《神々に育てられた人の子は最強です》クルウェント王國の王城

朝、俺は今、朝日に照らされながら朝の修行を行っていた。周りには々な店が建ち並んでいるため、空で行うことにした。

空ならば、誰にも影響を與えることはなく、靜かに風に當たりながら集中できる。

昨日、俺はルティーを連れてクロント商會の宿に戻ってきた。そして、誰にもバレないように、ハクとルナとネルの元に向かうと、そこにはもうクロントも誰もいなくなっていた。

俺はルティーに【隠蔽の指】とは別の【幻の指】を渡した。【隠蔽の指】は隠したい部分を隠せるが、今回隠すのはエルフの特徴部である耳だ。流石に耳がなくなっていたら怪しまれるので、今回は【幻の指】という、特定の部分を別のものに見せ変えるというアイテムを渡した。

俺はルティーと一緒にローマンの宿に戻り、ルティーをベットに寢かせた。

ルティーは里の人から裏切り者と言われたことが、かなり堪えたようだ。ベットの中にるなり、すぐに眠ってしまった。寢ている時は偶に苦しそうな聲を出し、涙を頬に流していた。

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そんなルティーを見守り、落ち著いた様子で寢ていたので、もう一度クロント商會の宿に行った。

そこではハクとルナとネルがいた。

った髪や、し滴をに殘しし大人っぽい服を著て気をちょっと纏わしているネルと、買いで買った可らしい寢巻きを著たハク、ルナの三人だった。を洗っていたらしい。

俺は三人に今日はここで泊まるんじゃなく、ローマンの宿に泊まると言って戻った。

理由を聞かれたが、「客人がいる」と言った。

そして俺もルティーと同じの部屋で、眠りについた。

そんな風には、昨日を終えたのだった。

朝の修行を終えた俺は、地面に降りて汗を拭き部屋に戻る。ルティーだけが眠っており、他に誰もいないため、広く靜かだ。

「ぅうあ。はぁあ、はぁあ」

ルティーがゆっくりとを起き上がらせる。

起きてすぐなので、髪のしボサボサにれている。

「おはよう、ルティー」

「シンヤ?」

寢起きのせいで、小さな聲で俺の名前を呼ぶ。

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目はし赤くなっており、涙を流していた証拠だ。但し、それは寢ている時だったので、ルティーは気づいていない。しかし、そのままではみっともないので、無限収納インベントリから鏡を取り出し、ルティーに渡す。

「私……泣いてたの……?」

「ああ、隨分と魘うなされていた」

「そう……」

しの沈黙がこの場に流れる。

そしてルティーは、ゆっくりと口を開いた。

「怖い…夢を見ていたんだ……。みんなから、同種であるエルフたちから、裏切り者とばれて、今までの優しかった面影はなくて。ただ裏切り者と、人間の味方をしたエルフ族の裏切り者として、みんなから罵倒される夢。瞳には怒りしか宿っていなかった」

徐々に目に涙を溜めていく。

「怖かった……、怖かったんだよぉ………」

今まで一緒に過ごしていた家族や友人、知り合いなどから裏切り者扱いされるのは、の子にはきついことだったらしい。

また、涙が頬をつたっていく。

俺は無言でルティーの頬をつたっていく涙を拭き取る。

「んっ」

「泣くなよ。お前達エルフの外見が男問わず綺麗だ。それはルティー、お前も例外じゃない。たとえ他のエルフたちがお前を裏切り者と言おうが、俺と一緒にいるんだろ?一人じゃない、なら大丈夫だ。もうその綺麗な顔を涙で濡らすな」

「………」

ルティーは小さく、そして何度も頷く。

「よし。じゃあその涙で赤くなった顔を水で洗ってこい」

「うん」

し微笑んだ。

タオルを渡し、そのまま部屋を出て、階段を降りていくおとがきこえた。

「やっぱり、子は笑顔が良く似合う」

「へぇ〜、誰の笑顔が良く似合うって〜?」

俺は驚き、扉を見る。

すると、そこにはいつの間にか、ハクとルナとネルがいた。ネルはし目が鋭く圧力をかけてき、ハクとルナは頬を大きく膨らませている。

い、いつの間に居たんだ!?俺が気づかないレベルに、気配を隠していたのか!?

