

「あれ?何で質に人格があるんだ?とか聞いてこないんだ」

「まあな、ヴァイヌス様が創造つくったんだ、人格があってもおかしくない」

「なるほど。じゃあ主様の質問に答えよう。俺たちが主様の前に現れた理由は、嫉妬だよ」

「嫉妬?」

「そうだよ、最初に言ったじゃないか。『凍篭華だけ使うなんて嫉妬しちゃう』って」

その言葉を聞いてなんとなくこいつらのことがしわかった気がする。

こいつらもつい最近生まれたばかりなのに、主である俺がこいつらにかまわず、凍篭華という一つのだけを使っていた。

あぁ、そういうことか。

「つまりお前らはかまってしい、自分を使ってほしいってだけだろ」

そう言うと、六人全員が顔を赤くしていく。いや、筋ゴリラが顔を赤くすんなよ。

この反応は図星だったようだ。

「ち、違う。違うよ!」

「まぁ、そんな否定するな。いつでもかまってやるから、その時は出てこいよ」

全員納得いかないようでふてくされている。いやだから、筋ゴリラやめろって。

「そんな顔すんな。お前らも生まれたばかりの子供と同じだ。わかったか?」

「わかったよ。それじゃあ子供のお願い」

「なんだ?」

「名前つけて」

雙子の男の子の方が続けて言う。その言葉に反応して全員耳を傾ける。

「じゃあめんどくさいから簡単に決めるぞ」

「めんどくさいって」

「俺はめんどくさいことが嫌いなんだ。じゃあ言うぞ、お前は龍、そっちの白い子は魔夜、生意気なはミカ、そこのお姉さんはロギス、筋ゴリラはメテウス、で君はウロだ!」

全員が嬉しそうに笑う。ハクとルナも名前をつけられた時は喜んでいたな。

そんな様子を見ていると、あまり喋らないの子が近づいてきた。

「ん?どうした?」

「な、名前」

小さな聲でそう言った。

「え、でもつけたぞ?」

の子は俺の來ている服を摑んで「名前」とつぶやく。俺はどういうことかわからず考え込んでしまう。

すると、の子が急にだした。

「ん?なんだ?」

その場にいた俺以外の全員が目を瞑る。

俺は魔眼が起の影響がけない。見ていると、影の姿は変わっていき、髪はし長かったのに短くなっていった。

そして數秒後、目を開けるとそこに居たのは男の子だった。

「オイラの名前だ!主様!」

「え?あれ?さっきここにいたのの子だよな」

「オイラは雙頭龍!二つの姿があるんだ!」

まさかの出來事だった。

「名前!」

「わかった、じゃあお前はボロだ」

全員の名前が決まると、みんなの粒子となって消え、また、古の王國アトランティスにっていった。

「ちゃんと、俺たちを使ってね。主様」

そんな聲が古の王國アトランティスから聞こえてきた。

ハクとルナを見ると、二人も驚いて固まっている。

昨日と今日でまさかの出來事が多い。昨日はハクとルナが従魔ではないと言われたり、今日は武が人型になって現れたりと。々あってし疲れた。

「すぐ、料理を作るから、し待っててくれ」

固まっていた二人にそう言うと、二人はすぐに笑顔になる。この切り替えの速さはいいことだ。

「さて、何を作ろうか」

と、考えて約30分。

「ほら出來た。簡単オムレツに作ったばっかりのヨーグルト!」

「やったー、早く早くー」

「じゅるり、味しそうです」

「ちょっと待ってなー、ネルを起こすから」

まだ睡しているネルのもとに向かう。

「ネル。朝ごはんが出來た。起きろ」

を揺らすがなかなか起きない。ネルはいつもこうだな。

「そうだ、王國の大通りに行った時たまたま見つけたこいつで起こそう」

俺は無限収納インベントリからある植をとりだす。

「コッケコッコー!コッケコッコー!」

それは鑑定していると名前が、チキンフラワー、だ。

こいつは魔だか人間に害するものではなく、一般的にも売買されている。

はニワトリだが顔の部分が花の生きだ。朝になればニワトリのように鳴き、人を起こしてくれるのだ。

「うわっ、なになに!?」

慌てて起きだすネル。そのせいで「ドンッ!」とベットから落ちてしまう。

「チキンフラワーだ。お前、睡してあんまり起きてこないからな、これからこいつを近くに置いておけ」

