《神々に育てられた人の子は最強です》魔法の練習

「ーーーということで、何故か俺は教員に、他四人は學園にることになりました」

翌日。俺たちは昨日のサーナス様との會話で、俺たちが學園に行くことになったことを、クロントに説明した。

「ふむ。まさか用事が王族との対面で、そこからシンヤ君が教員、他四人は生徒……か。………うん、面白いことになったね」

クロントは、心の底から面白そうに、嫌味ったらしくそう言った。

「だから、護衛の話はどうしよう……」

「あれは大丈夫だよ。僕たちが勝手にやったことだからね。それに、王族からの依頼なら、無視する訳にはいかない」

「ありがとう。できればもう一つお願いがあるんだが」

「なんだい?」

霊族の羽が出品する日を教えてください」

クロントの眉がピクリとく。

怪しげな目でこちらを見つめる。

「君は、あの話を聞いて、霊族の羽を手にれようとしているのかい?」

「いいえ、元々俺は異種族に抵抗はありません。むしろ好意的に思っています。だから俺は、霊族を助けたい」

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俺は真剣にそう告げた。異種族と人間を區別するつもりなど頭ない。

異種族と人間。この二つは共通點が多い。ただ人間が嫌っているだけ。

人間を産み落とした邪神の影響が最も強いが、その他にも理由はあるだろう。

魔力も、能力も、容姿さえも、大抵のことが人間は劣っているため、それが気にらなくて、許せない。そんな嫉妬心から、人間は異種族を嫌っているのだろう。

全くもって、勝手だ。そんなことだから、異種族も人間を警戒し、姿を現そうとしない。いつまで経ってもクロントのように異種族と仲良くしようとしている者がいても、周りの異種族を嫌いになることが『普通』という狀況に、表に出られない。そんな者が多いだろう。

「わかった。じゃあオークションの日と場所を言っておこう」

「ありがとう」

「いいよ。オークションの日は、三日後だ」

「三日後?そんなに日が迫っていたのか」

「まぁね、場所はここにある奴隷商會の裏口だ」

クロントはポケットから取り出した紙を広げ、指で指す。その紙は、この國の地図だった。そして指された場所は、スラムに位置する所だった。

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どうやらこの世界でも、スラムはあるようだ。帝國、ルミナ王國、そしてこの國。盤上の地図ボードマップで見たこの三つの國に、スラムがあった。そしたら、もう一つの國にも、スラムがあるのかもしれない。

「オークションに參加するには、裏口にいる門番に、大金貨10枚を渡さなきゃいけない」

「了解した。教えてくれて、ありがとう」

「お安い用さ。では、またオークションの日に」

「ああ、またな」

オークションの話が終わり、俺たちはクロント商會の宿を出て、今ローマンの宿にいる。

一つのベットにはハクとルナ、もう一つのベットにネルとルティー。俺は一人椅子に座っている。

「今日はどうする?」

「そうだな、まず魔法學園に學することになったんだし、魔法の練習でもしておくか」

「まー、シンヤが勝手に學させたんだけどね」

「いいだろ、お前達には魔法の才能がある。それをばすにはうってつけの場所じゃないか」

「そうだけど……。じゃあどこで練習するの?」

「ここだ」

すると、部屋の中心の空間がグニャンと歪んだ。

「な、なにこれ……?」

「俺の時空魔法で作った空間だ。その空間の中では、この世界の一時間が、一日に変わる。そんな空間だ。ほら、るぞ」

俺はその歪んだ空間に手をばす。すると、手は吸い込まれたように、歪んだ空間にっていき、自然に俺のり込んだ。

「うわっ、シンヤが消えた!?」

「ほれ、お前達もって來い」

「聲だけ聞こえる!」

ハクとルナは目をキラキラして、この歪んだ空間に飛び込んできた。

俺はその二人をしっかりと抱き留める。

「ネルお姉ちゃん、ルティーお姉ちゃん。見えてる?」

「き、消えてるよ……!」

「ボクはどうですか?」

「ルナちゃんも消えてるよ!」

「「ふぉぉぉぉぉおお!!」」

ネルとルティーの返事に、二人は興した様子。

「すっごーい!。ご主人様ほんとに凄い!こんな広い空間作れるなんて凄いっ!」

「そうです!こんなの作れる人なんて、この世にご主人しかいませんよ!本の過ぎます!」

そう言って、二人は歪んだ空間の草原を駆け巡る。

そう、この空間の中は、大きく広る草原なのだ。常に風魔法も発しており、本の草原にいるように、空間にある草が靡く。空には小さな太スモールサンが、空間を照らしている。そしてこの空間は、側からは外が見え、空間の外からは空間が見えないようになっている。

つまり、今部屋にいるネルとルティーの驚き顔も、ハッキリとわかるということだ。

ネルとルティーも、すぐにこの空間の中にって來る。

「凄い……!」

「うん……!」

ネルとルティーは、それ以上言葉を発さなかった。ただ。この景を見つめていた。

「ここの空間にると、周りには何の影響も無く、魔法を放てる。発させようが、氷漬けにしようが、雷を落とそうがな。他にも、この空間の外の音は聞こえるけど、中の音は一切盛れ出さない」