「さっきのあの子って、誰?」

「あの子って?」

「さっき私たちが泊まっている部屋から出てきたの人。綺麗だったね」

ネルの視線がより鋭さを増す。

「シンヤ、正座」

「どうしてだ?」

「せ・い・ざ!」

「お、おう」

何故だかさっきからずっと、俺は正座のまま説教をけていた。聞いている風にして別のことを考えていると、それがバレてしまいまた説教。どうしてわかったのだろう。

かれこれ10分ほど、同じ勢のままガミガミと説教は続いていく。ハクとルナに至っては、初めはじーっと俺の方を見て、そちらを向くと明後日の方に目をやるといったことを繰り返していたが、長くなって飽きたのか、今はベットの上でゴロゴロしている。

「ふぅ、シンヤありが…と……う………?」

顔を濡らして、水が滴る髪をタオルで拭きながらやってきたルティーは、すごくしく、思わず見とれてしまった。

だが、ルティーはそんな姿のまま、顔を赤面にする。

「わた、わわわ私、別にシンヤと何かややややったわけじゃああああ!!」

ルティーはもの凄く慌てながら言葉を喋るが、その姿が面白い。

そこから數分、ネルとルティーが二人で何かを話し合っている。俺が何を話しているのか近づこうとすると「なんでもない!」と言われてしまう。

「それじゃあ、これからよろしくね、ルティー!」

「こっちこそ、ネル!」

二人は笑いながら互いに握手をしている。仲良くなったようだ。何があったか知らないが。

「さて、じゃあ今日は用事を済ませに行くぞ」

「用事?」

「そう言えば、クロントさんの時に言ってたよね。どこに行くの?」

「ん?言ってなかったな。あそこだ」

俺はある場所へ指を指す。

そこを見たネルルティーは、すごく驚いた顔をしている。

「あそこって、まさか……」

「ああ、王城だ」

俺が指した場所には、どっしりと建つ巨大な城だった。これが、この國の王城だ。だが、ここの王城は帝國とルミナ王國の王城よりも、し小ぶりだ。

俺はただめんどくさいと思い、足を進める。

「ほれ、行くぞ」

「ま、待ってー」

し遅れて四人が俺の後ろを追いかける。

王城に著いたあと、メイドさんが迎えてくれた。俺たちが來ると報告されていたらしい。

王のいる場所へ案される。キラキラとを反するだだっ広い廊下を歩き、すれ違う他のメイドさんには頭を下げられる。そして案されて著いた先は、巨大なベットに眠る衰弱した一人の老人と、そのベットの橫には、老人よりもし若い、老人と同じ冠をかぶっただった。

「あなたは?」

「私は、彼の妃です」

「ってことは……」

「はい。この方が、國王テンプ・クルウェントです。そして私がサーナス・クルウェント。よろしくお願いします」

「はい。俺はシンヤと言います」

サーナス様はスカートの裾をし、握りたくしあげて小さく頭を下げられる。そのきはごく自然に行われた。普通ではそれだけだと思われるが、このきは小さい頃から練習しているとわかる。

「飲みを持ってきあげなさい。私たちは応接室にいます」

後ろにいたメイドさんは一禮し、部屋の外に出た。

「では、ここではあれなので、応接室の方に向かいましょう」

「はい」

俺たちは王が眠っていた部屋を出て今度は応接室に向かう。確かに一國の王が眠っている場所で話すのは、し気が引ける。

しかし、何故俺たちに直々に手紙を寄越した國王がここで寢込んでいるんだ?

つーか妃が直々に応接室に連れていくってあるか?いや普通はないだろ。貴族とかは、そこら辺は全部メイドさんにやらせる筈だ。もしやるとしたら、自分より分が上の人だけ。珍しいこともあるんだな。

その後、俺たちは案された応接室で、メイドさんが持ってきてた飲みを飲みながら事を話した。

「そうですか、あなた方がケルビンとマミーを救ってくれた冒険者ですか」

「まぁ、そうですね」

「ケルビンとマミーが昨日、すごく目をキラキラさせ話していましたよ。『初めってきたのはの子だけだってけど、そのの子たちが敵をやっつけた』『次はいつの間にか男の人がいて、その人はいつ発したかわからないほど速く魔法を放って鉄格子を切り刻んだ』と、珍しくマミーも目をらせて」

サーナス様は笑いながら言う。その様子は、子供のように笑っていた。しかし、いきなりサーナス様は涙を零し始める。

「でも、二人がいなくなったことを聞いて、すごく怖くなったわ。目の前が黒くなり、何も見えなかった。息をすることすら辛くなった」

を抑え言うその姿は、その思いが真実だと思わせるものだった。

「しかし、いなくなってから約二日。城下町の口で何やら大きな騒ぎが起きていると思い窓の外を見ると、多くの人が歓喜を上げていました。そして、メイドの一人が慌てた様子でってきて、『ケルビン王子とマミー王が帰ってこられました』そう言ったんです」