「わかった」

「じゃ。ご飯できてるから來いよ」

ネル俺の後ろを歩いてついてくる。

そして椅子に座りご飯を見てハクとルナと同じように、食べたそうにしていた。

「よし、食べるぞ」

全員で手を合わせて「いただきます」と言い、ご飯に手をつける。

味しそうに食べる姿は、いつ見ても微笑ましい。

◇◆◇◆◇◆◇◆

そして全員で「ごちそうさま」と言い、食を洗って無限収納インベントリの中にれる。

「シンヤって、いつも初めて見る食べを作るね。どこでこんなの知ったの?」

食べ終わった時、ネルからそんな言葉が來た。

俺が作っているのは、一般家庭でも普通にあるもの。やはり異世界だからしは違う部分もあるらしい。

「それらは全部、俺の居た世界にある料理だ」

「俺の居た世界?」

「ああ、俺はこの世界に召喚された勇者ってやつなんだよ」

「勇者!?」

「「勇者?」」

ネルは大きな聲を出して目を大きく開き、ハクとルナは勇者がなんなのか知らない為頭の上に?を浮かべている。

「言ってなかったっけ」

「言ってなあぁぁぁぁい!!」

ネルは大きな聲でんだ。

「ねぇねぇご主人様、勇者ってなに?」

「勇者ってのはな、人間の道だ」

「道?」

「ああ、人間は同種を道として扱う者もいる」

俺はハクの質問にそう答えた。

「ちょっと、なに間違ったことを教えてるの!」

俺の言葉に、すぐさま反応するネル。

この世界の人間は、子供の頃から勇者と魔王の語を絵本か何かで見たことがあるのだろう。帝國で本を貸してもらった時、その中にもあった。

勇者は人間の希で、魔王は人間を滅ぼす悪魔だと。そう大人から教えられたのだろう。

だから人間は勇者やその仲間たちに憧れ、魔王を悪だと思っている。それは固定観念なのだろう。

「間違ってないだろ」

「間違ってる!」

「いや、間違ってない。だって勇者って魔王を討伐する為に、必要な聖剣を扱える人間のことを言うんだろ」

「うん」

「じゃあ魔王を討伐した後何があるんだ?地位と名聲と金を手にして、善者の者なら周りの人を助ける為にそれらを使うだろう。だが、人間はその3つを、地位、名聲、金を手にれると己のに塗れてしまう、弱い生きだ。そして人間は黒い偽善者がほとんどだ」

「そんな筈がない!」

「知っているだろ、お前も。自分が慕っていた姉と、小さい頃から一緒にいた馴染の男が自分を餌にして助かろうとしたんだぞ」

「……ッ!」

俺の言葉に顔を歪ますネル。

自分が魔の中に生贄にされ、そんな自分を見て笑う姉と馴染の姿を思い出したのだろう。

「それ以前は優しくいい人だったとしても、自分の命が危険にさらされる時は、誰かを犠牲にして助かろうとする。それが人間だ」

ネルは何も言い返さない。いや、言い返せないのだ。それは確かに自分が見たものだったから、自分が経験したものだから、だからそれは偽りではないことがわかっていた。

だが信じたくない。人間のほとんどが偽善者なんかじゃない。確かに偽善者はいるかもしれないが、善者だって多く居る。そう信じたかったのだ。

「どれだけ信じたくなかったとしてもそれが真実だ。まぁこれは俺の考えだが」

「………」

「ネル。お前は優しい奴だ。まだ黒く染まっていない。だからそのまま白が多い魂でいてくれ」

俺はネルを優しく抱きしめた。

ネルは多分俺より年下だが近い年齢の子だろう。だが、自分の親族が死んだことに悲しみじない筈がない。

ネルは俺の腕の中に靜かに泣いていた。

◇◆◇◆◇◆◇◆

「ごめんなさい」

謝ってきたネルの目元はし赤い。

「大丈夫だ、いつでも泣けばいい。泣くことが出來るのは、知能を持つ者、己のがわかる者だけの特権だ」

そう言ってネルの頭をでてやる。

「よし、じゃあ行くぞー」

俺たちは小屋の外に出る。

自然魔法で小屋をもとの木々に戻す。

「やっぱりそろそろ家がしいな。海に行ったら家を作ろう」

俺は一人、小さくそう言った。

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