「………本當に、シンヤって規格外ね」

ルティーがそう言うと、ネルも首を縦に振る。

「さて、じゃあ始めるぞ」

「うん!」

「わかった!」

「了解ー!」

「はいです!」

四人とも、元気のいい返事をする。

「よし。じゃあまずは、魔法の基礎を教えよう。と言っても、魔法使いのネルならわかっているだ。答えてみよ、ネル」

「うん。魔法の基礎は、魔力作を可能にすることと、想像力が必要だということ」

「そうだ。流石ネルだな。

魔力作とは、の中にある魔力をることだ。それが出來なければ、魔法は発することはできない。

もう一つの想像力は、そのままだな。魔力作で側にある魔力を外に放出し、想像力によって、魔力の形を変え、質化する。その質化したものを、魔法と言うんだ」

ハクとルナはわかっていないようす。ネルは魔法使いだから、わかっているみたいだが、ルティーもあまり理解していないようだ。

「まぁ、説明するより、これは自分で験した方がいいな。

まず、自分のに集中しろ。そして、の中にある心臓の隣に位置する部分に集中するんだ。すると、そこに熱く、ふわふわしたような塊がある。それが魔力だ」

全員は深呼吸を行い、言われた通りのことをする。

俺はその間に、【魔眼】の魔力可視化を使い、誰が早くかせるかを見る。

ネルは、魔法使いのため、ちゃんとかせているが、しぎこちない。ハクとルナも、しは魔法を扱えているため、魔力作がネルより劣るが出來ている。そして、ルティーは初めてやる筈なのに、もう左右に揺らし始めている。この才能は凄いな。

「そこまで!」

しかし、俺が聲をかけても四人には聞こえていないようだ。夢中で己の中にある魔力をかしていく。

集中するのはいいのだが、

「これで集中力を使い切ると、他の練習ができん」

ゴツンッ

『いったぁーい!』

俺は四人一斉に頭に拳骨を與える。その痛みに反応して、頭に手を當てながら痛いと言う四人の子。

「馬鹿共。集中し過ぎだ。もう魔力をかせたのは凄いが、そのまま続けると集中力が切れて、他のことが出來なくなるだろう」

「他のことって?」

「お前達には、今日で【無詠唱】のスキルを得てもらうんだからな」

「【無詠唱】!?」

無詠唱の言葉に強く反応したのはネルだった。ネルも魔法使いの端くれとして、無詠唱のことは知っていたらしい。

「そうだ。無詠唱って言ったら難しそうなイメージがあるだろう。しかし、本當は簡単だ。ただ想像するものが多くなるだけ。

通常の魔法は、詠唱を唱え、魔法の形を思い浮かべると、その魔法が完する。威力や大きさ等は、詠唱が設定してくれているから大丈夫だ。

しかし、無詠唱は違う。無詠唱はその名の通り、詠唱を唱えない為、威力や大きさ等も自分で想像しないといけない。もし失敗すると、魔法が完しないまま、魔力が空気中に発散されて、魔法が発できない。

まぁ想像力があれば、無詠唱は簡単に扱えるってことだ。その代わり、簡単に扱える程に想像力が鍛え上げられ、魔力作も行えるようになったらの話だが」

俺の説明を聞いていた四人は、所々頷きながら聞いていた。しは理解したようだ。

「ま、これはただの理論上の話だがな」

俺は小さく呟いた。

コンコンッ

この空間の外から音がした。その音は、この部屋の木材でできた扉を叩いた音だった。

「ちょっと、外に出てくる。お前達は、魔力作の練習を続けながら、の至る所まで魔力をかせるようにしろ。それが終わったら、無詠唱のための想像力強化の練習にる」

「ちょっと!の至る所って、そんなことすぐに出來ないわよ!」

「いいや、ルティー。出來る。お前にはそれを可能にする才能があり、努力もできる。これはルティーだけじゃない。ハク、ルナ、ネル。お前達三人も可能なことだ。わかったな?」

四人は頷き、また魔力作の練習を行う。

俺は空間の外に出て、扉を開けた。

そこには、王宮ですれ違ったメイドたちと、同じ服裝をした、メイドさんがいた。

「私は、王宮からやって參りました。クリスと申します」

「はい。一どのような用でしょう?」

「サーナス様からの伝言です。『魔法學園クルウェントには、新しく教師、そして生徒としてることを伝えておきました。日時はここに書いてありますので、見ておいてください』とのことです」

クリスさんは、一つの封筒を取り出し、こちらに渡してきた。その封筒には、クルウェント王國の紋章が押されている。王族からの手紙だと分かるハンコだ。

「わかりました。ありがとうございますとお伝えください」

「はい。では、私はこれで、失禮します」

木材の床は、クリスさんがこの部屋から遠ざかっていく音を聞かせてくれる。それは気配でもじていた。

しかし、そのクリスさんの気配は、一瞬にして王宮の方へと飛び去っていった。

クリスさんは、ただのメイドではないようだ。家の壁と壁を蹴っていき、屋の上に登って、そのまま王宮へと戻っていく気配。

普通のメイドはこのようなことは出來ないだろう。

何か他の仕事でもあるのだろうか?

俺はそう思いながら、クリスさんに渡された封筒を開け、中にあった手紙を開いたのだった。

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