涙を流しながら、笑顔を作り言葉を紡ぐ。

「すごく、すごく嬉しかった。本當はもう、殺されたのではないかと思ってしまうほど怖かったのが、一瞬でなくなるほど嬉しかった。これも全て、あなた方のおです。本當に、本當にありがとうございました」

先程された小さな禮の時よりも、深々と頭を下げられた。王族がここまで頭を下げることはないだろう。

「いや、こちらはたまたまだったのです。無事に見つかって良かったです」

「はい」

サーナス様は、零れる涙を拭き取り、笑顔を作ってそう言った。そして涙の跡を無くすためか、一度席を外し、部屋を出た。

「ふぅ〜、綺麗な人だったね」

「うん。それに高貴な人ってじがした。流石王族だ」

ネルとルティーは互いの方を向き、サーナス様の姿を話し合っている。外見やきの綺麗さなどを、楽しそうに。

「すみません。遅くなりました」

そこで、サーナス様が帰ってきて、ネルとルティーはすぐに話をやめて前に向きなおる。

サーナス様の顔は、先程よりも綺麗になっていた。

もしかしてさっきのは素の顔なのか?そして今はメイクをしているというじか。それがあっているなら、素の顔でもすごく綺麗な人だな。

「では、ケルビンとマミーを救ってくれたお禮に、何がいいですか?」

「えっと………それが本題ですか?」

「はい。先程は恥ずかしながら、本題のことを忘れ別のことを話していました。すみません」

「そんなこと全然いいですよ」

「ありがとうございます。それでは、あなた方にお禮として何がしいですか?」

俺は考え込んでしまう。別に今、しいものがない。武は今のもので十分。っと言うか、この裝備は神様たちみんなが作ったぶぐだから、これ以上のものは存在しない。お金は冒険者の時、初めの方でクエストけまくって有り余っている。

悩んだ末、俺は橫にいるハクとルナとネルとルティーの顔を見た。

どうやらネルとルティーも、俺と同じように考え込んでいた。

しかし、ハクとルナは違うらしく、何かを決めたようだ。

「私は味しいものがいっぱい食べたいです!」「ボクは味しいものがいっぱい食べたいです!」

二人は元気よく、同時に聲を上げて言い放つ。

実に子供らしい願いで、微笑ましい景。

「うふふ」

サーナス様は口に手を當て、気品のある笑い方をする。ネルとルティーも、小さくクスクスと笑っていた。俺はそんな三人の姿を不思議そうに見ているハクとルナの頭をでる。

ハクとルナは目を細め、気持ち良さそうな聲を出す。

二方のお願いはわかりました。では、あなた方三人はどうしますか?」

「えっと……正直、無いんですね」

「無いのですか?」

「はい。、食、住は揃ってますし、強いていえば家ですかね。まぁそれも自分で建てられるので大丈夫ですが」

「えっ………。他に無いんですか?しいとか、しいとか」

「いやいや、どうしてそんなに拘るんですか?」

「だって、殿方って何かお禮と聞いたらを要求するのが普通ではないんですか?」

その言葉に、ネルとルティーから冷たい視線が飛んでくる。

何故そのような目をしている………?

「いや、俺の周りには、何故かこのように可らしいかったり、綺麗だったりする人がいるので大丈夫です」

「確かに、そうですね。じゃあ、そちらの二方はどうですか?」

話を向けられたネルとルティーも思いつかない様子。

「シンヤと一緒で、無いですね」

「私もです」

「そうですか……」

結局、ネルとルティーもまた、俺と同じ答えだった。しかし、その答えにサーナス様は困っている様子で頭を抱えている。

「困りましたね。王族として、家族を助けて貰ったお禮はしたいのですが、無いとなると。ご飯くらいならすぐに用意できるのですが」

「あの、それよりも、ちょっといいですか?」

「はい、どうされました?」

悩んでいたサーナス様が俺の聲に反応して、顔をこちらに向ける。

「テンプ王のことなんですが」

「ああ、えっと……あれは……」

「いえ、わかっています」

「えっ……?」

歯切れが悪い。まだ誰にも知られていないことなのだろう。知っているとしたら、この王城にいるメイドさんと、サーナス様だけだ。

そして、サーナス様はそのことを隠そうとしている。

まぁ、こんなこと、広めていい話ではないからな。

だから、俺が割り込もう。

サーナス様は驚いた顔をして、ネルとルティーは何がわかったのか、というかテンプ王がどうしたのか?という顔をしている。

「テンプ王が何故ああなったのか。その原因は毒ですね。しかも超強力な猛毒。し見えたあの斑點は、毒竜蛇バジリスクによる毒だとわかる」

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